はじめまして、kana(@ka_na_05)です。
「淡さ、儚さ、懐かしさ、繊細さ」。そんな空気感が伝わるような写真を撮影して、Instagramで発信しています。被写体は主に娘で、休日は一緒に写真を撮りに出かけています。
純粋な興味から始めたカメラでしたが、亡き義父が生前カメラを集めていたことを義母から教えてもらい、義父のカメラを譲り受けました。実の父は早くに他界していたので、結婚して「お義父さん」と呼べる存在ができたことが嬉しく、義父にとても懐いていました。今は、その大切な機材とともに写真を撮っています。
ここからは、私と家族をつなぐカメラの話、そして愛用のカメラやレンズ、撮影で意識していることやこだわりについてご紹介します。
気づけば、家族のそばにカメラがあった
“私も撮ってみたい”がすべてのはじまり
写真を撮るようになったのは、友人に教えてもらったInstagramがきっかけでした。そこで見た、想像が膨らむような写真や幻想的な写真に惹かれ、自分でも撮ってみたいと思いました。
最初はスマホで撮影を楽しんでいたのですが、次第に物足りなくなり、ミラーレスカメラを購入。ときめきの瞬間を逃したくなかったので、カメラを必ずカバンに入れて外出していました。
それから、写真を通じて人とのつながりが生まれていくなかで、オールドレンズとフィルムカメラを使っている方と出会いました。「撮ってみる?」と声をかけてもらい、その何とも言えないボケ感とふんわりとした柔らかい写りに感動。それから、オールドレンズやフィルムカメラの世界に引き込まれ、今に至ります。
偶然のようで、きっと必然だった。カメラコレクターだった亡き義父
私がフィルムカメラで写真を撮っていると知った義母から、「お父さんの部屋からカメラがたくさん出てきたわよ。好きなだけ持っていって」と連絡がありました。
鈴虫をこよなく愛し、盆栽が好きで、心穏やかで大人しい義父が家族に内緒でカメラを集めていたことにすごく驚きました。義父がカメラのコレクターだったことは、亡くなった後に知ることになりました。
義母は「全部あげるよ」と言ってくれたけど、さすがに全部もらうのは図々しいと思い、「Nikon F Photomic」をもらいました。義父が生前大切にしていたものを手にできたことが、本当に嬉しくて、気持ちの高まりを抑えられず、夫にも驚かれるほど年甲斐もなくはしゃいでしまいました(笑)。
今では、撮影に出かけるときは必ず持っていくようにしています。義父と一緒に写真を撮っているような気がして、「ねぇねぇ、お義父さん」と心の中で話しかけることもあります。
娘は、唯一無二の被写体。撮り続けることで育まれた、娘との絆
義父のカメラを受け継いで、今では主に娘を被写体として写真を撮っています。撮り始めてから今年で8年目。娘は私の「こんな感じで撮ってみたい」をとことん追求させてくれる、唯一無二の被写体です。
はじめは写真に全く興味のなかった娘も、「ママのためだから」と協力してくれて。写真が目的で出かけるなかで、旅気分を味わいながらの撮影がだんだん楽しくなっていったようです。私も訪れた先で、心の赴くままにシャッターを切っています。朝日を目指して夜中に出発したり、夕暮れの光を追って帰宅が遅くなったりすることもあります。そんな自由な撮り方ができるのも、娘という存在があってこそだと感じています。
2人でとことん撮影を楽しんだ後は、満足感に浸り、出来上がった写真を見て感想を伝え合う。いつのまにか、フォトグラファーと被写体というより「同志」という関係性が築かれてきたとも感じます。
同じ被写体を撮り続けられること。しかもそれが「娘」であることに、カメラを構えるたびに幸せを感じています。そして、大人になってからの娘を、「写真」というかたちで残せることは、母としてもかけがえのない喜びです。娘のいろいろな表情を、彼女の人生の節目節目を写真で残すことができたのですから。
写真を撮りに行くという目的があったからこそ、大人になってからの母娘にしてはめずらしく、一緒に過ごす時間が多く持てたと思います。そのぶん、お互いの深い話を聞くことも聞いてもらうこともあり、少しずつ深まっていく絆を実感しています。
「撮りたい」を叶える愛用のカメラとレンズ
ここからは、愛用しているカメラとレンズについてご紹介します。
