ヘリテージデザインが象徴的なフルサイズミラーレスカメラ「Z f」が、2023年9月に発表されました。
主なスペック
- 有効画素数:2450万画素
- 常用ISO感度:[写真]100~64000、[動画]100~51200
- AF(検出):人物、犬、猫、鳥、車、バイク、自転車、列車、飛行機
- 手ブレ補正:8段 ※CIPA規格準拠。NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(望遠端、NORMALモード)使用時。
- モニター:バリアングル式画像モニター
- 新機能:モノクロ専用レバー、モノクロの新ピクチャーコントロール2種類
- サイズ/重さ:約144×103×49mm/約710g ※バッテリーおよびメモリーカードを含む、ボディーキャップ、アクセサリーシューカバーを除く。
Z f でどのような撮影体験が得られるのか? 実際の使用感はどうか?
Nikonの機材を愛用されている、4人のフォトグラファーにお気に入りポイントを教えていただきます。
小春ハルカさん×花「Z 6IIと Z fcのいいとこどり」
フォトグラファーの小春ハルカ(@86ca86)です。身近に感じる「心動かされる瞬間」を撮影していて、特に好きな被写体が季節の花です。
夏の期間、フルサイズミラーレスカメラ「Z f」でたくさんの花を撮影してきました。




お気に入りポイント① かわいい見た目と優れた描写
フルサイズ「Z 6II」とAPS-Cサイズの「Z fc」(ブラック)を持っていますが、「Z f」はこの二つのいいとこどりだと感じました。
まずはデザイン。レトロなかわいい見た目で、持っていても、撮っていても楽しくなるカメラです。
その上、フルサイズセンサーはうれしいポイントです。描写がよく、花の透明感や輪郭、立体感をそのまま表現してくれるところが気に入っています。


お気に入りポイント② 安心して撮影できる使い勝手のよさ
グリップがあり手持ちしやすく、モニターはバリアングル式なのでロー・ハイポジションでの縦位置撮影がしやすいです。上の写真では、低い位置から背景に写る範囲を調整しながら、小さな生きもの目線で撮影できました。
シャッタースピード:1/40秒
AFが速く、手ブレ補正が8段と強力なので、シャッタースピードをある程度下げても手ブレしにくいのも魅力的です。さらに、ダブルスロット(SDカードとmicroSDカード)で安心感もあります。
お気に入りポイント③ Z マウントレンズとの相性
NIKKOR Z 40mm f/2(SE)をメインで使いました。見た目や撮影バリエーションの幅など、Z f との相性が抜群です。
40mmという焦点距離は、主役を強調した写真から背景を取り入れた写真まで、寄り引きどちらも撮影しやすい距離感だと感じました。

F値:F2


片手で撮影
開放F2は、ボケがとてもなめらかで心地いい描写。花のすぐ後ろの葉などをぼかすことができます。
また、このレンズは非常に軽く、片手でも問題なく撮影できました。

左:NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、右:NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
花撮影では、NIKKOR Z 24-120mm f/4 SやNIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR Sもよく使います。Special Edition以外のレンズも Z f によくなじみ、カメラ自体に重量感があるため安定します。




Z f はスタイリッシュでありながら、グリップがあるためしっかりホールドでき、Z マウントレンズを生かせるカメラだと感じました。
今回は40mm~120mmで花を主役にした写真を撮影しましたが、今後はNIKKOR Z 17-28mm f/2.8など広角レンズをつけて、花と景色を入れた撮影や映像表現を試してみたいです!
※ Z f で撮影した夏の花の記事は、別途公開予定です。
鎌田風花さん×旅「旅や日常撮影にぴったりなカメラ」
フォトグラファーの鎌田風花(@fuka_09)です。兵庫を拠点に、全国いろいろな場所へ写真を撮りに出かけています。
今回は待望だった「Z f」を手に、鳥取県を旅してきました。鳥取は自然豊かで、砂丘や海、花畑など素敵なロケーションが多いところが魅力的です。




お気に入りポイント① 旅に連れ出したいデザイン&性能
普段はAPS-Cサイズ「Z fc」とフルサイズ「Z 7II」を使っていますが、「Z f」は Z fcが少し成長し、見た目はフィルムカメラFM2により近づきました。フルサイズでありながら、かわいい見た目はうれしいポイントです。
フルサイズとしては軽量で、グリップがついていて持ちやすいので、ストラップと合わせると長時間持ち歩いても問題ありません。
特に驚いたのが、モニターとファインダーのきれいさです。浮き出るような立体感をモニターで見ることができ、撮って出しから満足感がありました。


