撮影の基本を解説する『写真家と学ぼう! カメラ初心者ガイド』。今回は「空」の撮り方です。空を主役にする際の設定や、青空・夕日と時間や天気による空の表情の変化など、空を魅力的に撮影するポイントを、フォトグラファーの相沢亮さんに教えていただきます。
Photo by 相沢 亮
ナツキちゃん
スマホで写真を撮っていたが、「もっと素敵な写真を撮りたい」とカメラを購入。相棒はAPS-Cサイズのミラーレス「Z fc」と単焦点レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)」。モットーは「とりあえずやってみる」。好奇心旺盛で、少しうっかりやさんな女の子。相沢亮さん
東京在住のフォトグラファー。光と影を生かし、暖かいオールドシネマの世界のように日常を撮ることを得意としている。

はじめまして! 相沢さんの写真、いつもSNSで楽しみに見ています!

ありがとう! ナツキちゃんは、いろいろな被写体の撮り方を勉強中だって聞いたけど、次はどんな被写体に挑戦してみたい?

空を撮りたいです! 撮ったことはあるんですけど、「きれいだな」って感じた空をうまく写真に写せなくて…。
ナツキちゃんが撮った空の写真

ちょっとしたコツを覚えれば、ドラマチックな空の写真が撮れるようになるよ!

ドラマチック…ぜひ教えてください!
空の撮影にオススメなカメラとレンズ
- カメラ: Z fcのように軽量なカメラは、バッグに入れて気軽に持ち出せるので、「今日の空がいいな」と思ったらサッと撮影できます。また、フルサイズカメラはセンサーが大きく、光をより取りこめるため、ISO感度を上げて撮影する際もノイズを抑えることができます。夜明け前の薄暗い時間帯や星空撮影にもオススメです。
- レンズ:標準域の焦点距離(APS-Cサイズの場合28mmなど)であれば、自然な見た目でその場の雰囲気を切り取れます。さらに広角域があれば空を迫力のある画角で写せ、望遠域(35mm判換算で70~200mm程度)があれば雲や太陽・月などをより印象的に写すことができます。
Z fc、NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)/撮影地:SKY CIRCUS サンシャイン60展望台 標準(35mm判換算42mm)で撮影
Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR 広角(35mm判換算24mm)で撮影
空を撮るときの設定
基本はAモードでOK

空をイメージ通りに写すには、露出の設定が変えられる撮影モードがポイントだね。

私はいつも、A(絞り優先オート)モードで撮ってるんですけど…。大丈夫ですかね?

空の状態に合わせてF値を調整するのがメインだから、AモードでOKだよ!

よかったぁ~!

僕はF値とシャッタースピードを調整できるM(マニュアル)モードで撮ることが多いんだけど、飛行機や鳥みたいに動く被写体を入れて撮るときは、シャッタースピードを調整できるS(シャッター優先オート)モードもオススメだよ。
Sモード(1/500秒)で撮影した空の写真

わー、こんな写真も撮ってみたいです!
F6.3~8.0程度で空全体にピントを合わせる

「F値を調整したい」と話したけど、空全体にピントを合わせて撮りたいときはどうすればいいかな?

たしか、F値が大きいほどピントの合う範囲が広くなるんでしたよね?

そう! F値を6.3~8.0程度を目安にするといいよ。
F8で撮影

光が強くて白とびしすぎてしまう場合には、光の色がしっかり出せるように、下の写真みたいにさらにF値を大きくすることもあるんだ。
F11で撮影

今まであまりF値を大きくすることがなかったんですけど、全体をくっきり写せるんですね!

でも、暗くなってくると露出の確保が難しくなるから注意は必要だよ。手持ち撮影でこれ以上シャッタースピードを遅くするとブレてしまう場面では、F値を調節して少しずつ明るさを確保することもあるんだ。
夕方で薄暗くなってきたため、F5.6で撮影

まずは露出確保をして、その上でF値を大きくしていくといいんですね!

