みなさん、こんにちは。フォトグラファーのフジモリメグミ(@fujimorimegumi)です。「はじめてのフィルムカメラ」第5回では、稀ちゃん(@marematsuura)がフィルムカメラで写した夏の思い出写真で、フォトブックを一緒に作りたいと思います!
私は写真学校でフォトブックの講義をしたり、作品の発表のために普段からZINEをよく作っていますが、フォトブックは写真選びや順番などを工夫するだけで印象ががらっと変わります。より魅力的な1冊になるフォトブックの作り方を、前編と後編の2回にわたってお届けしたいと思います。前編ではフォトブックに入れる写真の選び方まで、ポイントを押さえながら一緒に作っていきましょう。
ちなみに私は普段、完成形をイメージしやすいようにプリントした写真を使ってフォトブックを作るようにしています。これもポイントです!
フォトブックの種類やページ数を決める
フジモリ:今回は、幅広い世代から人気のフォトブックサービス「Photoback」を使ってみましょう。Photobackにはスマホ用アプリがあるので、簡単にフォトブックが作れます。
https://www.photoback.jp/book/app
Photobackのスマホアプリでは、ROUGH、POCKET、ALBUMの3種類から選べます。(画像提供:Photoback)
フジモリ:稀ちゃんは、どの種類で作ってみたい?
稀:今回撮った写真は横長が多いので、写真を生かせるように「POCKETよこ」がいいです!
フジモリ:ページ数は一番少ない16ページにしてみましょう。どうしても詰め込みたくなるけど、少し物足りないくらいの方が「次も読みたい」って感じてもらえると思うな。
稀:なるほど! 少しでも詰め込みたいと思ってました…。



Photobackでは、候補となる写真を選んで「フォトブックをつくる」をタップすると、フォトブック制作をスタートできます。
Check Point
・フォトブックの種類:フィルム写真のデータは写真店によって異なりますが、長辺1500px程度(印刷するとL判サイズ程度)がほとんどなので、フォトブックのサイズにも注意
・ページ数:はじめての人は少ないページからスタート
・1ページに入れる写真の数:フォトブックサイズが小さい場合、1ページに写真1枚の方が写真のよさが生きてくる
テーマを決める
フジモリ:具体的な写真セレクトを始める前に、まずはテーマを考えてみましょう。全体の写真を見てみると、さわやかな夏の始まり感があっていいね。稀ちゃんは、どんなフォトブックにしたいかな?
稀:夏の公園で、nanoさん(@nanono1282)との撮影デートの1冊にしたいと思います。
フジモリ:一人の女の子を主人公にする場合、「友達目線」か「彼氏目線」かで、セレクトも変わってくるよ。
稀:「彼氏目線」にしたいです。撮影しているときnanoさんがかわいくて、ずっときゅんきゅんしてたので!


フジモリ:例えば、夏らしいラムネの写真だけど、どっちを選ぶかでも印象が変わるよね。左の二人で乾杯している写真は「友達」という感じ、右の方は向かい合っている感じが「彼氏」っぽいよね。
稀:なるほどー!
Check Point
・大きすぎるテーマより、絞ったテーマの方がまとめやすい
・誰に見せたいかで考えてみる:“友達や恋人”に誕生日プレゼントとして思い出をまとめたり、“フェス仲間”に夏フェスではしゃいだ日々を見せたい…など
・普段気になっていることでもOK:ペットの寝顔がかわいくてしょうがないからテーマにしてみる…など
・日常的に撮影した写真がたくさんある場合:季節でまとめたり、月刊誌のようなイメージで作るのも◎
表紙とタイトルを決める
稀:実はタイトルを考えてきました。「SUMMER GIRL」です!
フジモリ:シンプルでいいね!タイトルが長すぎるとお腹いっぱいになっちゃうからね。表紙にはどんな写真がいいかな? いくつかピックアップしてみましょう。
フジモリ:ちなみに、人の顔がしっかり写ったものだと見る人の好みが出やすいから、人物写真を使う場合はそこも気をつけてみてね!


