旅する写真家みぬ | 透明感ときらめきに満ちた、心躍る瞬間を求めて

今回ご紹介するみぬさんは、きらめきや透明感あふれる写真を全国各地で撮影するフォトグラファーです。彼女は2024年の「東京カメラ部10選U-22フォトコンテスト」に入選した10名のうちの1人。このコンテストは2020年に始まり、若手写真家の才能を発掘する場として知られています。

 

こんにちは、みぬ(@_minufilm_)です。
美しい情景や移ろいゆく季節を大切にしながら旅をする中で感じるきらめき、そして日々の幸せな瞬間を写真に収めています。

 

Z8、 NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

 

2024年に「東京カメラ部10選U-22フォトコンテスト2024」に入選し、その特典として「Z8」をお借りしたので、2月にZ8を連れて北海道の旅に出かけてきました。

この記事では、「東京カメラ部10選U-22」に入選した作品についてや、普段の私とカメラの付き合い方について、そして冬の北海道で撮影した写真をお届けしたいと思います。

 

「東京カメラ部10選U-22フォトコンテスト2024」受賞作品「空を歩く」

 

「透明感」「きらめき」「心躍る瞬間」を詰め込んだ写真「空を歩く」

「東京カメラ部10選U-22フォトコンテスト2024」に受賞した作品は、まるで天国のようなコスモス畑を歩いた日に撮影した1枚です。雲が流れる秋空と咲き乱れるコスモス、そして花々から空を歩くように伸びる靴が美しく、夢中になってシャッターを切りました。

この作品は、私の写真のテーマである「透明感」「きらめき」「心躍る瞬間」を詰め込んだ、特別な作品です。花や空の中に佇む人物のシルエットを通じて、現実と夢の間にいるような、ふわっとした儚さを表現しています。風が心地よく吹く昼下がり、やわらかな光、秋の持つノスタルジックな雰囲気を、まるで絵画のように切り取れた作品になったと思います。

昨年、22歳の年に「東京カメラ部10選U-22」への応募が最後となりました。これまでの集大成として、大切な作品を2ヶ月間、毎日応募し続けました。今回、12,836件の作品の中から選出していただけたのは、とても嬉しく光栄でしたし、受賞できたのは、応援してくださる方々のおかげだと思っています。

カメラを撮り始めたきっかけと写真で広がった世界

きっかけは祖父のカメラから。何気ない日常が、カメラを通して特別なものに

Z8、 NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

 

写真を撮り始めたのは、祖父の影響でした。祖父のカメラを譲り受け、日々の何気ない瞬間を撮っていましたが、高校生のときにSNSでフィルム写真を投稿している方々の作品を見て、「こんなふうに美しい写真を撮りたい」と感動したのをよく覚えています。そこから、友人や日常の風景をフィルムカメラで撮るようになりました。

写真を撮ることで、普段は気にも留めなかった美しい風景や光の変化に目を向けるようになりました。海のキラキラや夕暮れの空、木漏れ日、何気ない道端の花など、レンズを通すとすべてが特別なものに感じられたんです。身近な世界を新鮮な目で捉えられる感覚が楽しくて、どんどん写真を撮ることが好きになっていきました。

最初の頃は、海や夕暮れの空、花をよく撮っていて、色の移り変わりや雲のかたちに惹かれ、毎日のようにシャッターを切っていました。友達を被写体にしたポートレートもよく撮っていて、遊びながら自然な表情を残すことが楽しかったんです。

 

写真との出会いで広がった自分の世界と鮮やかになった日常

Z8、 NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

 

写真を撮るようになってから、日常の中で「美しい」と思う瞬間に敏感になり、生活が豊かになったと感じます。何気ない景色や光の変化、身近な人の表情など、今まで気づかなかったことに目を向けられるようにもなりました。写真を通じて出会った人や場所もたくさんあり、自分の世界が広がったと同時に、日常がより鮮やかに見えるようになり、幸せだなと感じます。

特にSNSを通じて、写真が好きな人たちとつながれたことは大きな出来事でした。実際に一緒に撮影をするようになったり、写真の話で盛り上がったり、好きなものを共有できる仲間が増えたことがすごく嬉しい。つながりや交流の中で、学びを得たり刺激を受けたりしています。

写真を通じて広がるつながりと学び

写真の楽しさをより多くの人に届けたい

Z8、 NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

 

