はじめまして、白山静(@_melondayo)です。普段は、日常で目についた風景をデジタルやフィルムで撮影しています。
中でも私は「青」が好きです。空を撮るようになったのが写真をはじめるきっかけなのですが、空にもいろんな色があること、いろんな「青」があることを知り、身のまわりの青が気になるようになりました。そこから空以外の、海や青いものに惹かれて撮るように。小物も身につける物も青を集めていて、好きな空間をつくって一つ一つ丁寧に日常を切り取っています。
「青」の魅力は、見ていると自然と気持ちが落ち着くところです。寒色系なのにどこか温もりがあり、心が浄化されていきます。また、淡い青やくすんだ青の中に、オレンジが混ざれば儚げになり、緑が混ざれば幻想的になり、非日常的な世界を表現できます。
今回は、そんな「青の世界」の魅力を写真とともにお伝えしたいと思います。撮り方やレタッチの仕方を紹介していきますので、この記事を読んで参考にしていただけるとうれしいです!
「青の世界」を表現するポイント
【設定】被写体を淡くやさしく写す
まず撮るときは、青の世界にマッチする被写体を見つけることと、その被写体をやさしく写す設定の仕方がポイントです。
青と淡い色味+光に注目
自然な青色の空や海や花、青系の人工物はもちろん、白やグレーなどの無彩色は青の世界にとても合いますし、淡い色味も合わせやすいです。特に空や植物、壁やカーテン、雪も好きでよく撮ります。




そして、青の世界の中では「光」が重要です。
やわらかい光を取り入れるため、撮る時間帯はお昼すぎの日が傾き弱まる頃で、半逆光がオススメ。やさしい雰囲気や透明感が出る青を表現できます。
設定は開放&露出オーバーで淡く描く
心地いい青色を表現するために、“淡くやさしく”写します。
- F値:玉ボケを写すと淡く描けるため、開放が基本です。
- 露出:+1以上を基準にオーバー気味に。撮る場所の明るさに応じて、+2~+3程度まで上げることもあります。太陽の光を入れるときは、特に白とびしないように注意しています。
- ホワイトバランス:「電球」にすると青い色味になり、撮影時から青の世界をイメージできます。
上の写真ではアジサイの透け感を出すため太陽の光を入れ、開放F値で背景が溶け合うようにぼかし、+2.7まで露出を上げてやわらかく写しました。青色に近いアジサイの「紫」を組み合わせると、神秘的な雰囲気になります。
こちらは、レタッチ前の写真です。ホワイトバランスを「電球」にして撮ると、撮影時点で自分のイメージに近づけることができます。
淡い青と相性がいい「オールドレンズ」
背景のボケやフレア、玉ボケが好きでオールドレンズを使っています。暗いところや強い色合いでも、やさしい写りや淡いボケになるので、「写真に残したい」という気持ちが大きくなる瞬間が多くなるんです。
Z 6II、AI Nikkor 50mm f/1.4S
上の写真は、手前の植物がふんわり浮かび出るように、開放で背景をぼかしました。今回使ったAI Nikkor 50mm f/1.4Sはボケがやわらかく、フレアはやさしく溶けこみ、淡く儚げな雰囲気をつくるのに合うレンズです。
【レタッチ】心落ち着く「青」をつくる
撮影後にLightroomモバイル版でレタッチして、自分のイメージする「青」をつくっていきます。
青といえば、クリームソーダが大好きです! 青の世界にさくらんぼの赤がアクセントになります。
この写真は「淡い青の空間」をイメージして、ホワイトバランス「電球」で撮影しました。半逆光でクリームソーダに光を当てて、透け感と影を生かすようにしています。
ここから、「ライト」「カラー」「効果」の3項目を調整していきます。
Lightroom「ライト」編集画面
1.ライト:まず全体を明るくします。影ははっきりとさせながら、クリームソーダが暗くならないようにコントラスト・シャドウを調整。さらにハイライトを下げて、白とびを抑えながら淡くします。