稀:このかわいい足元の2枚で悩みます。
フジモリ:どっちもかわいいね。今回のタイトルは「SUMMER GIRL」だから、夏感があった方がいいかもしれないね。
稀:波打ち際の写真はどうでしょうか?
フジモリ:この写真が表紙にくると、見た人が本の中に誘われている感じもあってすごくいいね。
稀:たしかに…なんだかワクワクします!
Check Point
・タイトルはシンプルなものがオススメ:「ハワイ家族旅行を楽しむ7つのコツ」のようにしてしまうとタイトルだけでお腹いっぱいになるので、「hawaii」とシンプルにする…など
・表紙やタイトルのイメージがつかない場合:好きな写真集や雑誌をマネしてみるのも◎
・表紙に人物写真を使う場合:人の顔が大きく写っていると見る人の好みが出るので要注意
写真をカテゴリわけする
フジモリ:入れたい写真を選ぶ前にカテゴリわけすると、どんな写真があるか整理できて、後々選びやすくなります。テーマに合う写真の中からさらに、「人物」「シーン」「場所」「その他」でわけてみましょう。
稀:仕分けしてみるとどんな写真があるか自分の中で整理できて、どの種類が多いかもわかりますね。
Check Point
・まずはテーマに合うか合わないかでわける
・さらにカテゴリでわける:「人物が写っている」「シーンが写っている」「場所が写っている」「その他」など(人物はさらに、全身、上半身、下半身、パーツでわける)
入れたい写真を選んでいく
フジモリ:ここから実際に何を入れるか決めていくけど、特に入れたい写真はある?
稀:やっぱり主役を大きく入れたいので、人物の上半身カットから選ぶと…この4枚です。
フジモリ:この中で特に好きなのはどれかな?




稀:右上の写真が好きです。高い場所が苦手で、観覧車に怖がっているところがかわいくて。
フジモリ:エピソードや思い入れが強い方がいいフォトブックになるので、その写真でいきましょう! この隣にはどんな写真があった方がいいかな?


稀:下をおそるおそる眺めている状況なので、下の景色を隣に置いたらいいですかね…。
フジモリ:ストーリー性があっていいね。


フジモリ:怖がっている仕草に惹かれたなら、見開きに両方を入れるとその感じを強調できるんじゃないかな。
稀:本当だ! 私が組んだものだと静かな印象でしたけど、動きが出てます。このときの空気感が伝わりやすいですね。
フジモリ:これは中央に顔の向きを合わせているけど、両方を外側に向けると、本の外の方に景色があるみたいで広がりが生まれるよ。


稀:わぁぁ、すごい…さらにかわいくなりました!
フジモリ:じゃあこの写真を軸にして、入れたい写真を選んでみましょう。選んだ写真の隣に何を持ってくるかイメージしながら、1冊全体の雰囲気も意識してみてね。
Check Point
・思い入れの強い写真や撮影時のストーリーがある写真を軸にする
・全体を通して雰囲気や世界観を統一していく
…前編はここまで!
後編では、実際に入れる写真を決めて、掲載順を考えるところからスタートです。より魅力的なフォトブック作りのために、後編もぜひお楽しみに!
Photo by:もなみん(@ry.mona)
Model:松浦稀(@marematsuura)
Supported by L&MARK
※協力:Photoback(https://www.photoback.jp/book/app)
※PhotobackはPC版とスマホアプリ版では編集機能が一部異なります。
はじめてのフィルムカメラ

フジモリメグミ
清澄白河TAP Gallery に所属し、展示会やZINEを主体に作品を発表。「日常というものは奇跡なのかもしれない」という思いが2011年から強くなり、日常を撮ることをライフワークとしている。日本写真芸術専門学校講師。2017年、写真集『apollon』出版。

もなみん
東京在住のフォトグラファー。季節をテーマに、友人と過ごす瞬間をメインにフィルムカメラで撮影している。企業PRなどの撮影、旅行系メディアでの執筆など、幅広く活動中。「たいていワンピースを着ています」