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2026年9月の星空

流れ星や天の川が夜空を飾った夏が過ぎ、お月見を楽しむ秋がやってきました。丸く明るい中秋の名月だけでなく、惑星と並ぶ細い月も見逃せません。肉眼でも見える、街中でも見える、「月」に注目の季節です。

星空写真

長野県 八千穂高原にて
佐久平の夜景を前景に、マジックアワーのグラデーションと昇る北斗七星の共演を星の軌跡表現でとらえました。左下の雷光に照らされオレンジ色に染まった雷雲がアクセントになり、心揺さぶられる一枚に仕上がりました。

2025年9月2日 3時51分
ニコン Z6III+NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(28mm、ISO400、露出30秒×40枚を合成、f/4.0)
撮影者:高岡 誠一

9月の星空

南の空

南の空

2026年9月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(19日)、満月(27日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2026年9月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

2日(水) このころ、夕方~宵に金星とスピカが大接近
3日(木) 深夜~翌4日明け方、月とプレアデス星団が大接近
4日(金) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
7日(月) 未明~明け方、細い月と火星が接近( 「今月の星さがし」 で解説)
未明~明け方、細い月とポルックスが並ぶ
8日(火) 未明~明け方、細い月とプレセペ星団が並ぶ
9日(水) 未明~明け方、細い月と木星が大接近( 「今月の星さがし」 で解説)
10日(木) 明け方、細い月とレグルスが大接近
11日(金) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
14日(月) 夕方、細い月と金星が大接近( 「今月の星さがし」 で解説)
17日(木) 夕方~宵、月とアンタレスが大接近
18日(金) このころ、未明~明け方に火星とポルックスが並ぶ
19日(土) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
23日(水) 秋分
25日(金) 中秋の名月( 「今月の星さがし」 で解説)
27日(日) 満月。次の満月は10月26日です
夕方~深夜、月と土星が並ぶ( 「今月の星さがし」 で解説)
30日(水) 宵~翌10月1日明け方、月とプレアデス星団が大接近

9月の惑星

水星

25日ごろから夕方の西南西の空に見えますが、日の入り30分後(25日の場合、東京で18時5分ごろ)の高度は3度しかないので、観察は困難です。

金星

「宵の明星」として、夕方の西南西の空に見えます。日の入り30分後(15日の場合、東京で18時20分ごろ)の高度は約10度とかなり低いのですが、とても明るいおかげで、視界さえ開けていればすぐに見つけられます。見晴らしの良い場所で探しましょう。

2日ごろに「おとめ座」の1等星スピカと大接近します。双眼鏡を使うと見やすいでしょう。また、14日には月齢3の細い月と大接近して見えます。

火星

「ふたご座」から「かに座」へと移動していきます。0時30分ごろに昇ってきて、日の出1時間前(4時20分ごろ)に東の空に見えます(15日、東京の場合)。明るさは約1.2等級です。

肉眼ではっきり見え、特徴的な赤い色がよくわかります。また、「ふたご座」の1等星ポルックスや2等星カストルを目印にすると、火星がどんどん位置を変えていくことが実感できます。星々の間を動いていく、まさに「惑う星」であることを確かめてみましょう。

7日の未明から明け方、月齢25の細い月と接近して見えます。

木星

「かに座」から「しし座」へと移動していきます。2時30分ごろに昇ってきて、日の出1時間前(4時20分ごろ)に東の空のやや低いところに見えます(15日、東京の場合)。明るさは約マイナス1.8等級です。

明るいので、建物などに隠されていなければ肉眼でも簡単に見えます。やや低いことと時間帯が遅いことから、天体望遠鏡での観察にはあまり向いていません。

9日の未明から明け方、月齢27の細い月と大接近して見えます。肉眼や双眼鏡で観察しましょう。

土星

「うお座」と「くじら座」の境界付近にあります。21時ごろに東南東、23時ごろ南東に見え、1時ごろに南の空の高いところまで昇ります(15日、東京の場合)。明るさは約0.4等級です。

