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最北の日本百名山「利尻山」。
一枚の写真の、雄大な姿に惹かれて利尻島に向かった。
周囲を海に囲まれているため、特に海上からの眺めはみごとだ。
山裾が美しく海へ向かう姿は、『利尻富士』の呼び名が似合う。
とりわけ隣の礼文島からの眺めが素晴らしい。
両島の最短距離は10kmほどだが、島の成り立ちも、植生も雰囲気もずいぶん違う。
礼文島は『花の浮島』と呼ばれ、なだらかな丘陵性の地形が広がり海へと続く。
本州では高い山へ登らないと会えない高山植物が、ここでは海の近くで見る事ができる。
300種類以上の高山植物が、春から夏にかけて次から次へと違う種類が開花していく。
花畑の海むこうで、利尻山が輝いていた。
利尻山へは、夏の登山で一日がかりの遠い山頂だ。さえぎるものが何もない頂上からは、
大パノラマが広がる。上空を吹く強い風は、山にぶつかって雲を沸かせ、往々にして白雲たなびく。
雲が抜ければ一面美しい雲海を見下ろすことになる。稜線には厳しい風雪に削られた無数の岩峰が立っており、そこへ雲が流れていく様は、いつまで見ていても飽きない。
冬は最大風速は30m/sに達する季節風にさらされる。荒れてフェリーが欠航になることもしばしばで、数日しかない貴重な晴れ間をひたすら待つ。凍てつく島は静かでひと気は少ない。登山口へ行く道も除雪されておらず、奥へ進むのに難儀する。深い雪を一歩一歩踏みしめ樹林帯を抜けると、凍てついた岩峰群は白く輝き、素晴らしい御姿に出会えた。
山はそこにあって悠久の時を刻むが、私たち人間を含め、生き物は短い時をすれ違うだけだ。
この貴重な一期一会は、いつ失われるかわからない。
海と山が隣り合う美しい景色、可憐な花、繊細な自然、雄大な島姿、表情豊かな山。
どうかこの美しい自然がいつまでも残りますように。祈りを込めてシャッターを切った。
(溝部 久美子)
東京都生まれ。音楽を学び、世界30か国以上を旅し、国内のまだ見ぬ世界を旅して、
2014年、山に登って見える風景へ行きつく。
以来、山の魅力に惹かれて全国の山を登っている。
日本山岳会アルパインフォトクラブ、山岳写真同人四季、所属
日本郵便オリジナル フレーム切手「ふたつの浮島に咲き誇る花 利尻・礼文」 採用
山と渓谷フォトコンテスト2023 最優秀賞
第72回ニッコールフォトコンテスト ネイチャー単写真の部 銀賞