第19回三木淳賞受賞作品展
齋藤 茜 写真展扉は外へつながっている
会期
- 銀座ニコンサロン
2017年12月14日(木) 〜 2017年12月21日(木) 日曜休館
2018年1月18日(木) 〜 2018年1月24日(水) 日曜休館
開催内容
「私こんな表情してたんだ。生きてるんだなぁ。写真を見ることではじめて生きてる実感がする。」
妹を撮りはじめて1年半が経った頃、プレゼントしたフォトブックを見て彼女が呟いた。
録音した自分の声に違和感を感じるように、「目に映る世界」と「写真に写る世界」にはズレがある。
自己像と写真のズレに気づいた時、意識下の自己像は照らしだされ変わっていく。
そのことが面白くて、妹が元気になっていくのが嬉しかった4年間の記録。
カラー29点。
授賞理由
スマホに映る、布団にくるまった若い女性のショット。この一枚から始まる写真展は、家族を写したものであり、作者の妹が20代半ばの頃の数年の変化を記録したものである。写された妹の絵の具や絵画、また絵日記が妹の人となりを表象する。
家に籠もったままの妹とその写真を撮り始めた作者。互いに身近な存在ではあるが、写真を仲立ちにして、カメラという道具を使うことによってその存在を客観的に見出す。自ら撮った妹の写真、カメラによって写された写真を見つめる視線は、すなわち鏡を見るように自身に跳ね返る。また妹はその写真を見ることによって外界との繋がりを見出す。相互の関係性を見つめ、さらにそれを乗り越えていくこと。お互いが、新たな世界を見出すように一緒に歩んだドキュメンタリーとでも言ったら良いだろうか。
「目に写る世界と、写真に写る世界のズレが、時に目に写る世界を変えていくこと。そのことが面白くて、妹が元気になっていくことが嬉しくて数年が経ち、気づけばお互いに元気になっていきました。」と書く作者のステートメントには、いみじくも、作者が身体的に理解した写真の本質性や写真行為のあり方が端的に示されている。
またタイトルの「扉は外へつながっている」の扉とは妹にとっては光であり、未来につながる。作者にとってそれは写真行為によって切り開かなければならない今後の世界なのではないか。その切実さと率直さによって写真が輝いている。これからの写真行為のさらなる深まりに大いに期待したい。
(選評・佐藤時啓)
プロフィール
1984年東京都生まれ。一橋大学社会学部、京都造形芸術大学通信教育部美術科写真コース卒業。2013年第3回キヤノンフォトグラファーズセッションファイナリスト。
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