光跡写真は、一瞬ではなく連続した時間の流れを一枚に閉じ込めることで、光が描くアートを可視化できる写真らしい表現です。撮影のコツは、シャッタースピードを遅めに設定し、明暗のコントラストをしっかり出すこと。背景が暗いほど、光の軌跡は鮮やかに浮かび上がります。身近なアイテムを使って、アーティスティックで遊び心のある光跡写真に挑戦してみてください。
光跡は「動く光を写し残す」撮影なので、ポイントはシャッタースピードです。スーッと伸びるラインを描くには遅めに、まずは5〜10秒で試し、光の量や動きのスピードに合わせて調整すれば失敗しにくくなります。ブレを防ぐために三脚は必須。人物を入れる場合は、スピードライトも用意してください。ISO感度は200以下の低めにしてノイズや白飛びを抑え、絞り値はf/15〜程度にすると全体にピントが合いやすくなります。
使える光源は、車のテールランプや街のイルミネーションといった定番から、スマートフォンのライトや手持ち花火までさまざま。撮影場所によって、にぎやかにも幻想的にも演出できるのが光跡撮影の楽しさです。人物を入れるなら、明るめの色の服にすると人物が浮き立ち、光とのコントラストも際立ちます。
今回は、夜の街で車のライトとスマートフォンの光を組み合わせました。カメラを三脚に固定し、車が横切るタイミングに合わせてシャッターを切ります。モデルにはスマートフォンのライトで素早くハートを描いてもらい、同時にモデルの姿をスピードライトの一瞬の光で止めて写しました。こうすることで、ブレずに人物と光跡を同じ写真に収められます。直線的に流れるカラフルな車の光と、可愛らしいハートの光が共存する、ポップでアートな一枚に仕上がりました。
※三脚を使用してよい場所か事前に確認し、周囲の迷惑にならないように撮影しましょう。
広角24mmから望遠200mmまでと幅広いシーンをカバーする、小型軽量で高性能な8.3倍高倍率ズームレンズ。高い手ブレ補正効果を発揮し、光量が少ないシーンでも安心して撮影が可能。
夜の街中で見つけた壁面のライトアップを背景に、被写体がまるで光の渦の中にいるかのように撮影しました。シャッタースピードは手ブレを抑えつつ光跡が写せる1/8秒に設定。モデルにスピードライトを当てて被写体ブレを防ぎ、シャッターが開いている間に弧を描くようにカメラを動かし、光の軌跡を描きます。光の軌道が曲線となり、幻想的な模様が浮かび上がりました。
手持ち花火を使い、火花が散る様子を夜の闇に浮かび上がらせ、夏の終わりの儚さを表現。背景にはぼんやりと光るイルミネーションを玉ボケで取り入れ、余韻と夏の夜らしい雰囲気をプラスしています。三脚を使用し、圧縮効果を出すためにズームレンズの望遠側で撮影。シャッタースピードは「Bulb」に設定し、シャッターボタンを押している間ずっとシャッターが開く「バルブ撮影」を行いました。また、1回シャッターボタンを押すとシャッターが開き、もう1回押すと閉じる「タイム撮影」もバルブ撮影と同様にシャッターが開いている時間を自由にコントロールできます。花火の軌跡や光の流れを表現するのに便利な機能です。
※バルブ撮影、タイム撮影の設定方法はカメラによって異なります。使用するカメラの取扱説明書をご確認ください。