2026年11月の星空
宵空の主役は「カシオペヤ座」や「アンドロメダ座」といった秋の星座たちと土星ですが、今月最も楽しみなのは、未明の東天に見える火星・木星・「しし座」レグルスの共演でしょう。3天体の並び方が日々変わる様子を追いかけてみてください。
星空写真
四国カルスト 姫鶴平にて
標高1000m級の四国山地の尾根にかかる滝雲を前景に、立ち昇る冬の銀河とカノープスの共演をとらえました。緑色の大気光が加わることで華やかさが増幅し、心揺さぶる一枚に仕上がりました。

2024年11月4日 2時21分
ニコン Z6II+NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S(14mm、ISO25600、露出5秒×8枚を合成、f/2.8)
撮影者:高岡 誠一
11月の星空
南の空

2026年11月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(17日)、満月(24日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。
北の空

2026年11月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
天文カレンダー
| 1日(日) | (前日宵~)明け方、月とポルックスが接近 深夜~翌2日明け方、月とプレセペ星団が大接近 |
|---|---|
2日(月)![]() |
下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) 0時~2時ごろ、プレセペ星団食(星団の星々が月に隠されます。 「今月の星さがし」 で解説) |
| 3日(火) | 未明~明け方、月と火星が接近、月と木星が大接近(
「今月の星さがし」
で解説) 未明~明け方、月とレグルスが並ぶ |
| 4日(水) | 未明、月とレグルスが並ぶ |
| 7日(土) | 立冬(こよみの上で冬の始まり) 未明~明け方、細い月と金星が並ぶ |
| 8日(日) | 明け方、細い月と金星が並ぶ 明け方、細い月とスピカが並ぶ |
9日(月)![]() |
新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) |
| 10日(火) | このころ、未明~明け方に金星とスピカが大接近 |
| 16日(月) | このころ、深夜~明け方に火星と木星が大接近( 「今月の星さがし」 で解説) |
17日(火)![]() |
上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む) |
| 21日(土) | 水星が西方最大離角(未明から明け方、東南東の低空に見えます) 未明、月と土星が並ぶ |
24日(火)![]() |
満月。次の満月は12月24日です 夕方~翌25日明け方、月とプレアデス星団が大接近 18時~21時ごろ、プレアデス星団食(星団の星々が月に隠されます。 「今月の星さがし」 で解説) |
| 27日(金) | このころ、深夜~明け方に火星とレグルスが大接近(
「今月の星さがし」
で解説) 深夜~翌28日明け方、月とポルックスが並ぶ |
| 28日(土) | 深夜~翌29日明け方、月とプレセペ星団が接近 |
| 30日(月) | 明け方、月と木星が並ぶ 深夜~翌12月1日未明、月と木星が接近( 「今月の星さがし」 で解説) 深夜~翌12月1日明け方、月と火星が接近( 「今月の星さがし」 で解説) 深夜~翌12月1日明け方、月とレグルスが大接近 |
11月の惑星
中旬以降、未明から明け方の東南東の低空に見えます。日の出45分前(21日の場合、東京で5時35分ごろ)の高度は約10度と低いのですが、太陽から大きく離れることがない(そのため、地平線近くにしか見えない)水星としてはかなり好条件です。水星の右上に金星が明るく輝き、水星を見つける手がかりになってくれることも好都合です。
とはいえ、やはり建物などの陰に隠されてしまいがちなので、見晴らしの良い場所で観察しましょう。肉眼でも見えますが、双眼鏡を使うと、よりハッキリとわかります。
「明けの明星」として、夜明け前の東南東の低空に見えます。日の出45分前(15日の場合、東京で5時30分ごろ)の高度は20度ほどとやや低いのですが、とても明るいおかげで、視界さえ開けていればすぐに見つけられます。水星と同様に、見晴らしの良い場所で探しましょう。
