第74回ニッコールフォトコンテスト
プリント部門「ネイチャー」
| 金賞 | |
|---|---|
| 銀賞 | |
| 銅賞 | |
| 入選 |
| 応募点数 | 2,412点 |
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| 講評 | 三好 和義 |
講評 写真家・ニッコールクラブ アドバイザー 三好 和義
美しいプリントを通して出会える見たことのない未知の世界
ネイチャーはバリエーション豊かな部門であり、珍しい動植物から雄大な風景、繊細なマクロの世界まで、毎年さまざまな作品が集まります。だからこそ、どんな基準で選んだらよいのか迷ってしまいますが、見たことのない未知の世界が広がる作品の数々を眺めていくのは、とても魅力的な体験です。庭先のような身近な場所で撮られたものでも発見があり、楽しく、美しい世界が広がっているものです。
金賞に選ばれたのは、南雲るいさんの「厳冬」です。この作品を見て「これはかわいい! どんな人が撮ったのだろう?」と思いました。写真には撮影者の気持ちが写るといいますが、さぞ優しい人が撮ったのだろうと想像が膨らみます。被写体であるアルビノのエゾリスは目を隠しているのに、これほど印象的な作品になるのは珍しいもの。ふわふわの毛並みと雪の結晶まで見えるシャープな描写は、NIKKOR Z 400mm f/2.8 TC VR Sの立体感のあるボケ味を最大限に生かした、このレンズだからこその表現だと思います。タイトルは「厳冬」ですが、じんわりと体温が感じられる心温まる作品です。
銀賞は、伊熊教宏さんの「命を紡ぐ眼、峙つ覚悟」。迫力のある力強い作品で、これは本当に水中なのだろうかと思ってしまうほど鮮明な描写に驚きました。ナガレヒキガエルの産卵シーンを、広角レンズで正面から近寄ってとらえており、眺めていると今にも動きだしそうな、アニメのような世界観にも感じました。金色に輝く眼光やゴツゴツとした肌の質感も素晴らしく、光の入り方、プリントの仕上げも美しいです。
銅賞の3作品も素晴らしいものばかりです。まず大本僚さんの「黎光」は、美しく格調の高いプリントに思わず見とれてしまいました。イタリアの雪山に数日間籠もって撮ったとのことです。組み合わせのバリエーションが豊かで見応えがあり、よく考えられた組写真だと感じました。雲海と美しい光に包まれた夢のような景色で、素晴らしい条件に恵まれましたね。
佐藤章さんの「不安と好奇心の向こう側」は、まるでこの子ギツネのお母さんが撮ったかのような優しい視線が新鮮でした。一体どうやって撮影したのか? こんな世界は今まで見たことがありません。不思議なアングルに惹きつけられますし、佐藤さんの愛情と、子ギツネのドキドキする気持ちも伝わってきます。レンズは、NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaで、絞り開放を使いこなしていますね。
そしてもう1点が、齋藤有弘さんの「北の海のポリフォニー」です。北の海の、こんな小さな世界をどのように見つけて撮影したのかと驚きました。写っているのは、どれも想像も及ばないほど小さな生き物たちです。冷たい海の中、齋藤さんはどんな考えを巡らせながら撮影したのでしょうか。アマモの雄花から花粉が飛んでいくシーンは生命の不思議にあふれていますし、組写真それぞれのライティングも工夫されています。
プリント部門では、美しくプリントを仕上げる技術も大切ですが、それ以上に見る人の心を打つのは、作品から伝わる作者のリアルな感情です。モニターで見るのとはまた違った、作品の透明感や重厚な印象がダイレクトに感じられるのも、プリント部門ならではの面白さだと思います。次回も、魅力的な作品の数々を期待しています。



