2026年6月の星空
夜が短く曇りや雨が多いという、星空愛好家には忍耐が必要なシーズンがやってきます。昼のありがたさや水の大切さをあらためて感じながら、少ない機会を逃さずに夜空も楽しみましょう。一番の見ものは西の空、金星と木星が大接近します。
星空写真
愛知県新城市 四谷千枚田にて
水が張って苗がきちんと並んだ棚田に夏の天の川が写る、季節感のある風景となりました。風のない夜でしたので、よく見ると水田に星がリフレクションしています。天の川もさそり座からわし座を伴って昇ってきました。

2024年5月11日 2時16分
ニコン Z7+NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S(14mm、ISO6400、露出15秒×16枚を合成、f/2.8)
撮影者:石橋 直樹
6月の星空
南の空

2026年6月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(22日)、満月(30日、いて座のところ)の位置を入れてあります(時刻は21時)。
北の空

2026年6月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
天文カレンダー
| 1日(月) | (前日夕方~)明け方、月とアンタレスが大接近 |
|---|---|
8日(月)![]() |
下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) このころ、夕方~宵に金星とポルックスが接近 |
| 9日(火) | このころ、夕方~宵に金星と木星が大接近( 「今月の星さがし」 で解説) |
| 13日(土) | 未明~明け方、細い月と火星が接近( 「今月の星さがし」 で解説) |
| 14日(日) | 明け方、細い月とプレアデス星団が接近 |
15日(月)![]() |
新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) |
| 16日(火) | 水星が東方最大離角(夕方の西北西の低空に見えます。
「今月の星さがし」
で解説) 夕方、細い月と水星が並ぶ |
| 17日(水) | 夕方~宵、細い月と木星が接近、金星が並ぶ(
「今月の星さがし」
で解説) 夕方~宵、細い月とポルックスが並ぶ |
| 18日(木) | 夕方~宵、細い月と金星がやや離れて並ぶ 夕方~宵、細い月とプレセペ星団が並ぶ |
| 19日(金) | このころ、夕方~宵に水星とポルックスが並ぶ 夕方~深夜、細い月とレグルスが大接近 |
| 20日(土) | このころ、夕方~宵に金星とプレセペ星団が大接近( 「今月の星さがし」 で解説) |
| 21日(日) | 夏至(北半球では、一年のうちで一番夜が短い日) |
22日(月)![]() |
上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む) |
| 23日(火) | 夕方~深夜、月とスピカが接近 |
| 25日(木) | このころ、夕方に水星と木星が接近( 「今月の星さがし」 で解説) |
| 27日(土) | 夕方~翌28日未明、月とアンタレスが大接近 |
| 29日(月) | このころ、未明~明け方に火星とプレアデス星団が接近( 「今月の星さがし」 で解説) |
30日(火)![]() |
満月。次の満月は7月29日です |
6月の惑星
夕方の西北西の空に見えます。日の入り45分後(15日の場合、東京で19時45分ごろ)の高度は10度ほどあり、太陽から大きく離れることがない水星としては好条件です。さらに高いところに金星や木星が明るく見えていて、水星を見つける目印になることも好都合です。
条件が良いとはいえ、10度というのはやはり低いため、見晴らしの良い場所で探しましょう。肉眼でも見えますが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。
16日の夕方に月齢1の細い月と並びます。また、19日前後には「ふたご座」の1等星ポルックスと並び、25日ごろは木星と接近します。
「宵の明星」として、夕方から宵の西の空に見えます。日の入り30分後(15日の場合、東京で19時30分ごろ)の高度は約25度あります。日没のころ、どれだけ早く一番星を見つけられるか挑戦してみましょう。