22時ごろには高度が約40度に達し、観察しやすくなってきました。天体望遠鏡で環を観察してみましょう。

27日の夕方から深夜、満月過ぎの明るい月と並んで見えます。

今月の星さがし

11日の新月の前後に、細い月と惑星の共演が3回見られます。見晴らしの良い場所を探しておきましょう。この月がだんだん満ちていき、25日に中秋の名月となります。

月と惑星の接近:7日 火星/9日 木星/14日 金星/27日 土星

空に見える惑星のうち、肉眼でも見やすいのは金星、火星、木星、土星の4つです。今月は、この4惑星すべてが月と共演します。見かけの動きは惑星よりも月のほうが速いので、月が各惑星のそばを通り過ぎていく、という見かけ上の接近です。

それぞれの共演ごとに見える時間帯や方角と高さ、月の形、月と惑星の間隔、などが異なります。低空の現象の場合は建物や木立などに隠されてしまうかもしれないので、事前に視界が開けたところを見つけておきましょう。どの共演も肉眼で見えますが、双眼鏡で眺めると「月と惑星だけの世界」を切り取ったような光景を楽しめます。雲や地上風景と一緒に撮影するのも良いでしょう。また、月や土星は天体望遠鏡でも観察してみたい対象です。

以下、図はすべて、

  • 場所の設定は東京
  • 大きい円内は視野6度の双眼鏡で観察したイメージ
  • 小さい円は月と惑星をさらに拡大したイメージ(正立像)で、月の拡大像の中にある赤い円の大きさが、惑星の拡大像の円と同じ

9月7日 3時30分の東の空の様子。細い月と火星が接近。近くに「ふたご座」のポルックスとカストルも見える

9月9日 日の出60分前の東の空の様子。細い月と木星が大接近。間隔は月2~3個分

9月14日 日の入り30分後の西南西の空の様子。細い月と金星が大接近。間隔は月3個分ほど。望遠鏡で観察すると金星も欠けて見える

9月27日 21時の東南東の空の様子。満月過ぎの明るい月と土星が並ぶ。この現象だけ、双眼鏡(視野6度)の同一視野に入らない。並ぶ様子は一晩中見える(方位や高さは変わる)

25日 中秋の名月

7月の七夕、8月の伝統的七夕やペルセウス座流星群は夏の風物詩の天文イベントです。では秋の風物詩の天文イベントと言えば、「中秋の名月(十五夜の月)」でしょう。澄んだ秋の夜空に輝く丸い月はとても美しく、心が洗われます。街明かりに溢れているようなところでも月はよく見えるので、日常生活の中で気軽にお月見を楽しめます。

「中秋」とは、秋のちょうど真ん中を指す言葉です。日本でかつて使われていた暦(いわゆる旧暦)では7~9月が秋なので、旧暦の8月15日が中秋ということになります(8月全体を指すこともあります)。この日付は現行の暦(新暦)では毎年異なり、今年は9月25日です。そしてこの夜の月が「中秋の名月(十五夜の月)」と呼ばれています。

※旧暦は現在公的には使われていないため、中秋の名月の日は「太陰太陽暦と同じような方法で求めた8月15日に近い日」として、太陽の位置や月の満ち欠けをもとにして決められます。

十五夜の月は必ずしも満月とは限らず、今年は2日後の27日が満月の日付です。25日の名月は少し左側が欠けていますが、一見しただけでは気づかないかもしれません。あえて欠けていることを意識せずに、白く大きく丸い名月を愛でましょう。

9月25日深夜、真南の空に見える中秋の名月。赤い字は主な地形の名前と、2024年1月に月面着陸に成功した宇宙機「スリム」の着陸地点

十五夜前後の月にも様々な呼び名があります。前日は、名月を待っていることから「まつよいづき(待宵月)」、翌日は十五夜よりやや遅く昇ることから、「ためらう」という意味の「いざよい(十六夜)」と呼ばれます。十六夜の翌日は「立って待っていると昇ってくる」ので「たちまちづき(立待月)」(以降、「いまち(居待)」「ねまち(寝待)」「ふけまち(更待)」)という名前です。日本で月が古来より親しまれ、生活の一部としても見られていたことが伝わります。