カメラはNikon FM2をメインに、今年手に入れたZ50IIも愛用しています。
レンズは、義父から譲り受けたNikon F Photomicに付いていたNIKKOR-S Auto 50mm F1.4とAI Nikkor 50mm f/1.4Sを愛用しています。
信頼のおけるフィルムカメラ、Nikon FM2
2022年5月から愛用しているNikon FM2は、機械式なので、万が一壊れても修理で直る可能性が高いカメラです。露出計の電池が切れても、写真を撮り続けることができます。シャッタースピードは1/4000秒まで対応しているので、ISO感度の高いフィルムを使っていても、晴れた日中にふんわりとした撮影が撮りやすく、多重撮影も楽しめます。使い始めてから今日まで不調はなく、コンパクトで丈夫。とても信頼のおけるカメラです。
デジタルカメラにオールドレンズをつけて撮る写真は、柔らかさはありつつも、フィルムよりクリアに感じます。ですが、フィルムカメラはレトロ感や空気感がより際立っていて、撮ったときの雰囲気がそのまま残っているように感じられ、そこがたまらなく好きです。
痒いところに手が届くカメラ、Nikon Z50II
Z50IIの本体はとても軽くてコンパクトなカメラです。タッチパネルやダイヤル操作で簡単に設定を変えることができ、握ったときにグリップも安心感があります。スマホやパソコンへの転送が簡単にでき、痒いところに手が届くカメラだと感じています。
Z50IIを持ち歩くようになって撮った写真をリアルタイムで確認でき、その場で被写体の方と感動を共有できることが楽しいです。
50mmのオールドレンズをつけているので、中望遠寄りの臨場感がある写真になるときもあり、自分でもびっくりします。写真の世界が広がっていく楽しみもあり、これからも大切に使っていこうと思っています。
また、義父の遺品である「Nikon F Photomic」の本体はオーバーホールに出したのですが、調子がいまひとつで…。それでも、レンズだけでも使いたくて、Z50IIにPhotomicのレンズ(NIKKOR-S Auto 50mm F1.4)をつけて撮影しています。
愛用のレンズは、NIKKOR-S Auto 50mm F1.4とAI Nikkor 50mm f/1.4S


Z50IIにNIKKOR-S Auto 50mm F1.4をつけて撮影すると、優しくふんわりとした雰囲気が表現できます。彩度、コントラストが程よく、逆光時はゴーストやフレアが出やすく、光の入り方で写真の印象が変わるのも楽しいポイントです。義父のレンズがこうして活用できて嬉しいです。
Nikon FM2にはAI Nikkor 50mm f/1.4Sをつけて撮っています。上品で柔らかい写りです。フレアやゴーストが出にくいレンズですが、うまく光を取り込めたときには、虹色のフレア、ゴーストに出会えます。主張しすぎず品のある光遊びができる安定のレンズで、大好きな一本です。
写真のなかにある私らしさ
引き立て役にも、主役にもなれる。「白」を衣装に
被写体には白い衣装を着ていただくことが多いです。淡さ、儚さ、繊細さが伝わるような写真が好きで、主張し過ぎず、景色にすっと溶け込む色を選ぶと、自然と「白」にたどり着きました。
白は、主役にも脇役にも、ときには差し色のような存在にもなってくれる、いろんな顔を持った魅力的な色だと感じています。季節感、物語性を加えるために小物を使うこともあるのですが、白はそういった小物も引き立ててくれる色で、背景が強い色であっても喧嘩せず、爽やかさを演出してくれます。




また、日の出前、日暮れ後の薄暗い光のなかでは、白がほんのり光を放ってくれるように感じます。逆光のときに肌の色が黒くなりがちな場面でも、それを防いでくれる心強さもあります。
撮影は、朝のやわらかな光のなかで
日の出の少し前からの光が好きなので、午前中の早い時間での撮影が多いです。人の少ない海でまわりを気にせず撮れるのも、この時間帯に撮影をする理由の一つ。
日の出前の空が少し赤くなり始めたときの、微かな光を感じながら撮った写真には、どこか儚さが表現されていると思います。長く伸びた影を撮るのも好きです。希望や願い、未来のようなものを無意識に重ねているのかもしれません。
