「色」という情報が取り除かれたモノクロ写真は、伝えたいものをよりストレートに表現できる手法です。カラーで撮るときとは視点を大きく切り替え、被写体そのものの質感や形、光の当たり方、明暗のコントラストなどに意識を向けることがポイント。
異なる光を捉えるために、撮影する時間帯を変えたり天候を選んだりするのもおすすめ。ほんの少しの違いで、さまざまなモノクロの世界が広がります。
自宅にて撮影。モノクロにすることで“静けさ”を表現した1枚。被写体の表情、そしてレンズが捉える肌や髪の美しい描写を伝えるために、被写体に寄って撮影しました。少し強さを感じさせる表情を活かすため、見上げるような構図になるよう、被写体の目線よりやや上からのアングルに。被写体がより美しく見えるように、髪の毛と手の位置との角度を調整。普段の生活空間で撮っても、モノクロにすることでグッと雰囲気が出て、作品性のある写真に仕上がります。
Zシリーズのピクチャーコントロールには、「モノクローム」「フラットモノクローム」「ディープトーンモノクローム」の3種類が用意されています。今回はその中でも、階調がなだらかで柔らかい、フラットモノクロームを適用。優しい雰囲気に仕上がるため、人物撮影におすすめです。フラットモノクロームの柔らかなトーンは、被写体が持つ“強さ”との対比効果で、印象的な1枚に仕上げることができます。
また、撮影時から画像モニターやファインダーがモノクロ表示になるため、仕上がりのイメージがつかみやすく、モノクロの世界に没入できます。3種類のモノクロモードからどれが一番合っているか、被写体や光に合ったものを選びながら、違いを楽しんでみてください。
※一部機種にはフラットモノクローム、ディープトーンモノクロームは搭載されていません。
広範な撮影シーンで卓越した光学性能を発揮するニコン Z シリーズカメラ用標準ズームレンズ。主要被写体を際立たせる、美しく大きく自然なボケ味も特徴。
花の形の可愛らしさをストレートに伝えるために、モノクロで撮影。色をなくすことで、花や葉の質感やフォルムが際立ち、花そのものが持つ繊細な美しさをより丁寧に表現できます。使ったピクチャーコントロールは、コントラストが高くシャープな描写が特徴の、モノクローム。花の質感や輪郭がしっかり引き立ちました。明るい部分が白飛びしないよう、撮影時はやや暗めに設定し、編集で露出を微調整しています。
青が暗く写る特性を持つディープトーンモノクローム。空を構図に取り入れ、被写体を引き立たせることで、ドラマチックなモノクロ写真に仕上げました。深みのあるトーンが活きるため、シンプルな構図のスナップに最適なピクチャーコントロールです。街灯を画面中央に配置し、全体にピントが合うようF値の数値を少し上げて(f/4)撮影。見せたいものを明確に表現できました。