超広角レンズで視線を引き込む風景写真へ。主題を明確にする構図と遠近感の活かし方

「目の前に広がる、雄大な風景を撮りたい」「風景をダイナミックに表現したい」という時におすすめなのが超広角レンズです。自然や都市風景を肉眼以上にワイドに写すことができます。フォトグラファーのsaizouさんに、超広角レンズの特徴や活かせる被写体、超広角ならではの表現について教えていただきます。
saizouさん(フォトグラファー)

島根出身の写真家。全国各地の美しい風景を撮影する他、ポートレートなどさまざまなジャンルの撮影を行う。
ショート動画でポイントをチェック!
「超広角レンズで風景をダイナミックに表現」をショート動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。
超広角レンズの特徴と活きる被写体

NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S II
48mm

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
21.5mm
saizou:標準域は自分の視覚に近い感覚で写せますが、広角になるほど「肉眼以上に広く写せる」という特徴があります。また、“手前のものは大きく、遠くのものは小さく写る”という「遠近感の強調」ができ、風景撮影において独自の表現が可能です。
【自然】風景の雄大さ、スケール感を表現

NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
saizou:目の前に広がる空や海、大地などの広大さを表現できます。

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
1枚目の写真では、雲が空一面を覆っていました。地上や山を入れることで、空高くまで伸びる雲のスケール感が伝わります。2枚目の写真では、見上げて遠近感を活かすことで、生命力あふれる竹を写し出しました。
【建物】遠近感の強調により迫力ある風景に

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
saizou:直線で構成された建物を超広角で撮影すると、遠近感がより強調されます。見上げるように撮るとそびえ立つ迫力を表現でき、足元を広く入れると地面の表情に注目できます。

NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/撮影地:仁風閣
屋内の場合、これ以上は下がって撮れないという物理的な制約も。超広角であれば、下がれない状態でも広く写すことができ、その空間の魅力を写し取ることが可能です。
【夜景】光源を多く取り入れ煌びやかに

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
saizou:星空や街明かりなど、超広角で画角内に光源をより多く入れることで、煌びやかでダイナミックな夜景を撮影できます。地面が濡れた状態の場合、広角ではリフレクションも入れやすくなり、より印象的な夜景写真になります。
また、星空などは平面的になりがちですが、前景まで入れることで写真に立体感が生まれました。要素を多く取り込めるのも超広角ならではです。
おすすめの超広角レンズ

saizou:超広角レンズとして、ズームレンズが画角を調整しやすく、「NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S」と「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」がおすすめです。

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S/撮影地:旧国鉄倉吉線廃線跡
どちらも描写性能・逆光耐性に優れているのが特徴です。ゴーストやフレアが抑えられ、太陽を画角に入れた力強い構図が可能となり、光条も美しく表現できます。
私は2本とも所有していますが、それぞれに持ち味があり、以下のように使い分けています。
NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
saizou:描写性能が圧倒的に高く、メインで使用しているレンズです。巨木を見上げた写真では、手前から奥までピントが合い、葉の一枚一枚、木の質感まで写し出され、四隅までしっかり解像してくれました。

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S/撮影地:旧大社駅
F2.8の明るさにより、暗所でも安心です。三脚が使えず、光の少ない屋内撮影においても光量を稼ぐことができます。
NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
saizou:描写性が優れている上に、約485gと軽量なので登山や長時間歩くような場面でも重宝します。

NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
また、NDフィルターなど汎用的な円形フィルターを取り付けられるのが嬉しいポイント。水面を滑らかに描写するなど日中の長時間露出撮影でよく使用します。
描写性能や明るさをより重視するならNIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S、携行性やフィルターを使った風景撮影を重視する場合はNIKKOR Z 14-30mm f/4 Sがおすすめです。
私が超広角レンズを使う理由

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S/撮影地:旧国鉄倉吉線廃線跡
saizou:風景に限らず写真では「どこを見てほしいか」、そして「そこを見てもらうための構図」を大事にしていて、遠近感が強調される超広角レンズにより強く視線誘導ができます。
ポイントは「狭く」「深く」撮る

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
saizou:単純に広く写してしまうと、「何を見せたい写真なのか」が分かりづらい写真になりがちです。
①主題を決めて「狭く」撮る

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
左:広く撮影、右:狭く撮影
超広角レンズを使うと広く入れたくなりますが、左のように電柱や家など意図しない要素が写ってしまい、視線が散ってしまうことになります。そういったものは削ぎ落とし、狭く撮ることを意識しています。

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
さらに、手前に一輪のひまわりを大きく入れることで主題が明確になり、大小のコントラストがつくことで画面内にリズムが生まれます。

NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/撮影地:龍昇の滝
こちらは滝へと繋がる洞窟のような場所から撮影した写真です。周囲の環境を活かして狭めることで、額縁効果も働き、奥の滝へと視線を誘導できます。
②前景や遠景を活かして「深く」撮る

NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
左:浅く撮影、右:深く撮影
画角を目いっぱい使い、手前から奥まで遠近感を強調することも大切です。手前に何かを配置して奥の主題を目立たせたり、反対に手前に主題を置いて奥に背景を入れたり、手前と奥とで対比を作ることで奥行きが際立ち、視線が誘導されます。

NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
こちらの写真では、滝だけでは単調になってしまうため、手前の岩と滝へと繋がる水の流れを配置することで奥行きを出しています。
まとめ

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
saizou:超広角レンズは、肉眼より広く、遠近感を強調して写せる楽しさがあります。

NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
遠近感のコツを掴むためには、「目いっぱい被写体に近づいてみる」と実感しやすいです。大きな木を根本から見上げてみる、足元の葉や岩にレンズの先がくっつくほどに近づいてみる。何気ない被写体の魅力にも気づけますし、風景の新たな表情を発見することができます。
※各撮影地を訪れる際は、事前に公式ホームページ等で最新の営業情報や、写真撮影に関するルール・マナーをご確認ください。
※仁風閣は文化財保存修理工事のため長期休館中です(2026年11月現在)。
おすすめ機材
NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
コンパクトさと圧倒的な描写力を両立する、大口径超広角ズームレンズ。より気軽に14mmからの超広角ズームでダイナミックな作品作りを楽しめる。






