もっとフォトライフを楽しんでいただくために、ニコン製品のカメラやレンズのご紹介から、皆さまの作品のご紹介など、SNS公式アカウントから発信しています!
ニコンイメージングジャパンが開催するイベント情報をご覧いただけます。カメラ好きが集まる撮影会から、初心者に優しい撮影体験などたくさんのイベントをご案内します。
「ニッコールクラブ」は、ニコンカメラをご愛用いただいている方の相互交流のための団体です。その活動内容やイベントなどをご紹介しています。
「TopEye」は全国の中学校・高等学校の写真活動を応援する写真マガジンです。「TopEyeフォトコンテスト」は人気コーナーで、入賞作品もご覧いただけます。





この作品は台湾全土で街とそこに生きる人々を主題に撮影した写真作品です。私は2020年から台湾へ移住して本作品の撮影を始め、その後2023年に日本へ帰国、それからは往来を繰り返し撮影を継続し、これまで5年間の記録となりました。題名「環島回憶錄」は台湾を周回する旅の道「環島・ファンダオ」に由来しています。台湾で人々に広く認識されているこの行為の意義はある種の儀式のようなもので、環島を経てはじめて自らが台湾に生きる一人であると認めることができる、そう考えられています。私は当初、自らのルーツのない彼の地で「そこに生きる人々」を写し撮る事にどこか違和感がありましたが、「環島」を経ることで自分の居場所をつくれるような気がしました。私は写真家なので、時間をかけて台湾全土を周り、そこに生きる事でしか捉えることのできない視線を持って写真を撮り、その作品を私の「環島」にしようと思い撮り続けてきました。
(水島 貴大)
サンチアゴやメッカ、お遍路、熊野古道など、世界各地には巡礼路が存在する。人は古来、一定の距離を歩き、移動することに特別な意味を見出してきた。その背景には宗教的な信仰や禊、あるいは個人的な動機など、文化ごとに多様な理由があるが、移動のプロセスを通して自己を見つめ直し、人生の転機を得るという点は国を超えて共通している。台湾においても、全土を一周する〈環島(ホワンダオ)〉は、単なる移動を超え、人生の節目や自己確認の場として特別な意味を持つ。水島貴大の『環島回憶錄 Memoirs of Huandao』は、そうした環島を主題とした作品である。
作者は2020年に台湾へ移住して撮影を開始し、2023年に帰国後も往来を続けながら約5年間にわたり制作を重ねた。その時期は新型コロナウイルス流行と重なり、人々の移動や接触が大きく制限された特異な時代であった。一連の写真の細部を見ると、その影響を見つけることができるが、むしろ強く印象に残るのはそのような時代と対照的に写し出された、人々の親密さである。それは台湾の人々の開放性に加え、撮影者と被写体との間にある心理的な〈近さ〉や信頼関係によるものだろう。
日本と台湾を往来する写真家である水島は、内でも外でもない絶妙な距離から人間の営みと日常の小さなドラマを捉え、人を〈環(めぐ)る〉ミクロとマクロの風景を浮かび上がらせる。それと同時に本作は台湾に生きる、少数民族を含む多様な民族と暮らしの記録でもある。そしてこれらの写真を見る鑑賞者の視点もまた、台湾一周という移動を超え、いつしか日本、台湾を含む群島、やがて歴史と移動の記憶が交差する環太平洋的な空間へと広がっていくことに気がつく。このアーキペラゴ的感覚こそ、現代の写真家に求められる要素であり、本作が三木淳賞にふさわしいと評価された所以である。
(選評・小髙 美穂)
<三木淳賞 最終選考に残った候補作品は次の通りです>
中間 麻衣「巡る犬」(2025年3月11日~3月24日、ニコンサロン)
水島 貴大「環島回憶錄 Memoirs of Huandao」(2025年7月15日~7月28日、ニコンサロン)
栁澤 ユカ「The Absurdity of the U.S.-Mexico Border」(2025年8月12日~8月27日、ニコンサロン)
<第27回三木淳賞 副賞>
ニコンミラーレスカメラ Z6III + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
※副賞の製品は受賞者と主催者で決定いたしました。
1988年 東京都生まれ
2017年台北で開催されたポートフォリオレビューイベントPhoto oneでグランプリ受賞。街とそこに生きる人をテーマに写真作品を制作してきた。2018年、21_21 DESIGN SIGHTでの企画展「写真都市展 −ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち−」に参加後、連州国際撮影年展 (連州,中国2019) ,「THE TEXTURE OF PROMISES」(サンセバスチャン,スペイン2022) など、国内外の企画展に参加。現在は東京と台北をベースに活動。インデペンデントギャラリーであるTOTEM POLE PHOTO GALLERY(東京)の活動に参加して独自の発表の場も設けている。