夕暮れ時の光も好きです。柔らかい光で、被写体の手元や足元、髪の透け、木漏れ日で遊んだり。偶然の出会いに心が躍ります。
光があると逆光にして、ゴーストやフレアを入れたり、シルエットや透け感を活かしたり、光に包まれるような写真を撮りたくなります。逆光のような光のコントロールが難しい場面では、被写体が真っ黒に写ってしまうこともあるので、レンズに入る光の量には気をつけながら、少しずつ光の入り方を変えて数カット撮り、現像時にその旨を伝えるようにしています。
撮ったときの空気や思いを、現像とレタッチに宿す
現像とデータ化は、フィルムカメラを始めた頃からお世話になっている現像店にお願いしています。
撮影した日や場所、誰と行ったかなどをフィルムごとにメモして持ち込み、その時々のイメージを伝えるようにしています。
例えば、「このフィルムは朝焼けのシーンが多いので、肌の質感をやわらかく」、Instagramを見せて「この方の◯年◯月の投稿のような色味を参考に」など、光の印象や彩度の加減を相談しています。撮ったときの気持ちや空気を思い出せるような写真にしたいので、現像の段階からコミュニケーションを大切にしています。
Z50IIで撮った写真のレタッチは、撮影時に感じた雰囲気に寄せるように少しだけ調整します。手持ちのオールドレンズは、暖色気味に出るので、ホワイトバランスの色温度を青寄りに調整。コントラストと彩度は抑えて柔らかく仕上げています。
写真でつながる家族の時間とこれから
「好きなこと」を応援してくれる家族に。ありがとうは、「写真」で返したい
私が好きなことを続けられているのは、家族の支えがあるからこそ。
時々文句を言いながらも、「納得のいく写真を撮らせてあげたい」、「悔いのないように撮れば良いよ!」と背中を押してくれる夫と娘。その気持ちに、いつも助けられています。
我が家では、春になると夫の遺影を撮っています。毎年更新し続けて、今年で4年目。「もう、いいよ〜」なんて照れながらも、撮影当日はお気に入りの服を着てくれて、まんざらでもない様子が、また嬉しい。
娘の結婚、妊娠、出産という人生の節目でも、私は写真を撮ってきました。そんな写真たちは、紙焼きにしてアルバムに入れ、娘にプレゼントしています。
「好きなことに没頭する私」を見守って協力してくれる家族。我が家の連帯感や絆は、このスタイルで育まれたのだと感じます。
応援し続けてくれる家族にありがとうの気持ちを伝えたい。でも、やっぱりそれは、写真で伝えたいのです。歳を重ねて、老眼になって、撮る写真がピンボケ写真ばかりになっても、それでも私は、シャッターを切り続けていると思います。
これからも、感謝してもしきれないほどの「ありがとう」を、写真を撮り続けることで伝えていけたらと思っています。
Photo Gallery
最後に、記事では紹介できなかった娘との大切な写真をいくつかご紹介します。
私の亡き母のことを思って撮った、カーネーションと娘の1枚。娘もおばあちゃんのことが大好き。きっと、おばあちゃんと私にありがとうという気持ちだったと思います。
娘たちのウェディングフォト。「桜の木の下で撮りたい」という本人たちの希望を聞いた後、わがままを言って、私の「撮りたい」も叶えてもらった1枚です。
娘が妊娠6ヶ月のときに撮ったマタニティフォト。未来に向かって歩いていってほしいという願いを込めて撮った1枚です。
6月中旬に娘に子どもが産まれました。私にとって初孫です。4年前に大きな病気をしたこともあり、おばあちゃんになれるとは思っていなかったので、感無量でした。
これからは、孫の成長と娘たち家族の何気ない日常の記録をフィルムで残していきたいです。孫が写真に興味を持ってくれたら、一緒に写真を撮りに行きたい。そんな夢もできました。そのときは、義父が残してくれたカメラも一緒に連れて行こうと思います。
飾らない、ありのままの日常で感じられる温もりが伝わるような写真を、これからも撮り続けたいです。
Model:puka
Supported by 東京通信社
※ Z シリーズカメラでNIKKOR Fレンズをご使用するにはマウントアダプターFTZやFTZ IIを装着する必要があります。
※AI改造済みのNIKKOR-S Auto 50mm F1.4でなければFTZやFTZ IIに装着できませんので、ご注意ください。