そうだね!
ピントは雲や空の近くの建物に

ピントが合う範囲を広げた上で、ピントを合わせる位置の目安ってありますか?

雲や空の近くの建物に合わせるのがオススメだよ。広角で広く写す場合には前方にある目立つ建物を見つけて、そこにピントを合わせることも多いんだ。
手前のいちばん高い建物にピントを合わせて撮影

それはわかりやすいですね。やってみます!
空を魅力的に写すためのポイント
「空だけ」にするか「空+地上」にするか

基本の設定ができたら、実際に撮ってみよう。「空だけ」「空+地上」と、どちらかになると思うんだけど、ナツキちゃんはどっちが多いかな?

気にしてなかったんですけど、空をメインで撮ることが多いと思います。ただ、焦点距離が固定なので、まわりのものが写りこんでしまってますけど…。

意識して「空だけ」「空+地上」と構図を決められるようになるといいね。空には入道雲や虹、飛行機といったポイントになる被写体があるから、それを際立たせるときに空だけを切り取るのがオススメだよ!
50mm(35mm判換算75mm)で空だけを切り取った写真

すごく迫力がありますね!

望遠にズームできるレンズならこういう写真が撮りやすいし、撮った後に空だけトリミングしてもいいと思うよ。

なるほど!

次は「空+地上」だけど、地上風景を一緒に写すと、空のスケール感を表現できるんだ。


左:空だけの場合、右:地上の風景を入れた場合

雲の大きさがより際立ちますね!
地上を入れる場合は空:地上を2:1や3:1の比率で

空を魅力的に写すには、空と地上との比率も重要なポイントなんだ。

比率?


左:空2:地上1、右:空3:地上1

僕は空の広さを強調するために、空と地上を2:1や3:1の比率で撮ることが多いよ。
空を背景として生かしたいときもあると思うけど、特徴的な建物や海といった見せたいものに合わせて地上の比率を大きくすることもあるんだ。その場合、二分割や三分割を意識するとバランスがいいよ。


左:空1:地上1、右:空1:地上2

それぞれ、よさがありますね!

あとは下の写真みたいに、横か縦かでも印象が変わるよ。


左:横構図、右:縦構図
- 横構図:空の広がりを見せたい場合
- 縦構図:空の高さや風景の奥行きを見せたい場合

空の広さと高さのどちらに惹かれたか、余白のバランスを見ながら構図を決めてるんだ。

なるほど! 上に昇る入道雲だったら、縦のほうがよさそうですね!
高い場所から撮ってみよう

空は、撮影する場所によっても見え方が変わるよ。「空が撮りたい」「空がきれい」と思ったら、まずは高いところに上ってみよう。

高いところ?

僕は普段、歩道橋や展望台から撮ることも多いよ。高くなるほど空を広く撮れるし、普段見てる景色とは違う視点で特別感もあるんだ。
地上から撮影
歩道橋の上から撮影
展望台から撮影

歩道橋に上るだけでも印象が変わりますね!

まわりの建物より目線が高くなるから、空を広くとらえることができるんだ。
空ごとの撮り方のポイント
青空は順光で立体的に写す

空を撮るときは「太陽の位置」も大事だよ。青空を撮る場合は、太陽から遠い空を写すと青色が濃く出るんだ。


左:太陽から近い空、右:太陽から遠い空

違いますね! 今までまったく意識してませんでした。

太陽が真上よりも少し傾いてる時間に順光で撮ると、雲にも陰影ができて立体的に写るんだ。地上風景の影も横にできて、ドラマチックな仕上がりになると思うよ。

私もこんな入道雲を撮ってみたいです!

入道雲は「積乱雲」とも呼ばれるんだけど、雷や大雨をもたらす雲だから、天気が不安定な日や夕立の予報が出てる日なんかに見られる可能性が高いんだ。

なるほど~。空を撮るときには天気予報のチェックも大切なんですね!
美しい夕焼けや朝焼けは逆光で

夕焼けや朝焼けを逆光気味で撮るのも、ドラマチックでオススメだよ。
夕焼け

私、夕焼け大好きです!!

