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私が58歳で屋久島の淀川小屋に泊まった時の満天の星空が非常に美しく見事でした。
永田岳のV字峡大岩壁と出合い壮大な岩壁、谷の深さ、遠くに見える永田集落、東シナ海や流れる雲も見えて、スケールの大きい凄さに圧倒されてしまった。
下見でテント泊をした朝の事、開けた瞬間「真白い世界」が目の中に飛び込んで来て屋久島に雪が降るとは思ってもいなかったので驚きと喜びで胸が熱くなりました。
この時V字峡両岩壁にエビのシッポがついた姿を見たいと強く思う様になりました。
撮影は毎回2週間で行きに2日、帰りに2日、中10日でテントや小屋泊りでした。
装備はカメラ機材、食料、装備等で背負う荷物の重さは80㎏位の重量で単独山行でした。荷を背負うと腰にズシンと重さを感じながら2往復します。撮影は12月から3月、月1回と決めていました。
厳冬期の森林限界上部(1300m)の撮影は気候状況の変化が激しい屋久島では、今晴れていても強風や霧、雨、ミゾレ、雪などに変りやすいのが特長であり風は東シナ海から吹き上げる湿度のある強風と強弱な風が「エビのシッポ」を造り出します。
大寒タマゴは、この大石は約長さ約5m、高さは3m位で花崗岩にタマゴ型にエビのシッポが密着したのは強風から強弱によって風の流れで粉末状になった時に出来る現状かと思われます、これを見た時が感動的な喜びを1人で味わった最高の嬉しさを胸にしました。
今日が最後の挑戦と心に決め新高塚小屋を真夜中の1時に出発。ヘッドライトを頼りに雪明りと霧に包まれながらも朝を迎えました。8時永田岳鞍部(宮之浦川の源流)に着いた時、突然霧の中に山々が写し出された。大スクリーンが現れた。永田岳には10時に到着した。V字峡両岩壁を覗くと永田岳谷が1000m先の谷底まで見え黒い岩壁が白いエビのシッポに変って大変見事でした。これは夢を見ている程凄いすごい。「これが撮りたかったんだ」と思わず手を合わせました。
岩稜の途中まで降りて撮るのだが、ここでお酒で清め無事を願い最後の挑戦が20m懸垂降下後、「誰にも撮れない写真が撮れた」「やっとの思いで念願がかなった!」うれしかった。登るのには降下したザイルで腕力とアイゼンを雪に突き刺し少しずつ注意深く静かに登った。無事に登れた喜びが体中に伝わって来ました。
13年間通い続けてやっとの思いで撮れた1枚の写真は写真集の表紙です。
その「魔の永田岳」では毎回無事だったので心から感謝を申し上げ無事に18時に新高塚小屋に帰って来れました。
(新井 靖雄)
1946年秩父生まれ
山岳写真家の清水武甲(しみずぶこう)に師事する(1965~1995年)
山岳写真を撮り続け山岳写真集を刊行
写真集「奥秩父の四季」2002年刊
写真集「奥秩父・ダムで移転した人々」2007年刊
写真集「雪の屋久島」2020年刊
日本山岳写真協会、秩父写友会