普段は、出張撮影のほか、写真教室やセミナーの講師、全国各地でフォトウォークを行っています。

フォトウォークは毎月1回、幅広い年齢層を対象に開催しており、これまで180名以上の方々と一緒に撮影を楽しんできました。今後もテーマを決めて撮影しながら、写真の楽しさを共有できる場を作っていきたいと考えています。また、初心者の方に向けた撮影のコツを伝える機会も増やしていきたいと思っています。

出張撮影や写真教室では、「自分の好きをもっと好きに。」をテーマに、大切な瞬間を残すお手伝いをしています。

 

旅先での撮影は、その場所にしかない空気や光、色を感じられることが魅力

Z8、 NIKKOR Z 70-180mm f/2.8  

友達と撮影旅行に行くことが多く、目的地を決めずに気になる場所を歩きながら探すこともあれば、GPVで雲の動きや風向きを見ながら、撮影に最適な場所を見つけています。

旅先での撮影は、その場所にしかない空気や光、色を感じられることが魅力です。同じ場所でも時間や天気によって表情が変わり、普段とは違う視点で世界を見つめることができ、新しいインスピレーションを得られることもとても楽しいです。

「きれいだな」「美しいな」と感じた場所でカメラを構えたり、光がきれいな瞬間に足を止めたり。そのときの感覚を大切にしながら、シャッターを切るのがとても好きです。宿では撮影した写真を見返し、お互いの作品を共有するのも旅の楽しみのひとつ。現像する時間も含めて、旅の思い出がさらに深まっていくように感じます。

※GPV:「Grid Point Value(格子点値)」の略。気象予測で使われる「地点ごとの予測データ」。

2月の北海道で出会った景色

今回北海道を旅行したのは、これまで冬の北海道を訪れたことがなく、美しい雪景色に出会いたかったこと、そしてZ8の低温環境での描写性能を試したかったからでした。

はじめての冬の北海道は、静寂な雪の世界で心が落ち着きました。
白銀の世界の中、凍った湖や雪に覆われた木々が絵画のように広がり、息を呑むほど幻想的な光景ばかりを目にしました。

ここからは、その旅で撮影した写真をお届けします。

 

Z8、NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

 

積もった雪が氷となり、光が反射している情景をローアングルで切り取った一枚です。氷の上に寝転び、氷ギリギリまでカメラを近づけて撮影しました。

Z8は広いダイナミックレンジを持っていて、明るい部分と暗い部分のディテールを同時に保つことができます。そのおかげで、光がきらめく前ボケも理想の写りで表現できました。

 

 

Z8、 NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

緑の背景に紫のラベンダーが美しい一枚です。被写体と背景がきれいに分離され、滑らかで奥行き感のあるボケが魅力的で思わずシャッターを切りました。

 

 

Z8、NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

 

朝焼けの海岸に、スケートリンクのように凍った水溜りを見つけました。淡いピンクオレンジとブルーのグラデーションが広がっていて、空が美しく、夢中でシャッターを切ったときの一枚です。

Z8の高解像度センサーが、空の色の移り変わりや、氷に写る人物のリフレクションを丁寧に描き出してくれました。レタッチは、暖色と寒色のバランスを整え、静けさと温もりが共存するような淡い雰囲気に仕上げています。

 

 

Z8、NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

 

こちらは、友人と凍った湖の上を歩いた日の一枚です。

澄んだ空気の中で、柔らかい午前の光にお顔があたった友人が印象的で、シャッターを切りました。レタッチでは、被写体の透明感と澄んだ空気が伝わるよう、コントラストを柔らかく調整しました。

 

 

Z8、NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

 

この写真は、北海道帯広市で撮影したもので、夜の電灯と、静かに降る雪、傘を持った被写体を撮影しました。この日は、北海道帯広市で観測史上最高の雪が降った夜で、-8℃の中、凍えながら撮り歩きました。

Z8は雪にも寒さにも強く、一度も固まったり不具合になったりすることなく、マイナス気温の北海道を記録することができ、とても心強かったです。

 

 

Z8、NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

 

夕焼けの中、被写体さんの儚い表情を切り取った一枚です。Z8の高速連写を使い、揺れる髪や、光の移り変わり、まなざしを捉えました。また、瞳AFのおかげで、逆光でも目にしっかりとピントが合い、印象的な表情を残すことができました。レタッチでは、肌感を整えつつ、光のコントラストを柔らかく調整。海のキラキラも残しつつ、透明感のある柔らかい雰囲気を大切に仕上げました。