モニターはバリアングル式で、低い位置にある植物などを縦位置で撮るときも楽です。逆光で、かつファインダーをのぞきにくいシーンでも、画面を確認しながら撮影できました。
また、手ブレ補正は8段と強力で、明るいレンズと合わせると暗いシーンでも手持ち撮影がしやすいです。
お気に入りポイント② Z f に合うSpecial Editionレンズは旅に◎

左:NIKKOR Z 40mm f/2(SE)、右:NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)
Z f はSpecial Editionのレンズと見た目の相性がとてもいいです。軽量コンパクトなので長時間持っていても疲れず、カバンに入れてもかさばりません。


特にNIKKOR Z 40mm f/2(SE)は寄り引きしやすく、風景やテーブルフォトなどいろんなシーンで使えます。


旅では広角も重宝します。NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)はとても軽く、40mmと一緒に持っていくと撮影の幅が広がります。


左:NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S、右:NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
今回の旅では、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 SとNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sも使用しました。


広大な風景の撮影に最適な14-24mmはサイズ的に問題なく扱え、Z 7IIにつけたときよりも軽い印象です。
70-200mmは描写・AFとも申し分ありません。レンズを支える必要がありますが、ボディーが軽いので扱いやすいと感じました。
お気に入りポイント③ モノクロ撮影の楽しさ


新機能のモノクロ専用レバーがお気に入りです。
これまでは光と影がはっきりと出ているときや、特徴のある建築をモノクロで撮ることがありました。Z f はレバーですぐ切り替えられるため、モノクロの敷居が下がり、撮影機会がさらに増えそうです。モノクロで撮ったときにモニターやファインダーでチェックする写真の階調が美しく、それだけでまた撮りたいと思えます。
Z f は旅や日常使いにぴったりです。構えたときに相手に圧迫感を与えないので、家族写真やポートレート撮影でもどんどん使っていきたいと思います。
鎌田風花さんが Z f で撮影した記事はこちら
Z f を手に巡る鳥取旅 – 鳥取砂丘、植田正治写真美術館、花回廊…1泊2日で巡る11スポット
Fujikawa hinanoさん×モノクロポートレート「モノクロの世界に没頭できる」
写真家のFujikawa hinano(@nanono1282)です。フィルムカメラをメインに、日常と非日常の中にある曖昧さ、そして感情を丁寧に表現したいと思い、日々撮影をしています。
モノクロも好きで、叙情的な表現をしたいときや、シンプルな表現をしたいときはモノクロで撮影したくなります。




今回は「Z f」×オールドレンズで、モノクロポートレートの撮影を行いました。
※ Z f にオールドレンズを取りつけるには、マウントアダプターFTZやFTZ IIを装着する必要があります。
※本記事では、フィルムカメラ用に作られたマニュアルフォーカスのレンズをオールドレンズと呼んでいます。
お気に入りポイント① 世界観を追求できるモノクロ機能
Z f は、新搭載のモノクロ専用レバーが大きな特徴です。メニュー画面からモノクロを選ぶよりもレバーで一気に変えられるので、撮影に集中しながらモノクロの世界に没頭できます。
また、コントラストや質感などモノクロを自分でゼロから調整して作りこむのは難しいため、好みのモノクロモードが用意されているかも重要です。
「Z f」では従来のモノクロームに加え、2種類のピクチャーコントロール(フラットモノクローム、ディープトーンモノクローム)が追加されました。



左:モノクローム、中央:フラットモノクローム、右:ディープトーンモノクローム
- モノクローム:コントラストが高く、デジタルらしいはっきりした印象。
- フラットモノクローム:白から黒までのトーンがやわらかく、全体的に優しく明るい印象。
- ディープトーンモノクローム:白部分もグレー気味になりながら、黒つぶれ感の少ないダークトーンで、全体的に落ち着いた雰囲気。



