私と星空
カメラだから写せる暗闇が見せる風景
<前編>
一つの被写体を追い求め続けるプロの写真家に、忘れられない思い入れの強い撮影を振り返っていただきます。
彼らは何を追い求め、どのような思考でシャッターを切るのか。
星空写真家/タイムラプスクリエイター・成澤広幸氏が魅了され続けてきた星空。前編は、「地上風景を活かす星景写真」です。
後編もチェック!「時の流れを凝縮させるタイムラプス動画」
とは?
地上風景があるからこそ際立つ星々の輝き
真っ暗な中を歩き、満天の星空に感動し、撮影できた写真にさらに感動する。光がたっぷりとある日常では味わえない体験に魅了され、10年以上星空撮影を続けてきました。星そのものの美しさはもちろんですが、「どこで見た星空なのか」もしくは「誰とどういう状況で見たのか」という記憶が結びつくことで、より思い入れのある写真になると考えています。
その時に体験した天文現象も重要な要素です。空の暗いところ(星が美しい場所)では、大気の発光現象「大気光」が写り込む時があります。上の写真は、モンゴルで撮影した大気光です。構図の右側にまるでオーロラのようにとても美しく写り込んでくれました。左に天の川、右に大気光、空の構図のバランスをとることも重要な考え方です。
友人と一緒に訪れた1月末の北海道。この場所は朝方に昇ってくる夏の天の川との絡みが人気ということもあり、その構図が撮れる位置の雪にはたくさんの足跡がありました。星空をメインに撮るなら支障はないのですが、私は地上風景を活かす「風景写真要素の強い星景」にこだわりを持っています。周囲を歩き、反対側に足跡のない雪原を発見。その位置から低い位置にある冬の天の川が撮影できる時間帯を選んで撮ることに。
星だけでなく地上風景を入れることで「どういう状況で星を見たか」が伝わり、写真を見た方も追体験をできるのではと考えています。星景写真は背景が必ず星になるため、星空メインで撮影していてはマンネリ感を生みやすい。地上風景の構図の工夫が必要です。超広角レンズで、近景・中景・遠景の星空という奥行きを意識。地上と星空で1枚の風景作品としての完成度を追求しています。
富士山山頂・剣ヶ峰を50mmで。奥行きを意識するため超広角での撮影が多いですが、上の写真では50mmで風景の一部と低い位置にある星を切り取リました。絵本のワンシーンのような情景。こうした広角レンズ以外の標準域のレンズで、低い位置の天の川や星座と地上風景を撮影する手法を「クローズアップ星景」と呼んでいるのですが、様々な表現を模索しています。ぜひチャレンジしてみてください。
カメラだから描ける星の軌跡
星は1時間で約15度動く日周運動をしており、カメラで軌跡を描くことで人間の目では知覚できない時間や自然の雄大さを体感できます。撮影後にPCで合成するのが一般的でしたが、カメラ内で多重露出(比較明合成)ができるため、現地で「撮れた」という実感が得られます。
ただ、何枚も合成すると明るくなりすぎて星の色が白飛びしやすく、星の数も写りすぎてしまい地上風景とのバランスが悪くなります。露出時間を最長の900秒として1時間以上になるよう5枚合成。星の光の色を残し、繊細に軌跡を描写しました。この撮影方法にはレリーズが必要で、多重露出(比較明合成)の状態で連写モードに設定してレリーズをロックします。すると、900秒の露出を連続で撮影してくれます。
星の動く量が少ない北の空では有効なテクニックですが、1枚の長秒露出も表現が変わるのでおすすめです。特に夏の天の川をあえて300秒程度の露出で軌跡にする描写が私のお気に入りです。

星空撮影では暗所でのスムーズな操作が大事
暗い中での操作を確実にするため、メニューをカスタムして必要な設定をすぐ呼び出せるようにしておきます。
Z8などの機種では、暗所でも画面が見やすくなるスターライトビューや、操作に必要なボタンが光るイルミネーター点灯などがあり、おすすめな機能です。これらをカスタムボタンに割り当てるとさらにスムーズに操作できます。
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写真家の思考を辿る撮影紀行
5つの被写体、5人の写真家。「風景」「ポートレート」「鉄道」「飛行機」「星空」…。どのような思考でシャッターを切るのか、彼らの撮影の記録を追います。
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