連載企画『写真家と学ぼう! カメラ初心者ガイド』。カメラ初心者のナツキちゃんと一緒に、カメラや撮影の基本を学んでいきましょう!
Step8は写真の色味を調整できる「ホワイトバランス」です。フォトグラファーの鎌田風花さんに、イメージした色味に仕上げるための、ホワイトバランスの設定のポイントを教えていただきます。
ナツキちゃん
スマホで写真を撮っていたが、「もっと素敵な写真を撮りたい」とついにカメラを購入。選んだのはAPS-Cサイズのミラーレス「Z fc」と単焦点レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)」。モットーは「とりあえずやってみる」。好奇心旺盛で、少しうっかりやさんな女の子。鎌田風花さん
ナチュラルな風景や人物写真を得意とするフォトグラファー。家族写真の出張撮影や広告撮影なども行っている。

か、鎌田さん…。きれいなオレンジ色のライトを撮ったんですけど、見た目より白っぽく写ってしまうんですよ。
オレンジ色のライトが白っぽく写ってしまった写真

色味は「ホワイトバランス」を変えてみるといいよ!

ホワイトバランス…?
「ホワイトバランス」とは?
ホワイトバランス(「WB」と略す)は、写真の色味を変える機能です。
太陽光や電球などの光源の影響で、本来の色とは違った写り方になることがあるため、見た目に近い色に仕上げるために活用します。


オレンジに光る電球の下で白い皿を撮影。ホワイトバランスを左は「オート」、右は「電球」に設定。

「ホワイト」と名前に入ってるけど、本来は「白」がちゃんと白く写るように調整するための機能なんだ。

左はちょっとオレンジっぽく感じますけど、右のほうは白く写ってますね。

光源ごとに調整できるように、それぞれモードが用意されてるんだよ!
ホワイトバランスのモード
ホワイトバランスにはオートと、5つの光源モードが用意されています。
【オートモード】
- オートA0/A1/A2:カメラが自動的に調整。電球の下で撮影した場合に白さを優先する「A0」、やや電球色を残す「A1」、電球色を残す「A2」の3種類ある(初期設定は「A1」)。



左からオートA0、オートA1、オートA2
・自然光オート:日中の屋外(自然光下)での撮影に適している。
【各光源に対応したモード】
- 晴天:晴天の屋外での撮影に適している。
- 曇天:くもり空の屋外での撮影に適している。
- 晴天日陰:晴天時の日陰での撮影に適している。
- 電球:白熱電球の下での撮影に適している。
- 蛍光灯:「白色」「昼白色」「昼光色」と3種類あり、それぞれの蛍光灯の下での撮影に適している。

かなり細かく調整できるようになってるんですね! でも、オートにも種類があるし、撮影のたびに考えるのって大変だなぁ…。

カメラは優秀だから基本は初期設定のオートで大丈夫なんだけど、どうしても気になるときに調整する感じだね。むしろ、ホワイトバランスは「自分の撮りたいイメージに近づける」目的で使うことが多いんだよ!

自分の撮りたいイメージ…?
ホワイトバランスで、色味を変えよう!

モードによって、それぞれに色味の特徴が違うんだよ。自然光が入る部屋の中で撮った写真で比べてみよう!
自然光が入る部屋で、オート(A1)で撮影した写真







同じものを撮ってるのに、色味が全然違いますね!
でも、電球ってオレンジ色に光ると思うんですけど、ホワイトバランスを「電球」に設定するとなんで青く写るんですか…?

いいところに気がついたね! ホワイトバランスは、赤みのある光には青みを/青みのある光には赤みを足して白く補正する機能なんだ。「電球」は青みを足すモードで、白っぽい光の場合は青く写るんだよ。
光の色と写真の仕上がりの関係
光の持つ色を数値で表した指標を「色温度」(単位はK/ケルビン)と言います。
色温度は低いほど赤く、高いほど青いのが特徴です。この色味を相殺して白くするのがホワイトバランスで、カメラは色温度が低い場合には青みを増し、色温度が高い場合には赤みを増す調整を行います。色温度を細かく設定することも可能です。
※ Z fcでは、2500K~10000Kまで設定できます。

各モードごとに色温度が決まっていて、「電球」に設定すれば青みが増して、「晴天日陰」に設定すれば赤みが増すという特徴があるんだよ。

それで、「電球」に設定すると青くなったんですね!

そうなんだ! それと、赤みのある色を「暖色」、青みのある色を「寒色」って呼ぶんだけど、それぞれこんな印象の違いがあるから、参考にしてみてね。
色による印象の違い
- 暖色:あたたかい雰囲気
ホワイトバランスを「晴天日陰」に設定して撮影
- 寒色:クールな雰囲気
ホワイトバランスを「電球」に設定して撮影

ライトや夕焼けは「晴天日陰」で撮ると赤みが増してあたたかみを強調できて、都市風景なんかは「電球」で撮ると青みが増してクールさを強調できるんだ。

オレンジ色のライトを撮るときは、ホワイトバランスを「晴天日陰」にすれば雰囲気よくできたんですね!

カラーフィルター感覚で使えるから、自分好みの色味を探してみてね!

自分好みの色…すごくワクワクしてきました!
NEXT STEP!
次は、「ピクチャーコントロール」を活用してみましょう。色鮮やかにしたり、やわらかい雰囲気にしたり、モノクロにしたりと、写真の仕上がりを調整できます。引き続き鎌田風花さんに教えていただきます。
キャラクターイラスト:福士陽香(@f___haru)
Supported by L&MARK
※画面キャプチャ―や機能名は Z fcのものを記載しております。