左:モノクローム、中央:フラットモノクローム、右:ディープトーンモノクローム
新モードは今まで見てきたデジタルシミュレーションのどれよりも描写が繊細で、この3種類でほとんどの場面で合うものが見つかると思います。
お気に入りポイント② オールドレンズ×モノクロの描写


オールドレンズで撮影すると、やわらかく、モノクロの繊細さを表現できます。
今回メインで使用した「Nikkor S Auto 5cm F2」は、普段フィルムカメラで愛用しているレンズです。やわらかく大げさすぎないボケ感が特徴で、前ボケを入れたり背景をぼかす際に生きました。また、絞るとしっかりクリアに写してくれます。
※AI改造済みのNikkor S Auto 5cm F2でなければマウントアダプター(FTZやFTZ II)に装着できませんので、ご注意ください。
お気に入りポイント③ ずっと使いたくなるデザインと使い勝手のよさ
Z f はシンプルでありながら洗練されています。人工皮革、真鍮製ダイヤルなど高級感があり、使っていく中で経年変化が楽しめそうなのも魅力的でした。
オールドレンズはマウントアダプターを介するため重くなりますが、グリップがしっかりしているため撮影しやすいです。
Z f は縦位置での撮影がしやすいのも特徴です。カメラを縦にするとモニター表示も縦に変わり、バリアングル式のため低いアングルから縦位置写真を撮るときに重宝します。
モノクロは「フィルムでないと自分が求めている繊細な表現ができない」と思っていましたが、Z f のモノクロ性能は私の想像を優に超えてきました。今回の写真はほぼレタッチしていません。撮って出しで求める表現に近づくことができ、「モノクロの世界に没頭できるカメラがこんなに楽しいのか」と感じました。
新ピクチャーコントロール「リッチトーンポートレート」(カラー)も肌の表現などがきれいだったので、カラーのポートレート撮影も楽しめそうです。また、高性能なAFや8段の強力な手ブレ補正もあるので、さまざまな撮影にチャレンジしたいと思います!
Fujikawa hinanoさんが Z f で撮影した記事はこちら
ミラーレスカメラ「Z f」で撮るモノクロポートレートの魅力 – オールドレンズが叶える表現のポイント
Yuriさん×リール動画「旅の思い出を素敵に残してくれる」
フォトグラファーのYuri(@camel8326)です。旅が好きなことから、旅先の魅力やカメラの楽しみ方を発信しています。
今回は「Z f」を手に滋賀県「びわこ箱館山」を旅し、写真と動画を撮影してきました。ショート動画のInstagramリールにまとめるため、縦位置をメインに撮影しています。
お気に入りポイント① 手持ちで気軽に動画を撮れる
旅のカメラとして、手持ちしやすく、手ブレ補正がしっかりしたものがオススメです。縦に構えて撮る際、横に構えるよりもブレやすくなるため、補正がしっかりした機材が◎。
Z f はグリップがしっかりしているので持ちやすく、AFはかなりスムーズでした。
そして特に驚いたのが、強力な手ブレ補正です。カメラを片手で持って撮るときや、カメラを動かして撮るときも手ブレが気になりません。ジンバルなどがなくても気軽に動画撮影をはじめられます。


また、モニターはバリアングル式で、縦位置で撮りやすい点に魅力を感じています。上部にはシャッタースピードとISO感度のダイヤルがあり、スムーズに設定を切り替えられる点もよかったです。
Z f は自撮りもしやすい
Z f、NIKKOR Z 40mm f/2(SE)※動画のキャプチャ
Z f はバリアングル式画像モニターなので、写りの確認がしやすく便利です。また、Nikonの無料アプリ「SnapBridge」を使うと、スマホで写りを確認しながら遠隔でシャッターを切れます。
お気に入りポイント② 寄り引きしやすくボケも楽しめるキットレンズ

せっかくカメラで撮るならボケ感のある動画を入れたいので、開放F値が小さいものが理想です。今回は Z f のキットレンズNIKKOR Z 40mm f/2(SE)をメインで使用しました。


