連載企画『写真家と学ぼう! カメラ初心者ガイド』。カメラ初心者のナツキちゃんと一緒に、カメラや撮影の基本を学んでいきましょう!
ついに、はじめてのカメラとレンズを手に入れたナツキちゃん。Step4は「F値(絞り)とボケの関係」について、フォトグラファーの嵐田大志さんにきれいなボケ写真を撮るためのポイントを教えていただきます。
ナツキちゃん
スマホで写真を撮っていたが、「もっと素敵な写真を撮りたい」とついにカメラを購入。選んだのはAPS-Cサイズのミラーレス「Z fc」と単焦点レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)」。モットーは「とりあえずやってみる」。好奇心旺盛で、少しうっかりやさんな女の子。嵐田大志さん
家族写真や都市風景を中心に撮影するフォトグラファー。3児の父であり、子供の誕生を機に写真にのめりこむ。

カメラを買ったからには「きれいなボケ写真」をどうしても撮りたいんですけど、どうすればいいですか? 嵐田さんのSNSで見たこういう写真が撮りたいです!


Photo by 嵐田大志

ボケの決め手になるのは、「F値」だよ。
「F値」とは?
レンズには、光を通す量をコントロールする「絞り」という部品があります。「F値」は、この絞りの大きさの違いからくる、カメラに取りこむ光の量を数値化したものです。
F値はF2.8、F4、F5.6…のように基準となる値が決まっていて、小さくすると絞りが開き光の量は多くなり、大きくすると絞りが絞られて光の量が少なくなります。

F値が明るさを決めるのはわかったんですが、これがボケに関係してくるんですね?

そうなんだ! F値とボケはこんな関係があるんだよ。
F値とボケの関係を知ろう!
F値は、小さいほどボケやすく、大きいほどボケにくいという特徴があります。

下の植物を被写体にF1.8・F4・F16と撮ってみたから、背景がどう変わるか見てみよう!




F値が小さいほど、大きくボケますね!

「ボケ」は何かと言うと、「ピントが合っていなくて、ぼやけている」ことなんだ。このピントが合う範囲をF値で調整してるんだよ。

ピントが合う範囲?
F値とピントが合う範囲の関係
- F値が小さい:ピントが合う範囲が狭い。その範囲から離れるほどボケる。
- F値が大きい:ピントが合う範囲が広い。広くピントが合っているのであまりボケない。

F値によって、被写体の前後どこまでピントが合うかが変わるんだ。

F値は本来、ピントが合う範囲をコントロールするものなんですね。

そうなんだ! ちなみにこのイメージを見ると、後ろ側だけじゃなく手前もボケることがわかるかな? 実はボケにも種類があるんだ。

ボケの種類…知りたいです!
ボケの種類
- 背景ボケ:ピントを合わせた被写体の後ろ側がボケる(「後ボケ」とも言う)。背景がボケるほど被写体の存在感が強くなる効果がある。


- 前ボケ:ピントを合わせた被写体の前側がボケる。前ボケが入ることで奥行きを感じられる写真になる。



背景ボケと前ボケで被写体を挟むと、さらに奥行きを感じる写真になるよ!
街並みを背景ボケに、シャボン玉を前ボケにして被写体を挟んだ写真。

すごく素敵ですね~!

他にも、木漏れ日やライトが丸くボケる「玉ボケ」という種類があるよ。


木漏れ日や街明かりをF2.8で玉ボケにした写真

いい雰囲気になりますね。やってみたいです!
ボケの4要素を覚えよう!

ボケとF値の関係がわかってきました。

実は、F値以外にもボケに影響する要素があるんだ。これを理解すると、さらにきれいにぼかすことができるよ。
【ボケの4要素】
ボケ方を決める要素は「F値」「焦点距離」「カメラと被写体の距離」「被写体と背景の距離」の4つです。4要素を以下のようにすると、より大きくぼかすことができます。
- F値:小さくする
- 焦点距離:長くする
- カメラと被写体の距離:近づける
- 被写体と背景の距離:遠ざける

ぼかすには、カメラの設定だけじゃないんですね!

それぞれ距離を変えて撮ってみたから、どれくらい差が出るか見てみよう!
- 焦点距離を変える:長いほどボケる


左:28mm、右:85mm(APS-Cサイズの Z fcで撮影。左右ともF2.8)
- カメラと被写体の距離を変える:近いほどボケる




「カメラと被写体の距離」だけを変えた比較。近いほど背景がボケます。
- 背景と被写体の距離を変える:遠いほどボケる




「被写体と背景の距離」だけを変えた比較。遠いほど背景がボケます。

ボケ方が全然違いますね!

自分が動いたり、撮影状況にも気を配ることが大切なんだ。

より大きくボケるように、試してみたいと思います!

ちなみに「大きくボケるほどいい」というわけでもないんだよ。例えば風景を撮るとき、F値を大きくして全体にしっかりピントを合わせたほうが、風景の魅力を写し出せる場合もあるんだ。


F8で撮影した風景

自分がどういうふうに写したいかで、コントロールできることが大事なんですね!
NEXT STEP!
次は露出の3要素の「シャッタースピード」です。動く被写体を撮る場合、シャッタースピードが遅いとブレてしまいます。フォトグラファーの嵐田大志さんに、適切なシャッタースピードの設定の仕方について教えていただきましょう。
>Step5 シャッタースピードとブレ
キャラクターイラスト:福士陽香(@f___haru)
Supported by L&MARK

嵐田大志
本業の傍ら、東京をベースにフォトグラファーとして活動。LightroomやVSCOを活用し、フィルム風の空気感を表現。家族や身近なものを中心にしつつ、頻繁に旅する海外でのスナップを撮り続けている。