レモン彗星が夕方の西の空に見えます。双眼鏡での観察や撮影が楽しめそうです。土星の環は「見えない」ことが話題に。約15年に一度しか起こらない珍しい状態を、天体望遠鏡で確認してみましょう。
星空写真
長野県根羽村 茶臼山湖にて
茶臼山の長野県側にある茶臼山湖岸から北西の星空を撮影しました。はくちょう座からカシオペヤ座までの、秋の天の川が天高く輝いています。Zシリーズはとても扱いやすく、星景撮影にはうってつけだと思います。

2024年11月6日 20時18分
ニコン Z6II+NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S(14mm、ISO6400、露出15秒×16枚を合成、f/2.8)
撮影者:石橋 直樹

2025年11月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(28日)、満月(5日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

2025年11月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
| 1日(土) | 中旬ごろまで、夕方~宵にレモン彗星が見える(「今月の星さがし」で解説) |
|---|---|
| 2日(日) | 夕方~翌3日未明、月と土星が接近 |
5日(水)![]() |
満月(今年最大の満月、「今月の星さがし」で解説)。次の満月は12月5日です このころ、天王星とプレアデス星団が接近(「今月の星さがし」で解説) |
| 6日(木) | 宵~翌7日明け方、月とプレアデス星団が大接近(23時ごろから1時ごろ、星団の星々が月に隠されます) |
| 7日(金) | 立冬(こよみの上で冬の始まり) |
| 10日(月) | 未明~明け方、月とポルックスが並ぶ 宵~翌11日未明、月と木星が接近 宵~翌11日未明、月とポルックスが並ぶ(明け方とは並び方が変わります) |
| 11日(火) | 未明~明け方、月とプレセペ星団が並ぶ 宵~翌12日未明、月とプレセペ星団が接近(明け方とは並び方が変わります) |
12日(水)![]() |
下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) |
| 13日(木) | 未明~明け方、月とレグルスが大接近(夜明け後の10時ごろ、レグルスが月に隠されます) |
| 17日(月) | 未明~明け方、細い月とスピカが並ぶ |
| 18日(火) | 未明~明け方、細い月とスピカが並ぶ |
| 19日(水) | 明け方、細い月と金星が並ぶ |
20日(木)![]() |
新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) |
28日(金)![]() |
上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む) |
| 29日(土) | 夕方~翌30日未明、月と土星が接近 |
上旬は夕方の西南西の低空に見えますが、日の入り30分後(5日の場合、東京で17時10分ごろ)の高度は約5度とかなり低いので、見つけるのは難しそうです。スマートフォンのアプリなどで位置をよく確かめて、低空まで見晴らしの良い場所で探しましょう。双眼鏡を使うと見やすくなります。
「明けの明星」として、明け方の東から東南東の低空に見えます。
日の出30分前(15日の場合、東京で5時45分ごろ)の高度は約6度とかなり低く、いくら金星が明るいとはいえ、山や建物に隠されて見えないかもしれません。見晴らしの良い場所で観察しましょう。
19日の明け方、非常に細い月(月齢28)と並びます。金星の右に極細の月を探してみましょう。
夕方の西南西の低空にありますが、日の入り30分後(15日の場合、東京で17時5分ごろ)の高度が約3度と非常に低く、暗いため、実際はほぼ見えません。
「ふたご座」にあります。21時ごろに昇ってきて、日付が変わるころに東の空に見え、4時ごろ真南の空の高いところに見えます。明るさは約マイナス2.4等級です。
0時ごろには高度40度くらいまで高くなり、観察しやすくなってきました。本格的なシーズンは来月ごろからですが、機会があれば双眼鏡や天体望遠鏡で木星を観察してみましょう。双眼鏡では木星の周りを回るガリレオ衛星が、望遠鏡では衛星に加えて木星本体の縞模様も楽しめます。また、「ふたご座」のポルックス、カストルと並んで「三つ子」のようになっている光景も目を引きます。