※瞳A F:被写体の目に自動でピントを合わせる機能。これにより、ポートレート撮影や動物写真でも、目を鮮明に捉えることができ、より印象的な写真を撮ることができます。

 

カメラとこれからについて

時の流れを感じる写真を撮りたい

Z8、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

同じ被写体さんを月に1回、1年間追いながら撮影し、作品の展示をしてみたいと考えています。「時の流れ」を感じる写真に興味があり、四季の移ろいや人の気配が残る風景、瞬間の光と影など、時間の経過を感じられるような写真を撮ってみたいです。

また、動画や写真以外の表現にも挑戦したいと思っています。作品を見た方を穏やかな気持ちにするような表現ができるようになりたいですね。

 

自分の写真で癒されたり穏やかな気持ちになってもらいたい

Z8、 NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

 

私の写真を見た人が、きらめきや透明感、季節の移ろいを感じて、癒しや穏やかな気持ちになれるようなフォトグラファーになりたいです。

目標としては、私の作品がさまざまなメディアやカタログで紹介されることです。また、写真に関するイベントやトークショーにも登壇させていただき、より多くの方々に私の作品を知ってもらえる機会も増やしたいと思っています。そして、企業様やサービスの魅力を写真を通して伝えることができるようになりたいと思っています。

今まで言葉にしてきた夢は叶えてきたので、目標に向かって、応援いただいている方や周りの方々への感謝の気持ちを忘れずに、真摯に写真と向き合いながら活動を続けていきたいです。

また、自分の撮った写真を発信したり共有したりする中で、誰かの日常の中にある美しさや心躍る瞬間を見つけるきっかけをつくれたら嬉しいです。

 

Photographer's Note

 

今回の旅では、札幌→美瑛→中標津→摩周湖→屈斜路湖→野付半島→弟子屈を2週間かけて巡りました。凍った水溜まりに反射する光や朝焼け、夕焼けがとても魅力的で、写真に収められたことがとても嬉しかったです。また、冬の北海道を訪れ、写真を撮りたいと思っています。

Z8を使ってみて

今回の撮影ではZ8をお借りして撮影しましたが、Z8はとても直感的に使えるカメラだと感じました。

特に印象的だったのは、色の階調表現が豊かで、朝焼けや夕暮れの微妙なグラデーションや、雪の質感を細かく描き出せたことです。ほかにも、Z8の高解像度センサーが氷に写る人物や動物のリフレクションを丁寧に描き出してくれたことや、ボディ内手ブレ補正のおかげで、-10℃の極寒の中なのに手持ちでも安定した撮影ができたことですね。どんな撮影にでも使いたくなるカメラだと感じました。

Z8、NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

 

この写真は夕暮れの海岸で撮影した一枚です。降り注ぐ光とマジックアワーの空が美しく、シルエットの人物を入れて撮影しました。Z8のダイナミックレンズのおかげで、暗部も潰れずに空のグラデーションまで記録できました。

NIKKOR Z 70-180mm f/2.8を使ってみて

NIKKOR Z 70-180mm f/2.8は、開放で撮ると背景がとてもなめらかにボケてくれるので、人物撮影では自然な奥行きを感じられる写真が撮れました。逆光でも、コントラストがしっかり残るので、朝焼けや夕暮れ、雪のシーンでも、光の表情を美しく捉えられたのが印象的でした。

NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sを使ってみて

NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sは、 軽量かつコンパクトで、持ち運んでの撮影が楽しかったです。 広角から標準域まで幅広い焦点距離をカバーできるので、旅先や日常の何気ない瞬間を切り取るのに重宝しました。なめらかなボケ味と高い描写力も魅力的で、人物写真や風景写真でも、自分の表現したい雰囲気をしっかり再現できました。

 

Supported by 東京通信社

 

Z 8

Z 8

製品ページ ニコンダイレクト
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NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

製品ページ ニコンダイレクト
みぬ

みぬ

2002年生まれ、鹿児島県出身。15歳からカメラを始める。美しい情景や移ろう季節を大切に、旅先での心躍るきらめきや日々の幸せな瞬間を撮影。出張撮影や写真教室、セミナーの講師のほか、全国各地でのフォトウォーク主催など幅広く活動中。「東京カメラ部10選U-22フォトコンテスト2024」入賞。2025年には、2月に個展を開催予定で、写真集『manazashi』も出版予定。