左:Lightroom「ホワイトバランス」編集画面、右:「カラーミキサー」編集画面
2.カラー:透明感を出すために彩度を少し下げます。赤いさくらんぼが不自然にならないように色温度は変更せず、カラーミキサーで青色を調整していきます。このときは緑要素を足して、カーテンや影に青みと冷たさを出しました。
Lightroom「効果」編集画面
3.効果:光のやわらかさを出すためにテクスチャと明瞭度を下げ、最後に周辺光量を下げて立体感と奥行きを出します。
左:編集前、右:編集後
3つの項目を調整することで、淡い青の空間を表現できました。写真によって調整量は変わりますが、レタッチのプロセスは同じです。
日常にある「青」の被写体ごとの撮り方
撮影とレタッチのポイントを踏まえた上で、実際に日常の中でどういったところに着目しながら撮影・仕上げをするのか、被写体ごとに紹介していきます。
【空】時間で変わる雰囲気を生かす
写真を撮りはじめたきっかけでもある「空」は、自然がつくる青の豊かな色味が魅力です。時間ごとに青の深みが増していくので、色味の特徴を生かしながら、空を引き立てる被写体と合わせるように心がけています。
日中の爽やかな澄んだ青
昼すぎに撮影した上の写真では、澄んだ空気感を伝えるために、青によく合う白い木を入れました。レタッチでは青くしすぎず、彩度を低めにして透明感を出しています。
空の色味をきれいに出すコツ
空の青さを出すために、太陽から離れた部分を切り取るのがポイントです。また、雲がない、もしくは薄くやわらかい雲がある空を撮ると、淡い青色が引き立ちます。
日の出・日の入りの深みのある青
こちらは日没後すぐの空。日が沈んでだんだんと暗くなり、青が深くなっていくところが特に好きです。
雲のなめらかさが川の表情に似ていたので、一緒に写して時間の流れを表現し、空と川の境界線にほのかに染まる街並みを写しました。レタッチでは、夕焼けの温かさを残しながら青みをプラスし、儚い雰囲気に仕上げています。
上の写真は、朝日が昇る前に撮影しました。日中の爽やかさと日没後の儚さの中間の、ドリーミーな雰囲気です。
このとき、電柱や細い電線が空の中のアクセントになっています。カメラを持って出かけるときは、「雲がない空白の部分に何かを入れたいな」と思いながら、被写体を探しています。
【街中】影や青い被写体を主役に
地面に長く落ちる影に注目
なんでもない道でも、影が魅力的な世界に変えてくれます。アスファルトの地面や白い壁など無彩色のものは青の世界と相性がよく、影の表情が際立ちます。
特に木や花などの植物の影に着目していて、くっきり撮れる日中に撮ることが多いです。レタッチでは、色温度を寒色寄りにして影を青くして、周辺光量を下げることで地面だけでも立体感を出すことができます。
手すりや柵は規則的な影を落とし、写真にリズムが生まれます。
影を撮るときも、光を入れることで、明るくやわらかい雰囲気になります。上の写真では、逆光で水面が輝いていて、白とびしないように明るさを調整しながら、玉ボケとして写し入れました。
街中にある青い被写体を探す
いろんな色に溢れた街中を歩くときは、青い被写体をつい探してしまいます。


左:編集前、右:編集後
こちらは濃い青色のベンチ。青色の被写体は青の世界の中で主役になります。全体を明るめにして淡い世界観に調和するようにしました。


左:編集前、右:編集後
上の写真では水色の橋と、青になった瞬間の信号を写しました。青の世界に溶けこみながら、空など自然な青色とのニュアンスの違いをつくることができます。
【部屋】光や素材で青の世界を演出
私は部屋で撮るのも好きです。光と影を生かすため窓際で、極力光を取り入れられる時間帯(私の部屋では朝からお昼頃)によく撮っています。
部屋で撮るときは透明感とシンプルさを意識しています。そのため、合わせるのは透明や白いもの、透け感のある素材が多いです。
上の写真では、透明なグラスに注いだ氷入りのサイダーが主役で、背景はカーテンのみにしています。半逆光でできた、カーテンのドレープによる線状の影とグラスの影を生かして画づくりをしました。カーテンの影で暗くならないように位置を調整しながら、透明感を出すために窓からの光をグラスに当てて撮っています。
こちらは、レースのカーテンの質感を背景と影に生かしました。特に日が傾いてくるお昼すぎは光がやさしくなるのでより雰囲気が出ます。そこに、ランプのほわっと輝く白い光を足して、やわらかな印象になるように撮りました。


