私と風景 一期一会の桜旅<後編>
一つの被写体を追い求め続けるプロの写真家に、忘れられない思い入れの強い撮影を振り返っていただきます。
彼らは何を追い求め、どのような思考でシャッターを切るのか。
風景写真家・星野佑佳氏の「桜旅」。後編は、水面描写に見出す無限の可能性です。
前編もチェック!「悪条件でも諦めない、今しか撮れない
風景」とは?
風景写真家 星野 佑佳
2000年から海外や日本全国を放浪しながら撮影を始める。2005年より地元である京都の風景や風物詩の撮影も手掛ける。近著に『京の祭と行事365日』(淡交社)がある。2011年からスタートした『風景写真』で旅をつづった連載に未発表の作品をプラスしたフォトエッセイ集『撮り旅』を刊行。続編の『もっと撮り旅』をニコンイメージングジャパン公式WEBにて掲載中。
シャッタースピードで水面の描写を模索
前編では「目の前にある光景からストーリーを思い描く」とお伝えしましたが、要素が少ない場合は水に注目します。
川沿いに多い桜。水面描写を意識すると、写真の表情が大きく変わります。
上の写真では、風によるさざ波が起きていました。リフレクションは消えてしまいますが、空の色を反射し、波による青の濃淡で、背景に表情が生まれました。
1/200秒
8秒
こちらは、川の流れによる波です。波の起伏の片側は青空を映し、起伏の反対側は対岸の桜並木の色を映しています。1枚目の写真では、花筏とともに反射による模様が流れていく、その動的な美しさを写し止めました。
2枚目の写真では、8秒のスローシャッターに。波が溶け合ったような滑らかな水面になり、表情が大きく変わります。同じ場所でもシャッタースピードを変え、様々な表現を模索するようにしています。
水辺での思わぬ出会いを作品としてどう切り取るか
桜が咲く川辺でサギを発見しました。
桜を前ボケに春を感じながら、サギと水面反射が入るアングルで構図を決め、くちばしで波紋ができる瞬間を待つ…。ピントは被写体検出に任せることで、シャッターチャンスに集中することができました。動く被写体が苦手な私でも、カメラによってチャレンジできるのがありがたいです。
青森・弘前の桜並木。朝日に染まる光景があまりに美しい...。
朝は鳥たちが活動的に。水面反射を撮ろうとしましたが、水辺を泳ぎ始めたのでどのように入れるか考えます。
鳥の動きを流して撮ると何か分からなくなるため、鳥と軌跡をしっかり写し止めるように。軌跡が中途半端な位置に入ると邪魔になってしまうので、桜の映り込み部分に入れて見やすくすることでアクセントにしました。水面の桜はまだ陰に。軌跡には朝日が反射しているのもポイントです。
もう一つ気をつけなければいけないのが、逆光で明暗差が激しい場面でのトーン表現。朝日の色を優先すると黒つぶれしやすい条件ですが、桜の淡い色を出すためにアクティブD-ライティングを「より強め」に設定しました。逆光時でも自然で滑らかなトーンを描き出してくれるアクティブD-ライティングをよく使います。
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5つの被写体、5人の写真家。「風景」「ポートレート」「鉄道」「飛行機」「星空」…。どのような思考でシャッターを切るのか、彼らの撮影の記録を追います。
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