撮影の基本を解説する『写真家と学ぼう! カメラ初心者ガイド』。今回は「料理」の撮り方です。おうちやカフェで料理をより美味しそうに写すためのポイントを、フォトグラファーのmisuzuさんに教えていただきます。
Photo by misuzu
ナツキちゃん
スマホで写真を撮っていたが、「もっと素敵な写真を撮りたい」とカメラを購入。相棒はAPS-Cサイズのミラーレス「Z fc」と単焦点レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)」。モットーは「とりあえずやってみる」。好奇心旺盛で、少しうっかりやさんな女の子。misuzuさん
大学1年生のときにカメラをはじめ、現在はフリーランスフォトグラファーとして幅広く活動。ウエディングフォトやマタニティフォトを得意としている。

はじめまして! misuzuさんの写真が好きで、いつも見てます!



うれしいなぁ。ありがとう!

料理の写真もすごく素敵で、私も上手に撮るためのコツを知りたいです!

自分で作った料理とか、友達と行ったお店の記録を、素敵に残したいよね!
料理撮影に向いているカメラとレンズ
- カメラ:軽量・コンパクトなカメラはどんな場所にも持っていきたくなります。料理を上から俯瞰で撮るときは、可動式モニターがあると便利。特にバリアングルでは縦構図での画づくりもしやすいです。さらに、サイレントモードがあるとお店でも周囲の迷惑になりません。
コンパクトな Z fcはファッションになじむため、カフェなどに持っていくのも楽しくなります。
- レンズ:開放F値が小さいものが、ボケを生かして背景整理をしながら、被写体を際立たせることができます。F2.8以下であれば十分です。焦点距離は標準のものが自然な見た目で撮ることができます。また、近づいて撮ることで、料理の照りやドリンクの水滴を写せるため、最短撮影距離が短いものがさらにオススメです。
NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)は最短撮影距離が0.19mと、被写体にかなり近づいて撮影できます。
料理を撮るときの設定

私は普段、A(絞り優先オート)モードでいちばん小さいF値で撮影してるんですが、料理の撮影もそれで問題ないですか?

基本はそれでOKだよ!
F値は、メインの被写体を際立たせるときは小さくするのがオススメだね。F値が小さければ、お店で後ろにいる人や飛沫防止パネルとか背景の写したくない要素もぼかせるんだ。F2.8くらいならスープやドリンクとかメイン以外のものがほどよくボケて、いい雰囲気を出せると思うよ!
F2.8で撮影

F値を大きくする場合もあるんですか?

テーブル全体を写したり、一緒に行った人、お店の雰囲気も含めて撮影するときは、F4程度にして撮影してるよ。


F4以上で撮影

たしかに、より雰囲気が伝わりますね! F値の使いわけ、今度からしてみたいです。

露出に関しては、ISO感度にも気を使ってるよ。自宅や店内では、撮影位置や光の入り具合で全然明るさが違うからね。

そっか! どれくらいを目安にすればいいんでしょう?

私はこんな目安で設定を変えてるよ。
【ISO感度の設定目安】
- 窓際の光がよく入る場所:ISO100程度
光が入る場所で、ISO160で撮影
- 落ち着いた雰囲気の暗めの室内:ISO1000~1600程度
夜の室内で、ISO1600で撮影

そのときの光の強さでも違うから、真っ白になったり、真っ黒にならないように注意は必要だね。

わかりました!

あとはピント合わせだけど、ナツキちゃんはどうしてる?

え!? 初期設定の「オートエリアAF」で、料理のどこかに合っていればそのまま撮ってました…。

私は「シングルポイントAF」を使ってるよ。ソースの照りやチーズが溶けてる部分、グラスの水滴とか、料理の中でも「美味しそう」って感じた部分にピンポイントで合わせてるんだ。Z fcはタッチAFがあるから、「ここがいい」って思ったところに直感的に合わせられるよ。
シングルポイントAFで、サンドイッチの具材にピントを合わせた写真

一つの料理の中でも、主役を決めるといいんですね!
料理を魅力的に撮るためのポイント

設定ができたら、実際に撮るときのポイントだね。

特に、何を意識すればいいですか?
窓際の席で横からの光を生かす

やっぱり、写真の印象を左右する「光」だね。料理本来の色味を表現するには、自然の光で撮るのがオススメだよ。家では窓際にテーブルを置いて、お店では窓際の席に座るようにしてるんだ。

窓際ですね! どういう光のときがオススメですか?

私は半逆光やサイド光のときによく撮影してるよ。
- 半逆光:湯気を際立てやすく、透明なグラスなら光が透過してきれいに写る。


- サイド光:影が出やすく明暗のメリハリがつき、立体感を出しやすい。

素敵な雰囲気ですね!
サイド光って明暗の差が強くて“かっこよく”写るイメージがあるんですが、やわらかめに写すコツってありますか?

光が弱い午前中に撮影したり、窓から撮る位置を離したり、カーテンで光の強さを調整したりしてるよ。
光が弱い午前中にサイド光で撮影

サイド光でもやわらかい印象になりますね!
…ところで、窓際に座れなかったり、晴れていない場合はどうしたらいいでしょう?

座った席に光が入らない場合は、動きを入れて撮影したり、照明を利用して店の雰囲気も含めたり、料理以外にも視線がいくように構図を工夫して撮ることが多いよ。
自然光が入らない場所で撮影

そうすると、光が入らない席でも雰囲気よく撮れるんですね!
「美味しい瞬間」をとらえる

料理には「美味しい瞬間」というのがあって、それを撮れるといいね!

美味しい瞬間…?

チーズが伸びてる瞬間や出来立ての湯気とか、料理ならではのタイミングがあるんだ。湯気を撮るときは暗い背景を選ぶと際立つよ。



たしかに、見てるだけで美味しそうですね!