10日の宵から11日の未明、下弦前の月(月齢20)と接近します。
「みずがめ座」と「うお座」の境界付近にあります。18時ごろに南東の空、20時ごろ真南の空の高いところに見え、2時ごろに沈みます。明るさは約1.0等級です。
宵の時間帯に見やすい高さに昇り、観察の好機が続いています。環がほとんど見えないという珍しい状態を、天体望遠鏡で確かめてみましょう。天文台や科学館で開催される天体観察会に参加するのもおすすめです。
2日の夕方から3日の未明に満月前の明るい月(月齢12)と接近します。また、29日の夕方から30日の未明にも、上弦過ぎの半月(月齢9)と接近します。肉眼や双眼鏡で気軽に眺めてみてください。
夕空のレモン彗星が楽しみです。双眼鏡を使って観察しましょう。双眼鏡では天王星も見つけられます。今年一番大きい満月にも目を向けてみてください。
10月の中旬ごろから、レモン彗星(C/2025 A6)が夕空に見え始めました。予想どおりに順調に明るくなっていて、今月も中旬ごろまで見やすい状態が続きそうです。

10月28日から11月17日まで2日ごとの、日の入り60分後の南西~西の空の様子(場所の設定は東京)。彗星は見やすいように強調して描画してあり、これほど明るく尾が長く見えるとは限らない。囲み内は双眼鏡で見たイメージ(視野6度)
レモン彗星が見えるのは夕方からの宵の西南西の低空です。日の入り1時間後(東京で17時40分ごろ)の高度は、月初めにはおよそ20度で、15日ごろには10度より低くなります。時間がこれより遅くなるとさらに低く見づらくなりますが、背景の空が暗くなるという点では少し見やすくもなります。彗星の高さと空の暗さのバランスが良いのは、やはり日の入り1時間後くらい(45~75分後くらい)ということになるでしょう。
気になる彗星の明るさは4等級から5等級と予想されています。肉眼で見るのは難しいですが、双眼鏡を使うと見つけられるでしょう。目印になる星が少ないのですが、「へびつかい座」の2等星サビクが手がかりになりそうです。スマートフォンの星図アプリなども利用して、位置をよく確かめて探しましょう。
彗星の見え方は独特で、恒星のような光の点ではなく、小さくぼんやりと広がった姿をしています。そのため、思った以上に淡く見づらいかもしれません。薄雲の影響や微妙な空の明るさの変化でも見え方が変わるので、根気よく眺めてみてください。尾は彗星本体よりもさらに淡いので見えない可能性が高いですが、撮影すればとらえられるかもしれません。昨秋の「紫金山・アトラス彗星」特集ページで撮影のための機材や設定を解説しているので、参考にしてください。
数年~数十年で公転する彗星であれば何度か観察のチャンスはありますが、このレモン彗星(C/2025 A6)については、次に接近するのは計算上では1300年以上先です。つまり今回が最初で最後の機会です。双眼鏡でも「一目で簡単にわかる」というほど明るくはないですが、貴重なチャンスを逃さずに、ぜひ観察や撮影をお楽しみください。
月は約1か月の間に、満ち欠けによって形(光っている部分)が大きく変化します。それだけでなく、月の「見かけの直径」も日々変わります。月は地球の周りを楕円軌道で回っているので距離が変化し、「近い時には大きく」「遠い時には小さく」見えます。
月と地球が一番近づいたタイミングの前後でちょうど満月になると、直径が大きく、光っている面積の割合も大きい月が見えることになります。今年の場合は11月5日の宵から6日の明け方にかけての月が「今年一番大きい満月」にあたります。
今年最小だった満月(4月12~13日)と比べると、11月5~6日の満月は直径が約14%、面積では約29%大きくなります(地球の中心から見た大きさで比較)。図を見るとずいぶん差があるように思えますが、実際の空で月を2つ並べて観察することはできないので、その差は実感しにくいものです。
最大の(一番近い)満月だからといって何か特別なことが起こるわけでも変わった様子が見られるわけでもありませんが、「一番」という言葉には普段以上の魅力が感じられるものです。9月の満月では皆既月食、10月の(ほぼ)満月では中秋の名月が見られましたが、今月は「大きい満月」が楽しめるというわけです。この秋3回目の「お月見」をしてみてはいかがでしょうか。
夜21時ごろになると東の空に「おうし座」が昇ってきます。その「おうし座」の領域内にある天王星が見ごろを迎えています。