日々の食事も好きで、窓からのきれいな光を浴びながら、好きな色やそれに合う色のものと一緒に撮っています。左の写真では、白い空間に水色のトレイとランチョンマットのベリー柄で青を添えました。
そのままの空気感を写したいときは、ホワイトバランスは「オート」に設定します。編集では、色温度は変更せず、食べ物などの色のバランスを見ながらカラーミキサーで小物や影に青みを足して、テクスチャや明瞭度でやわらかい雰囲気に仕上げます。
思い描いた青の世界を形にする表現の仕方
ここでは、日常の風景を幻想的に変え、イメージした青の世界を表現するアイデアを紹介します。
【アイテム】光源で幻想的な雰囲気に
青い世界の中にイルミネーションライトによる光源を入れると、夢の中にいるような雰囲気に変わります。
上の写真では、通販で購入したイルミネーションライトを瓶に入れて、「瓶から星が溢れる」イメージで撮影しました。もう一つのライトを自分で持ち、前ボケにして溢れていく星々を表現しています。
こちらは、「空から降る星のかけらを集める」イメージです。儚さや繊細さを伝えるために、そっと触れるように持ちました。
場所は川や湖などの水辺で、日が沈んで夕焼けの温かさが残る頃が、より幻想的な雰囲気が出ます。さらにレタッチで周辺光量を落とすと、被写体がふわっと浮き上がります。
【合成】2枚を重ねてつくる理想の世界
複数の写真を重ねる多重合成は、思い描いた理想の世界をつくることができます。「手に月が刻まれていたらいいなぁ」と思い、写真を重ねてみたところからハマっていきました。
合成のイメージは写真を見返しているときに湧いてきます。「これとこれを重ねてみたらよさそうだな」と思った写真を、「Snapseed」というアプリの二重露出を使って合成してみるんです。


今回撮影した写真の中から、空の写真と手と影の写真を選び、空に溶けこむイメージで重ねることにしました。シンプルで淡い色味の写真を重ねるとなじみやすく、レタッチした後の写真で合成します。
重ね合わせると、しなやかな指先が空に溶けるような、淡い世界観に仕上がりました。
空の雰囲気と手の質感や影の両方を生かすため、明部と暗部それぞれを生かす「オーバーレイ」で合成しています。合成すると色が濃くなったり鮮やかになったりするので、透明感を出すように仕上げに彩度やコントラストを下げるのがポイントです。
Photographer's Note
写真を撮るたび、場所や時間帯によって爽やかさや儚さ、温かさや冷たさといったいろんな表情が見えてくるのが「青」の魅力だと改めて感づかされます。
晴れの日に自然が溢れるところを散歩してみると、きれいな影や光に当たってキラキラしてる植物など素敵な光景に出会えるはずです。目の前の風景の青を引き出したらどんな世界に変わるのかな?…と普段とは違う視点で撮ってみると、きっと新しい発見がありますよ。
ぜひ青の世界の魅力に触れてみてください!
フルサイズ×オールドレンズで描く青の世界
Z 6II、AI Nikkor 50mm f/1.4S
フルサイズカメラははじめてだったのですが、今回使った Z 6IIはファインダーをのぞいたときの世界、光をたくさん取りこんだ美しくてなめらかな写りがとてもよかったです。暗い影もつぶさず、細かいところまで写り、撮りたいものを見逃すことなく撮れるところに惹かれました。
それに合わせたAI Nikkor 50mm f/1.4Sは、キリッとした中にやさしさがあり、立体的で繊細な描写がきれいです。玉ボケがとても美しくて何枚も撮りたくなりました!
Supported by L&MARK
※Z シリーズカメラでNIKKOR Fレンズをご使用するにはマウントアダプターFTZを装着する必要があります。

白山静
デジタルとフィルムで、目の前の一瞬や好きなものを撮影している。誰かの生活の一部になりますように…と表現された「青い世界」が多くの共感を得ている。2020年、グループ展「BLUE展~第IV話~」「青と藍の境界線」に参加。自主制作の写真集『しずかなアオ』を発表。