冷たいドリンクだとグラス表面に水滴がついてるときがあると思うけど、水滴を残してピントが合うように写すと「冷たさ」がより伝わるよ。中身をしっかり写したいときは、表面を拭いてから撮ってるんだ。グラスは反射するから、変に目立ってしまうものがないかは撮ってから確認するようにしてるよ。


左:水滴を残して撮影、右:水滴を拭いてから撮影

そういうことも気をつけてるんですね!

あとは、動きがある写真も撮ってみてほしいな! シロップをかける瞬間や、片手にスプーンや食べ物を持ちながら撮影する場合は、S(シャッター優先オート)モードで、シャッタースピードを1/200秒以上に設定するようにしてるよ。
1/250秒で撮影

料理でも動きってあるんですね! Aモードの撮影に慣れたらSモードでも撮ってみたいです。
何を見せたいかでアングル・構図を使いわける

次は構図だけど、ナツキちゃんはいつもどんなアングルで撮影してる?

そうですね…席に座った状態で、目線と同じです。

少し下に向けて…だね。被写体の高さや盛りつけ方で、斜め下か真下に向けるか変えてみるといいよ。
※上からカメラを下に向けることを「俯瞰」と言い、真下にカメラを向けることを「真俯瞰」と言います。

高さや盛りつけですか?

例えば、パフェやプリン、ハンバーガーや重ねたパンケーキとか高さのある料理は、斜め45度くらいの角度で撮ると、自然な雰囲気のまま高さもしっかり感じられる写真になるよ。
斜め上から撮影

ワンプレート料理やラテアートされた飲み物なんかは、上から撮るとどんな盛りつけか伝わりやすいよ。テーブル全体の料理を写したいときも真上から撮影するとわかりやすいんだ。


真上から撮影

真上からだと、並んだ料理全体がきれいに写るんですね!

あとは「寄り・引き」の使いわけもできるといいね!
- 寄り:メインの料理単品で「美味しそう」と感じる部分を強調したいとき
- 引き:メイン以外の料理やテーブル全体も撮影したいとき


左:寄り、右:引き

お店だと席に座ってるので、そこまで意識してなかったです。

席に座った状態でも、前かがみになったり、少し背をそらしたりすると、写す範囲は結構変えられるんだ。


(左)座った状態で寄り、(右)座った状態で引き

席に座ったままでも、ここまで変わるんですね!

席の上には料理以外もあるから、料理の後ろに移動させて小さいF値でぼかしたり、写りこまないよう構図を整理するのも大事なんだ。

そういう工夫で、料理がより際立つんですね!

そうなんだ! あとは、定番の構図も覚えておくといいよ!

知りたいです!
【料理撮影にオススメの構図】
- C字構図:アルファベットの「C」のように、皿などの一部が見切れるように配置。大胆に寄って写したい部分にフォーカスすることで、より美味しそうに写せます。一部を切り取ることで写っていない部分の想像も膨らみます。
- くの字構図:3つ以上の被写体があるとき、「く」の字を描くようにジグザグに配置すると、複数の被写体をバランスよく写せます。高さのあるものを奥に、低いものを手前に配置するのがコツです。

皿は見切れてもいいんですね! カフェだとスイーツとドリンクも一緒に写したいので、「くの字構図」をやってみたいです!

「くの字構図」で小物や料理で高さを出すのが難しい場合、コップを持ってもらったり、背もたれの高い椅子を置いたりして、意図的に奥に高さを出すとバランスがとりやすいよ。
それに、盛りつけの華やかな部分を手前側に持ってくるとか、ちょっとしたことで見た目にも美味しく写せるからね!

少しの意識で変わるんですね! 食事も写真も楽しみながら撮影してみます!!
misuzuさんが教える、料理撮影のアイデア
- 前ボケで奥行きや雰囲気を出す:1品だけを撮る場合、単調になりがちですが、テーブル上の植物や手前の料理を前ボケにすることで、奥行きや雰囲気を出せます。
- 小物で色数を調整:色が少ない場合でも、ハンカチなどを敷いてほしい色を足すことができます。
撮影協力:畔家
お店で撮影するときの注意点
- 撮影してよいかお店の人に確認:料理を注文する際に、撮影してよいか必ず確認しましょう。
- 撮影は自分の席で:自分の席以外で立って撮るのは周囲の迷惑になります。どうしても撮りたい場合は、人が少ない時間帯やテラス席など席間が広い場所で、お店の人の許可をもらってから行いましょう。
- サイレントモードでシャッター音を消す:他の人の楽しい食事や会話の雰囲気を壊さないように、シャッター音は消して撮影しましょう。特に静かなお店では忘れずに。
- 撮影ではなく食事がメイン:カフェやレストランは料理や雰囲気を楽しむ場所です。さっと撮影を済ませ、しっかり料理を楽しみましょう。
NEXT STEP!
次の被写体は「空」です。空を主役にする際の設定や、青空・夕日と時間や天気による空の表情の変化など、空を魅力的に撮影するポイントをフォトグラファーの相沢亮さんに教えていただきます。
キャラクターイラスト:福士陽香(@f___haru)
Supported by L&MARK
※一部、上記以外のNikon機材で撮影した写真が含まれております。

misuzu
1995年 香川県出身。大学一年生の時にカメラを始め、自身の作品集としてinstagramを開設。柔らかな空気を感じさせる写真からスタートし、現在は独特のセンスで捉えたフィルムポートレートやナチュラルな日常写真が人気を集めている。学生時代には日本最大級の水族館でワークショップを実施し、近年ではカメラメーカ等でトークショーや写真展を開催。現在は、フリーフォトグラファーとしても活躍している。