7日の未明から明け方に月齢27の細い月と並んで見えます。また、翌8日の明け方にも、月齢28とさらに細くなった月と並んで見えます。空の色の変化と一緒にお楽しみください。10日前後に双眼鏡で観察すると、金星のそばに「おとめ座」の1等星スピカも見つかるでしょう。
「しし座」にあります。23時ごろに昇ってきて、4時ごろに南東の空の高いところに見えます(15日、東京の場合)。明るさは約0.7等級です。
木星や、「しし座」の1等星レグルスと接近している様子が見ものです。「今月の星さがし」を参考にして、1か月以上にわたって続く3天体の共演を観察してみましょう。3日の未明から明け方と、30日深夜から12月1日明け方にかけては、この3天体集合に月も加わり、いっそう華やかな光景が楽しめます。
「しし座」にあります。23時ごろに昇ってきて、4時ごろに南東の空の高いところに見えます(15日、東京の場合)。明るさは約マイナス2.1等級です。
火星や、「しし座」の1等星レグルスと接近している様子が見ものです。「今月の星さがし」を参考にして、1か月以上にわたって続く3天体の共演を観察してみましょう。3日の未明から明け方と、30日深夜から12月1日明け方にかけては、この3天体集合に月も加わり、いっそう華やかな光景が楽しめます。
また、木星は天体望遠鏡でも観察したい天体です。遅い時間帯ですが、意欲のある方は表面の縞模様や周囲を巡る4つのガリレオ衛星も観察してみましょう。
「うお座」と「くじら座」の境界付近にあります。18時ごろに南東の空に見え、20時30分ごろ南の空の高いところに昇り、3時ごろに沈みます(15日、東京の場合)。明るさは約0.6等級です。
ほぼ一晩中見ることができる絶好のシーズンの真っ最中です。空が暗くなったころにはもう見やすい高さに昇っていて、天体観察会の実施時間中に一番高くなるので、大きい天体望遠鏡で土星を見るチャンスです。イベントを調べて、ぜひ参加してみましょう。また、環はレンズの大きさが5~8cmくらいの望遠鏡でも見えるので、お手持ちのものがあればぜひ土星に向けてみてください。
21日の未明、上弦過ぎの明るい月と並んで見えます。
今月の星さがし
未明に東の空に昇る「しし座」の領域で、火星と木星、1等星レグルスが共演を見せます。色や明るさの違い、並び方の変化に注目しましょう。月が星団を隠す現象も2回起こり、双眼鏡で楽しめます。
火星・木星・レグルスの共演
季節は秋から冬へと移り変わりつつありますが、未明から明け方には、東の空に春の星座が昇り始めています。季節を代表する星座というのは20~21時ごろに見やすいものを指すことが多いので、夜が更けたころには先の季節の星座も見えるというわけです。
その春の星座の一つ、「しし座」の領域に、明るい惑星が2つ見えています。赤っぽい色が印象的な火星と、マイナス2等級の輝きが目を引く木星です。どちらの惑星も天球上を西から東へと動いていますが、見かけ上、火星のほうが動きが速いので、火星が木星を追い越していくように見えます。ちょうど追い越す16日ごろ、火星と木星は最接近します。そのときの間隔は満月2個分ほどととても近く、ひじょうに目を引く光景になりそうです。
さて、「しし座」には青白く光る1等星レグルスがあり、火星と木星はこのレグルスの付近を動いています。つまり、火星・木星・レグルスの3天体が、未明の東天で共演を見せていることになります。火星は木星を追い越した後、27日ごろにレグルスのそばを通り過ぎていきます。このときの火星とレグルスの間隔は満月3個分ほどで、再び大いに目を引く眺めになるでしょう。火星とレグルスの色の対比にも注目です。ちなみに木星とレグルスは12月中旬ごろに最接近します。
この1か月間、機会があるたびに観察すれば、3つの天体の並び方がどんどん変わっていく様子がわかります。惑星が星々の間を動いていくこと、見かけの動きの速さが違うことなども実感できるでしょう。遅めの時間帯の現象ですが、なるべく多く観察してみてください。とくに3日と、30日から12月1日には月も加わっていっそう豪華ですので、お見逃しなく。
2回の星団食:2日未明 プレセペ星団食/24日宵 プレアデス星団食
「かに座」のプレセペ星団と「おうし座」のプレアデス星団(すばる)は、多数の星が集まっている「散開星団」というタイプの天体です。どちらも、空の条件が良ければ肉眼で見えるほど明るく、散開星団の代表格のような天体です。
今月は、この2つの星団の手前を月が通り過ぎていく現象が見られます。このような現象を「星食」と呼びます。国内で見えるプレアデス星団の食は昨年12月31日以来で「やや珍しい」レベルですが、プレセペ星団の食は2008年3月以来、なんと18年ぶりという「とても珍しい」レア現象です。