今月は何と言っても木星との大接近が見逃せません。9日ごろに最接近しますが、その前後の日も観察して並び方が変わっていく様子を確かめてみてください。さらに、20日ごろ「かに座」のプレセペ星団に大接近する様子も見ものです。双眼鏡で観察しましょう。
17日の夕方から宵に、月齢2の三日月と並びます。また翌18日の夕方から宵にも、細い月と少し離れて並びます。
「おひつじ座」から「おうし座」へと移り、未明から明け方に東の空に見えます。日の出1時間前(15日の場合、東京で3時25分ごろ)の高さは10度と低く、見やすいわけではありませんが、夜更かしや早起きしたときには一目確認してみましょう。低くて暗い(小さい)ため、天体望遠鏡での観察には向きません。
13日の未明から明け方、月齢27の細い月と接近します。また、月末には「おうし座」のプレアデス星団(すばる)の近くを通り過ぎていきます。どちらも双眼鏡でお楽しみください。
「ふたご座」にあり、下旬に「かに座」に移ります。夕方から宵に西北西の低空に見え、21時ごろに沈みます。
低いため天体望遠鏡での観察には向いていませんが、9日ごろに夕空で起こる金星との大接近が見ものです。明るい2つの星が並び輝く光景を、肉眼や双眼鏡で観察しましょう。また、25日ごろには水星と接近します。
17日の夕方から宵に、月齢2の三日月と接近します。
「うお座」にあります。1時ごろに昇ってきて、日の出1時間前(15日の場合、東京で3時25分ごろ)に東南東の空のやや低いところに見えます。明るさは約0.8等級です。火星よりも高く明るいので、夜明けの東天では一番目立ちます。
あまり高くはありませんが、意欲があれば天体望遠鏡を向けてみましょう。昨年「見かけ上の環の消失」が起こり環が見づらかったのですが、今シーズンから徐々に環が開き、わかりやすくなっていきます。
今月の星さがし
夕方の西の空に水星・金星・木星が集合します。並び方が日に日に変わっていく様子を楽しみましょう。金星はプレセペ星団とも接近し、双眼鏡で美しく眺められます。
夕空で水星・金星・木星が共演、細い月やプレセペ星団も
夕方、太陽が沈んでからほどなくして、西の空に一番星の「宵の明星」金星が輝き始めます。比較的見やすい高さにあり、すぐに見つけることができます。高度の点では今年一番良い条件であり、見やすい時間帯ということも相まって、多くの方々の目を引くことでしょう。
同じ西の空には木星も明るく輝いています。金星と木星の間隔は月初めからどんどん小さくなっていき、9日ごろに最も近づきます。梅雨の時季のため毎日観察するのは難しいかもしれませんが、なるべく継続して観察し、2惑星が近づき離れていく様子を楽しみましょう。17日前後には細い月が近くを通り過ぎていきます。
さて、夕方から宵の西の空には金星と木星だけでなく、「ふたご座」の1等星ポルックスと2等星カストル、さらに水星も見えます。水星は太陽に近いため観察のチャンスが少ないのですが、今月は太陽から(見かけ上)離れているタイミングなので見つけやすくなっています。金星や木星のおかげで水星の位置の見当がつけやすいことも好条件で、水星観察の絶好機です。ぜひ見つけてみてください。肉眼でも見えますが、金星や木星ほどは目立たないので、双眼鏡を使うと良いでしょう。
さらに今月の後半にもう一つ、見ものの接近現象があります。20日前後に、金星が「かに座」のプレセペ星団のすぐそばにやってきます。金星に双眼鏡を向けると、同じ視野内に星団の星々も見ることができるでしょう。空が暗くなるにつれて見える星の数が増えていきますが、低くなると見づらいので、日の入りから60~90分後くらいを目安に観察してみてください。
宵の明星をメインとした夕空の数々の天体共演、梅雨の晴れ間に1回でも多くご覧になれますように。
明け方は火星とプレアデス星団
夕方から宵の西の空がにぎやかな一方、未明から明け方には火星を中心とした接近現象を楽しめます。火星は13日に細い「逆三日月」と接近し、月末に「おうし座」のプレアデス星団(すばる)と共演を見せます。