広すぎず狭すぎない絶妙な焦点距離なので、風景・人・カフェ・木漏れ日など、1本でどんなシーンにも対応できます。


開放F値は2と小さく、ボケ感がほしいシーンにも十分です。
単焦点としてとにかく軽く、動画撮影もスムーズでした。レンズ1本しか持っていけない状況であれば、間違いなくオススメできるレンズです。
広角がほしいときはNIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)
旅で風景を広く入れたいときなど、広角レンズがあると撮影の幅が広がります。今回の旅では、サブとしてNIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)を使いました。Z f との見た目の統一感があり、軽量コンパクトで旅に持っていくのにオススメです。
Z f、NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)
風鈴がたくさんあるスポットを28mmで撮影しました。40mmでも十分きれいだったのですが、より広角で撮ることでパースがつき、臨場感や場所の壮大さが伝わります。
お気に入りポイント③ 持ち歩きたいデザインと使い勝手
Z f は見た目がとにかくかわいいです。
フルサイズ機はこれまでも使ってきましたが、カメラそのものを撮ろうとは思いませんでした。Z f はフィルムカメラのようなクラシックなデザインがとても素敵で、被写体として撮りたくなります。


ファッションアイテムとしても持って歩きたくなりますし、旅の気分も上がりますね!


Nikonのカメラの描写はナチュラルで、青や緑、シックな色味などが映えます。
Z f は屋外でも屋内でも素敵な写真や動画を撮ることができるので、これからの秋のお出かけシーズンで活躍してくれると思いますよ!
Yuriさんが Z f で撮影した記事はこちら
旅の写真・動画をInstagramリールにまとめよう! ミラーレスカメラ「Z f」なら旅の思い出がより鮮明に
フルサイズミラーレスカメラ「Z f」はいかがでしたか?
「持っていたいデザイン」で日常や旅撮影が楽しくなり、AF・手ブレ補正など優れた性能で写真・動画が快適に撮影できます。美しい描写、暗所への強さ、モノクロ機能など、新たな表現との出会いも叶えてくれるはずです。
ぜひ Z f を手に取って、カメラのある日常、撮影の楽しさを体感ください!
※掲載している写真は、撮影後に編集を行っております。
4人も参加するNICO STOP 4周年リアルイベントを開催!
NICO STOPの公開4周年を記念して、リアルイベント「NICO STOP PHOTO FES 2023~写真とみつけた、出逢い~」を2023年10月21日(土)・22日(日)の2日間で開催いたします。
【イベント内容】
- 今回の記事をご担当いただいた4名をはじめ、総勢20名のフォトグラファーの作品を展示する『フォトギャラリー』
- フォトグラファーが実際に使っているNikonのカメラとレンズの組み合わせを体験できる『フォトグラファーおすすめ機材体験』
話題のカメラ「Z f」も展示いたします! - テーマ別でカメラや写真の魅力に迫る『トークショー』
- フォトグラファーでクリームソーダ職人のtsunekawa氏が運営する喫茶店「旅する喫茶」の特別出店
…など、楽しい企画が盛りだくさんです!
また、2022年に販売し好評の上完売した、NICO STOPオリジナル「3WAYカメラバッグ」を数量限定で再販します。
みなさまのご参加をお待ちしております!
【開催概要】
- 参加フォトグラファー(敬称略、五十音順):葵、あき、イナガキヤスト、かが屋 加賀翔、鎌田シンイチ、鎌田風花、Koichi、小春ハルカ、酒井貴弘、澤村洋兵、Shota、jyota tomonori & misuzu、Daisuke Uematsu、tomosaki、ぱる、Fujikawa hinano、べく、もなみん、Yuri
- 日時:
2023年10月21日(土)12:00~20:00
2023年10月22日(日)11:00~19:00 - 参加費:無料
- 会場:BPM
東京都世田谷区池尻2丁目31-24 信田ビル2F
東急田園都市線 池尻大橋駅から徒歩30秒
https://bpm-tokyo.com/
小春ハルカ
季節の花や夕焼け空、何気ない田舎の景色など、日々過ごしていく中で身近に感じる「心動かされる瞬間」を撮影。花と風景の淡色世界を表現している。


Fujikawa hinano
Instagramで作品を投稿。グループ展やメディア執筆など、幅広く活動中。「日常と非日常の中にある曖昧さ、そして感情を丁寧に表現したいと思っています」
Yuri
大阪在住のフォトグラファー。「ふんわりかわいい写真」をテーマに、旅先の魅力やカメラの楽しみ方を発信。観光プロモーションやウエディング・家族写真、企業SNSの撮影をはじめ、記事執筆、写真セミナー講師など幅広く活動中。