天王星の明るさは約6等級で、見ごろといっても肉眼で簡単にわかるわけではありませんが、双眼鏡を使うと比較的すぐに見つけられます。ポイントは、「おうし座」にある星の集まり、プレアデス星団です。日本では「すばる」という呼び名でも知られるプレアデス星団は、肉眼でも数個の星が集まっている様子がわかる明るい天体です。
今シーズンの天王星はこのプレアデス星団の近くにあるので、星団を目印にすると天王星が見つかります。まず、「オリオン座」の1等星ベテルギウスから「おうし座」の1等星アルデバランを結んだ先に視線を動かしてプレアデス星団を見つけ、そこに双眼鏡を向けてから天王星を探してみましょう。円の中に矢印で示した3つの星はどれも天王星と同じくらいの明るさなので、プレアデス星団やこの細長い三角形の星の並びを手がかりにすれば、天王星が見つかるはずです。
夕空でレモン彗星探しに使った双眼鏡を、天王星観察でもご活用ください。ちなみにプレアデス星団だけを双眼鏡で見るのも、とても美しいのでおすすめです。
2月下旬から3月中旬ごろに誕生日を迎える人の星座として名前が知られている「うお座」、宵空で見やすいのは11月ごろです。11月中旬の21時ごろ、南の空の高いところに見えます。
「うお座」は一番明るい星でも4等星なので、街中で見つけるのは難しい星座です。空が暗いところでも、月明かりがある夜には見つけられないかもしれません。双眼鏡を使うなどして1つずつ星を探してみましょう。
「うお座」を見つける目印は、周囲の星座に含まれる2等星(星図中にカッコ付きで名前を書いている星々)や、アルフェラッツとマルカブを含む「秋の四辺形」です。「うお座」の星々は秋の四辺形の東側(南を向いて四辺形の左)と南側(四辺形の下)の辺に沿うように並んでいますので、位置の見当をつけてみてください。南西側は、今年は土星も目印になります。
星座絵に描かれている2匹の魚は、神話の一つによれば怪物から逃げようとした神の親子が変身した姿とされています。2匹の尾をつなぐリボンは親子が離れ離れにならないように結んだもの、とする説もありますが、由来ははっきりしません。
北側に伸びる星の列の中ほどあたりに、渦巻銀河のM74があります(Mはカタログの符号です)。地球から見ると正面に渦(腕)があり、美しく整った形が楽しめますが、とても暗いため実際の空で見つけるには熟練した技術や鋭い観察眼が必要で、「幽霊銀河」というニックネームが付けられているほどです。インターネットに公開されている画像や写真集などで楽しむのがおすすめです。
「うお座」の南西(お隣の「みずがめ座」の領域)に、土星が輝いています。今シーズンは土星をほぼ真横から見る位置関係にあるため、土星の環がほとんど見えない状態になっています。
ぴったり真横のタイミングは今春でしたが、このときには土星が太陽に近すぎたため、観察は非常に困難でした。この11月下旬ごろ、土星は再び「地球から見てほとんど真横」のタイミングを迎えます。現在は宵の時間帯に高く昇っているおかげで、とても観察しやすくなっています。
天体望遠鏡の性能や空の条件にもよりますが、今年いっぱいは土星の環が確認しづらい状況です。このような見え方になる機会はおよそ15年に1回しかありませんので、ぜひ観察してみてください。天文台や科学館で開催される土星観察会に参加するのも良いでしょう。8等級の衛星タイタンも見えるかもしれません。
夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。
図は11月中旬の深夜1時ごろの星空です。12月中旬の深夜23時ごろ、来年1月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。
深夜になると街明かりが減り、暗い星も見やすくなるのですが、それでも西から南西の空には土星以外に目立つ星がなく、寂しく感じられます。目を凝らして「秋の四辺形」や「うお座」を探してみましょう。
対照的に頭の真上から南東の空には「オリオン座」や「冬の大三角」などを形作る明るい星々が色鮮やかに輝き、とても華やかです。今年は木星もあり、例年以上に派手な印象です。また、東の空に「しし座」、北東の空に「北斗七星」が見え始めました。どちらも地平線から立ち上がって格好良く見えますね。
深夜にはすっかり冬の寒さです。星空散歩はしっかりと防寒をして、無理をせずにお楽しみください。
星座や惑星、流星群などの天文現象の観察や撮影は、コツを抑えるとただ眺めるよりも広く深く楽しむことができます。
ここでは、天体の探し方からおすすめの撮影機材やテクニックまで、星空を楽しむうえで知っておきたいポイントをご紹介します。
カメラや双眼鏡を持って、美しい夜空に会いにいきましょう!