【写真家の推しレンズ】
助川康史の「鉄道撮影に欠かせない」レンズ5選
一つの被写体を追い続けるプロの写真家に、撮影に欠かせないレンズを教えていただく連載企画。今回は、鉄道写真家・助川康史氏の「鉄道撮影」の推しレンズです。
編成写真や流し撮り、鉄道風景写真、それぞれの撮影の確実性を高め、作品の完成度を高めるためのレンズとは?
助川康史の
「鉄道撮影」推しレンズ5選
まずは「自分がどんな写真を撮りたいか」を考え、そのために必要な「焦点距離」や「特性」からレンズを選びます。
今回ピックアップするのは、「車両全体をバランス良く写す」「流し撮り」「風景として鉄道を捉える」など、私の鉄道表現に欠かせないレンズたち。5本目には「これから鉄道撮影を始めたい」という方におすすめのレンズもご紹介します。
編成写真、ズーミング流し、
風景のあらゆるシーンに!
鉄道撮影の「標準」となる
万能ズーム
「NIKKOR Z 24-120mm
f/4 S」


NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

私の手持ちのレンズの中で一番出番が多い、鉄道撮影の大定番レンズ。
標準域から中望遠での「編成写真」、広角での「鉄道風景」までカバーできる汎用性の高さが魅力で、焦点距離のマージンが広いので望遠側から広角側へ一気にズームアウトしながら流し撮りをする「ズーミング流し」も非常にやりやすいです。
流線形の車両を編成写真や流し撮りをする時はそのフォルムを活かすために標準域をよく使用します。「ズーミング流し」も標準域で撮影すると、背景が勢い良く流れ、ダイナミックに表現できます。
もちろん鉄道風景撮影など、緻密な表現が必要な時でも解像感が高く、ナノクリスタルコートとアルネオコートにより逆光時も非常にクリア。F4通しという明るさで暗所撮影にも強いです。
何より軽量&高画質なのでロケハンや軽快な撮影をしたい時などに、まずこのレンズをカメラに装着していくほど信頼しています。
どんな撮影位置からでも様々な
車両の長さに対応でき
超望遠により迫力ある流し撮りも!
「NIKKOR Z 100-400mm
f/4.5-5.6 VR S」


NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S

車両全体を切らずにフレーミングする「編成写真」は、車両の長さ・撮影位置からの距離で適切な焦点距離が微妙に変わります。また鉄道写真撮影は現場に制約があることも多いので、様々な車両の長さや撮影位置に対応できる100〜400mmの望遠ズームレンズはとても重宝します。
特に、長い編成の重厚感を表現するには圧縮表現ができる超望遠がおすすめです。同じスピードの車両でも遠くから望遠で撮る方が、近くで見るよりもゆっくりに感じるため、高速連続撮影と併せることで成功率も上がります。
また、列車の先頭部を大きく撮影する「流し撮り」にも超望遠が有利です。背景をぶらしてスピード感を出す上で空などではブレないため、背景を山や森などにする必要があります。その点、望遠レンズは圧縮効果で背景を山や森などの自然物にしやすく、背景は大きく流れるので、被写体が浮かび上がります。
ズーミング時の重心移動を抑える「重心移動レス機構」による、心地良い撮影フィーリングも魅力です。
鉄道風景のスケール感を表現する
超広角ズームレンズ
「NIKKOR Z 14-30mm
f/4 S」


NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

車両だけでなく、周囲の状況や季節を活かした鉄道風景の撮影も私のライフワークです。
NIKKOR Z 14-30mm f/4 Sは画面の隅々までシャープに解像する優れた描写力に加え、コンパクト&軽量で機動力の高さが嬉しいポイント。また、超広角ズームレンズでありながら82mmの一般的な円形フィルターが装着できます。フィルター類を他のレンズと共有できると荷物も減ることに繋がり、移動距離が多く、山道を歩くことも多い鉄道撮影には大きなメリットになります。
どちらの写真も、撮影の際に雪が深くラッセルするなど大変な状況でした。それに加え機材が重いと体力を使い過ぎて、撮影時に集中力が切れることになりかねません。このようなヘビーな撮影でも軽快なフットワークを叶えてくれる頼れる味方になります。
もちろん描写力も抜かりなし。超広角域によるダイナミックな描写で、鉄道風景の表現の可能性が広がります。それでいて歪みが少なく、風景の美しさを精彩に表現できます。
圧倒的な迫力で車両を切り取る
超望遠ズーム
「NIKKOR Z
180-600mm f/5.6-6.3 VR」


NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR

撮影場所の制約が多い中で「400mmでは足りないかも」という場所や、大胆に切り取るイメージ写真には、180-600mmの超望遠が圧倒的な力を発揮します。
上の写真では、トンネルの奥にいる新幹線を狙い、暗闇の中から浮かび上がるように。他にも手前の木や花をぼかしたり、逆に手前に信号機や標識などを入れて奥を思い切りぼかすなどの表現もできます。
(2枚ともZ TELECONVERTER TC-1.4xを使用)
「S-Line」レンズではありませんが、逆光耐性も高く、ヘッドライトが強く輝く列車を正面で撮影する場面でもフレアの少ないクリアな描写力に驚くこと間違いありません。また約1955gと、このクラスのレンズでは軽量・コンパクトです。
上の2枚の写真は、迫りくる列車の顔をフレームアウトするほど大きく撮影していますが、もちろん線路から離れた安全な場所にセッティングしています。テレコンバーターを使用することで、このような迫力いっぱいの写真が撮れます。テレコンバーターとの相性が良いのもこのレンズの特徴です。
鉄道撮影を始めたい方におすすめの
高倍率ズーム
「NIKKOR Z 28-400mm
f/4-8 VR」


NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR

広角から超望遠をカバーできる高倍率で、編成写真や流し撮り、鉄道風景など、様々な鉄道撮影が叶います。
「ズーミング流し」においても、望遠側で24-120mmを上回る焦点距離をカバーしています。どのような場所でも「ズーミング流し」撮影に挑戦することが可能になり、表現の幅を大きく広げるきっかけにもなります。上の写真は、望遠から広角まで途切れることなく流し撮りを続けることができて得られた1枚です。
約725gと非常に軽く、比較的コンパクトな点も魅力。「これ1本で何でも撮れちゃう!」高倍率ズームレンズならではのポテンシャルの高さで、鉄道旅に持っていくのにぴったりです。
開放F値や逆光耐性などの点では、これまでに紹介したレンズがより高い性能を備えていますが、まずはこのレンズで鉄道撮影の楽しさを感じていただき、そこからステップアップしていくのがおすすめです。
「鉄道」は身近な被写体ですが、電車が通る数秒という一瞬のドキドキ感や、各地の風景との出会いが鉄道撮影の醍醐味です。「どんな写真を撮りたいか」をイメージしていただき、今回ご紹介したレンズを参考にぜひ鉄道撮影を楽しんでください!
撮影の際は、鉄道事業者や施設管理者のルール・マナーを守り、利用者や周囲の方々へのご配慮と安全に十分留意してお楽しみください。
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