連載企画『写真家と学ぼう!カメラ初心者ガイド』。カメラ初心者のナツキちゃんと一緒に、カメラや撮影の基本を学んでいきましょう!
Step6は「撮影モード」です。フォトグラファーの嵐田大志さんに、F値やシャッタースピードを変えて撮影するためのモードの種類と特徴を教えていただきます。
ナツキちゃん
スマホで写真を撮っていたが、「もっと素敵な写真を撮りたい」とついにカメラを購入。選んだのはAPS-Cサイズのミラーレス「Z fc」と単焦点レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)」。モットーは「とりあえずやってみる」。好奇心旺盛で、少しうっかりやさんな女の子。嵐田大志さん
家族写真や都市風景を中心に撮影するフォトグラファー。3児の父であり、子供の誕生を機に写真にのめりこむ。

あれ…、ぼかすためにF値を調整したいけど設定が変えられないな~。

「撮影モード」がAUTOになってるんじゃないかな?

撮影モード?
Z fcの撮影モード

「A」や「P」と書かれてるのが撮影モードだよ。「AUTO」はシャッターボタンを押すだけで簡単に撮れるけど、設定は変えられないんだ。

そうだったのかぁ。でも、どれにすればいいんですか?

それぞれ変えられる設定が違うから、まず特徴を覚えよう!

はい、どんとこいです!
撮影モードの特徴を覚えよう!
撮影モードは主に5つあり、F値とシャッタースピードを変えられるかどうかが大きな違いです。
- AUTO:カメラがすべてを自動で設定し、シャッターボタンを押すだけで撮れる。露出補正できない機種が多い(Z fcはAUTOでも露出補正が可能)。
- P(プログラムオート):AUTOに比べて、露出補正やISO感度の変更など設定できる要素が多い。
- A(絞り優先オート):F値を自分で決めると、カメラが自動でシャッタースピードを調整する。
- S(シャッター優先オート):シャッタースピードを自分で決めると、カメラが自動でF値を調整する。
- M(マニュアル):F値とシャッタースピードを自分で決める。

特徴をまとめるとこうなるよ!
※P・A・S・Mモードでは、ISO感度の設定を自動にするか、手動操作にするか選べます。

これを見ると、Mモードが自由に設定できていいってことですね!

ちょっと待って! Mモードは設定に慣れてないとハードルが高いと思うよ。

そうなんですね…。どのモードがいいんだろう?
ボケを楽しみたいなら「A」モード

ナツキちゃんは、きれいなボケ写真を撮りたいんだったよね?

はい!

ボケ写真を撮りたいと決まってるなら、Aモードを使ってみよう。F値を変えられるから、はじめから大きくボケる状態で撮影できるし、ボケ方の微調整もスムーズなんだ。


Aモードで、F値を設定して撮影。

ボケ方にこだわるなら、Aモードですね!

僕も基本はAモードにしていて、植物や人を強調したいときによく使ってるよ。
手軽に撮れる「P」モード

他のモードはどんなときに使うんですか?

PモードはAUTOと同じ感覚で、さっと撮影できるのが強みだね。僕はスナップでよく使うよ。


Pモードで撮影。

それに、同じ明るさのままで、F値とシャッタースピードの組み合わせを変えることもできるんだ。


左:F6.3・1/6秒、右:F2・1/60秒。メインコマンドダイヤルを回すと、同じ明るさのままでF値とシャッタースピードの組み合わせを変えられます。

明るさが同じでも、雰囲気が全然違いますね!

カメラをはじめたばかりの人には、AモードやPモードがオススメだね。
動くものなら「S」、細部にこだわるなら「M」モード

じゃあ、SモードやMモードはどんなときに使うんですか?

シャッタースピードを変えたいときはSモードにするといいよ。動くものを写し止めたり、あえてぶらして躍動感を出したりできるんだ。


Sモードで、シャッタースピードを設定して撮影。

動くものならSモードですね!

最後のMモードは、「背景はぼかさず、被写体を写し止めたい」とか、より細かく調整したいときだね。


左右とも1/4000秒で撮影。左:SモードでカメラがF2.2に自動設定、右:Mモードで背景がボケないようにF5.6に設定。

Mモードだと、こんなこともできるんですね!

露出は自分で合わせる必要があるから、慣れてきたら挑戦してみてね!
Mモードの露出は目盛りで確認
Mモードでは、モニターやファインダーに現状の露出が目盛り「露出インジケーター」で表示されます。
真ん中の「0」を基準に、プラス側なら明るく、マイナス側なら暗く写ります。

やっぱり、撮影に慣れてる人はみんなMモードを使ってるんですか?

そんなことはないと思うよ。僕はAモードが基本で、街中でスナップを撮るときにはPモードを使うことが多いんだ。

そうなんですね! なんだか安心しました。ふんわりボケやきれいな玉ボケの写真を目指して、Aモードで撮ってみます!
撮影モードのまとめ
- P(プログラムオート):スナップなど、シャッターチャンスを逃したくないとき。
- A(絞り優先オート):ボケ方を調整したいとき。
- S(シャッター優先オート):動くものを撮るとき。
- M(マニュアル):F値とシャッタースピードを細かく調整したいとき。
NEXT STEP!
次は、撮影で大事な「ピント合わせ」についてです。F値などをうまく設定できても、ピントがズレてしまったら台なしですよね。フォトグラファーの鎌田風花さんに、ピントの合わせ方について教えていただきます。
>Step7 ピントの合わせ方
キャラクターイラスト:福士陽香(@f___haru)
Supported by L&MARK
※画面キャプチャ―や機能名は Z fcのものを記載しております。

嵐田大志
本業の傍ら、東京をベースにフォトグラファーとして活動。LightroomやVSCOを活用し、フィルム風の空気感を表現。家族や身近なものを中心にしつつ、頻繁に旅する海外でのスナップを撮り続けている。