先に「どちらの星団も明るい」と紹介しましたが、さすがに月の明るさには負けてしまうので、食の観察には双眼鏡や低倍率の天体望遠鏡を使いましょう。星々を背景に月が浮かんでいるようにも見えて、不思議な感覚を味わえるかもしれません。単独の星の星食とは異なり、星々が次々に隠されては現れるという面白い(かつ珍しい)光景を、ぜひご覧ください。
今月の星座
カシオペヤ座、ケフェウス座
「カシオペヤ座」と「ケフェウス座」はどちらも北の空にあり、日本ではほぼ一年中見ることができますが、宵の時間帯に高く昇って見やすいのは11月ごろです。夜21時ごろに北の空を見上げると、5つの星がアルファベットのMの字形に並んでいるのが見つかります。このあたりが「カシオペヤ座」です。この「カシオペヤ座」と北極星(ポラリス)の間からやや左(西)寄りに広がるのが「ケフェウス座」で、細長い五角形に星が並んでいます。
「カシオペヤ座」にはカフ、シェダル、ティエンスーという2等星が、また「ケフェウス座」にはアルデラミンという2等星があり、これらを目印にすると星座の位置の見当がつけやすいでしょう。残りの星も主に3等星なので、街明かりを避ければ肉眼でじゅうぶん見つけられます。それぞれ5つの星で作られる、特徴的な形を探してみてください。
ギリシャ神話ではこの二人は夫婦で、ケフェウスが国王、カシオペヤは王妃とされています。カシオペヤの口が災いして神を怒らせてしまい、国を荒らされたり二人の娘である王女アンドロメダを生け贄に差し出す羽目になったりと散々な目に遭ってしまいます。2等星があるとはいえ少し地味なのは、反省して目立たないようにしているのかもしれません。
二重星アキルド
シェダルのそばの3等星アキルドは、天体望遠鏡で観察すると黄色とオレンジ色の2つの星に見える二重星です。暗いほうのオレンジ色の星は紫色に見えると表現されることもあります。美しいペアを観察してみましょう。
ケフェウス座δ星
「ケフェウス座δ(デルタ)星」は5日ほどの周期で明るさが変わる変光星です。明るさが変わる以外に特徴がなさそうに思える星ですが、実は天文学でひじょうに重要な意味を持つ天体です。
ケフェウス座δ星に代表されるタイプの星は、その変光周期と星本来の明るさの間に一定の関係があることが知られています。たとえば、遠く離れた銀河の中にこのタイプの変光星を見つけて変光周期を調べると、本来の明るさがわかります。その明るさと見かけの明るさを比べ、遠くなるほど見かけが暗くなるということと併せて考えると、その変光星(銀河)までの距離がわかります。ケフェウス座δ星は「宇宙のものさし」のような星と呼べるでしょう。
様々な星団や星雲
天の川が流れている「カシオペヤ座」「ケフェウス座」の辺りは、双眼鏡で美しい眺めを堪能できるエリアです。星の集団である星団も点在していて、とくにM52やNGC 457(M、NGCはカタログの符号)などは望遠鏡で観察したい天体です。NGC 457には「ET星団、とんぼ星団」といった愛称がありますが、見えるでしょうか?
また、この付近には星雲も数多く存在しています。眼視で楽しむのは難しいのですが、天体写真の被写体として人気です。「ハート星雲」「パックマン星雲」「くわがた星雲」「クエスチョンマーク星雲」などユニークな名前のものもたくさんあるので、画像検索などでお楽しみください。
真夜中の星空
夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。
図は11月中旬の深夜1時ごろの星空です。12月中旬の深夜23時ごろ、来年1月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります/惑星は少し動きます)。
今月ご紹介した「カシオペヤ座」は北西の空の高いところ、「ケフェウス座」はその下のほうに見えています。北を正面にすると、「カシオペヤ座」は北極星の左上、「ケフェウス座」は北極星のちょうど左あたりになります。上の図を180度回転させて(北が下になるようにして)位置関係をつかみ、実際の空で探してみましょう。
土星は西に低くなり、南から南東の空には冬の星座の華やかな星々がたくさん輝いています。さらに東の空に、今月注目の火星・木星・レグルスが昇ってきました。
どの方向にも見ものがあり、あれもこれもと観察していると時間を忘れてしまいそうですが、深夜にはすっかり冬の寒さです。星空散歩は手袋やマフラーなどの準備をしっかり整えてからお楽しみください。