9月の月の見え方(日本時間21時の形)。満ち欠けだけでなく、見かけの大きさや縁に近い部分の見え方も変わる

満ち欠けによる形の変化や、「うさぎ」に見立てられる表面の模様は肉眼でもわかります。望遠鏡で拡大すれば、海と呼ばれる暗い部分(うさぎの正体)や数々のクレーターなども見えます。継続的に観察すると、月の見かけの大きさが変化することや、月縁部分の地形の見え方が変わることにも気づけるかもしれません。大きさが変わるのは月と地球との距離が変わるため(近いほど大きく見える)、縁付近の見え方が変わるのは月が地球に向けている面が微妙に変わるためです。撮影すると差がわかりやすいでしょう。

普段、星空を見るには眩しすぎるため月明かりはないほうが嬉しいのですが、反対にその明るさから、月はどんな場所からでも手軽に楽しむことができる天体です。お供え物を用意して、月の魅力をたっぷり感じてみてください。今年4月には、半世紀ぶりに人類が宇宙船で月を周回しました。探査や研究の対象としても、月にはこれからも注目したいですね。

今月の星座

いるか座、こうま座

「いるか座」「こうま座」は9月中旬の夜21時ごろに南の空の高いところに見える星座です。先月ご紹介した「こぎつね座」「や座」と同じく、コンパクトで愛らしい星座です。

「夏の大三角」と「いるか座」「こうま座」

どちらの星座にも明るい星がなく、街明かりがあるような場所ではなかなか見えませんが、「夏の大三角」を手がかりにすると位置の見当がつけられます。夏の大三角を構成する「わし座」の1等星アルタイルと、南東の空に昇る「ペガスス座」の2等星エニフの間あたりと覚えておくとわかりやすいでしょう。双眼鏡で観察すると、視野の中にそれぞれの星座を構成する主な星々が全部入ります。

ちなみに「こうま座」の広さは全天88星座のうち87位で、1つ上の86位が先月ご紹介した「や座」です(「いるか座」は69位)。88位が何かは、ぜひ調べてみてください。

二重星いるか座γ

「いるか座」の顔先に位置するγ(ガンマ)星は、オレンジと白の星が並んだ二重星です。倍率をやや高くした天体望遠鏡で観察すると、美しい色の対比が楽しめます。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は9月中旬の深夜1時ごろの星空です。10月中旬の深夜23時ごろ、11月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます)。

2026年9月中旬 深夜1時ごろの星空

南の空の高いところに土星が輝いています。明るい星が少ない領域なのでよく目立ち、土星を目印にして「うお座」や「みずがめ座」などを見つけることもできます。土星はもう少し早い時間帯には南東の空に見え、深夜まで待たなくて良いので天体望遠鏡でも観察しやすくなってきました。

西の空に「夏の大三角」が低くなる一方、東の空に「おうし座」「オリオン座」など冬の星座たちが姿を見せはじめました。夜になっても暑さが残る日もまだありそうですが、冬の星々を目にすれば、少しは涼を感じられるかもしれません。

そうかと思えば肌寒さをおぼえることがあるのもこの季節。体調管理にも気をつけながら、月や惑星の観察、星座巡りをお楽しみください。

星空観察と撮影のポイント

星座や惑星、流星群などの天文現象の観察や撮影は、コツを押さえるとただ眺めるよりも広く深く楽しむことができます。
ここでは、天体の探し方からおすすめの撮影機材やテクニックまで、星空を楽しむうえで知っておきたいポイントをご紹介します。
カメラや双眼鏡を持って、美しい夜空に会いにいきましょう!

星空観察と撮影のポイント