この時期の火星は金星や木星ほどは明るくありませんが、いわゆる1等星と同じくらいなので肉眼でも楽に見つけられます。プレアデス星団も明るめの天体ですが、夜明け空で見るのは少し難しいので、こちらは双眼鏡を使うことをお勧めします。空が明るくなり始めるタイミングなので色は感じにくいかもしれませんが、火星の赤と月の白(低空なのでやや黄色っぽく見えるかもしれません)、プレアデス星団の青白さ、の対比にも注目してみてください。
ここまでご紹介してきませんでしたが、土星も未明から明け方の空に見えています。つまり今月は、夕空で水・金・木星を、未明から明け方に火・土星をと、肉眼で見やすい5惑星全部を一晩で見ることができるチャンスです。太陽(日)と月も見れば「曜日(日月火…土)の星めぐり」も可能です。天気予報を確認しながら、機会があれば早起きして挑戦してみてください。
今月の星座
りゅう座
「りゅう座」は北の空に広がる星座で、「おおぐま座」(北斗七星)や「こぐま座」と同じように、日本ではほぼ一年中見ることができます。夜21時ごろに高く昇って見やすいのは6月ごろです。北斗七星と北極星、「こと座」の1等星ベガに囲まれた、平仮名の「て」のように並んだ星々が「りゅう座」を構成しています。
「りゅう座」には目立って明るい星はありませんが、竜の頭に位置する2等星のエルタニンは意外と目立ちます。他の星は3等級より暗いため、じっくりと探す必要があります。北斗七星や北極星、ベガとの位置関係を手掛かりにして、竜の長い体をたどってみましょう。星が見えなくても、「あの付近にドラゴンがいるはずだ」と想像してみてください。
竜の頭の星々
竜の頭に位置する4つの星々は、2等級のエルタニンと3等級のラスタバン、そして4、5等級の明るさです。どの星まで見えるかによって、夜空の暗さをおおまかに知ることができます。郊外でも双眼鏡を使うと4つとも見えるので、ゆがんだ四角形を観察してみましょう。
キャッツアイ星雲
竜の首の辺りには、猫の目のように見えることからその名が付けられた「キャッツアイ星雲」(カタログ番号ではNGC 6543)という天体があります。
太陽のような星は一生の終わりに差し掛かると、宇宙空間にガスを放出します。そのガスが中心の星に照らされて光っているのが、キャッツアイ星雲のような「惑星状星雲」に分類される天体です。
星図の画像はハッブル宇宙望遠鏡が撮影したもので、複雑に入り組んだ構造や同心円状の模様などが見えます。インターネットで検索すると、さらに外側の様子やX線で観測した画像など様々な姿もわかります。曇りや雨の夜には天体画像を眺めて、宇宙を楽しみましょう。
トゥバン
竜の尾にある4等星トゥバンは目立つ星ではありませんが、歴史的には重要な意味のある天体です。
約4000~5000年前のエジプト文明が栄えたころは、このトゥバンが北極星でした。「北極星」とは地球の自転軸を天に伸ばした先の辺りに位置する星を指し、地球の歳差という運動(不安定なコマが見せる首振りに似た運動)によって時代と共に移り変わっていきます。現在は「こぐま座」のポラリスが北極星ですが、過去や未来の北極星は別の星なのです。
明るい夜空でトゥバンを見つけるのは難しいのですが、エジプト文明当時の空なら肉眼でも簡単に見え、北の方角を示す星として重宝されていたことでしょう。人類と星空の長い関係性を象徴するようなトゥバンを、ぜひ探してみてください。
真夜中の星空
夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。
図は6月中旬の深夜1時ごろの星空です。7月中旬の深夜23時ごろ、8月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります。
頭の真上(図の中央)に輝くのは、七夕の織り姫星として有名な「こと座」のベガです。ベガと、その南にある「わし座」のアルタイル(彦星)、そして「はくちょう座」のデネブを結ぶと「夏の大三角」ができあがります。また、ベガと北西の空に見える「北斗七星」の間に、「今月の星座」でご紹介した「りゅう座」があります。深夜になれば街明かりが減るので、竜の頭の四角形も見つけやすくなるでしょう。
南の空の低いところには「さそり座」や「いて座」が見えています。空の条件が良ければ、これらの星座と夏の大三角との間に天の川も見えそうです。
2時半から3時ごろにはもう夜明けが始まってしまいます。深夜の星々を楽しめる時間は短いですが、晴れていたら5~10分だけでも空を見上げてみてください。