夕焼けや朝焼けは太陽に近いほど色が濃くなるんだけど、直接太陽を画角に入れると明暗差が激しいから、意図せず空が真っ白になったり地上風景が真っ黒になりやすいから注意が必要だね。

ちょっと難しそう…。

大丈夫! 太陽を画角に入れなくても、照らされて赤く染まった雲や地上を写すことで、ドラマチックな写真は撮れるよ。秋や冬の空気が澄んだ季節には、太陽と反対側の空がピンク色に染まる「ビーナスベルト」という現象も見られるしね!
ビーナスベルト

幻想的な色でとっても素敵ですね!

それに、下の写真のように太陽全体が地平線の上になければ、明暗差もそこまで大きくならないんだ。

タイミングを意識すれば、撮りやすくなるんですね!
いろんな空の表情を撮ろう!

空は天気や季節でも表情が変わるから、同じ場所でも日々違う写真が撮れるんだ!
空に虹がかかってるときや、雲の切れ目から太陽の光が注ぐ「天使のはしご」が見られたときなんかは、絶好のシャッターチャンスだよ。
虹がかかった空
「天使のはしご」

いろいろな空の表情があって、わくわくしますね~!
空をイメージ通りに仕上げるポイント

撮影した空の写真は、後から編集することで、よりイメージ通りに仕上げることができるんだ。僕は普段、色味の調整がしやすいLightroomなどを使って編集してるよ。
>撮影後の写真編集の仕方はこちら

撮影後の編集は、この前教えてもらいました!

空を編集するときには、青空が不自然な色にならないように自然に仕上げること、夕焼けや朝焼けはグラデーションやピンクの色味を魅力的に引き上げるのがポイントだよ。


左:編集前、右:色味をメインに編集

上の写真は、少しレトロに仕上げたくて、カラーミキサーでブルーの色相を緑寄りにしてるんだ。

色の調整が大事なんですね!
私はいつもJPEGで撮影をしてるんですけど、撮影前のオススメの設定も知りたいです!

青空の場合は、ホワイトバランスを「オート」の白優先(A0)にすると、雲の色をしっかり写すことができるんだ。夕焼けや朝焼けの場合は、色温度を上げると暖色に、下げると寒色やピンク色が強調されるんだけど、これは好みによって調整すればいいと思うよ。


左:ホワイトバランス「オート(A0)」、右:ホワイトバランス「晴天日陰」

好みでいいんですね! 早くいろんな場所に出かけて、空の写真を撮りたくなりました!
相沢さんが教える、空撮影のアイデア
- 窓に反射した空を撮る:ガラス張りのビルなどは空をきれいに反射します。反射を際立たせるポイントは、実際の空と反射した空を1:1にすること。下の写真では、広角で前景を広く取り入れ、太陽に向かうような奥行きのある構図にしました。
Z 7II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
- 日中の月で画づくり:月は夜のイメージがありますが、日中でも見られます。下の写真は、都市の上に浮かぶまん丸な月を夕方に撮影しました。夜とは違って月と地上との明暗差がそこまで強くないため、街と月の両方のディテールを描写しやすいです。
Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR/撮影地:カレッタ汐留 スカイビュー
- 飛行機をアクセントに:たっぷり余白を設けた空の中に飛行機を入れると、アクセントになるのと同時に、空のスケール感が際立ちます。広角で小さく飛行機を撮る場合は、1/500秒以上のシャッタースピードが目安です。
Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
NEXT STEP!
次の被写体は「夜景」です。暗い場所で撮るときに失敗しやすい「ブレ」「ノイズ」を防ぐための設定の仕方や、夜景を魅力的に写すためのポイントを、引き続きフォトグラファーの相沢亮さんに教えていただきます!
Licensed by TOKYO TOWER
キャラクターイラスト:福士陽香(@f___haru)
Supported by L&MARK
