【監修・作例映像撮影】栁下隆之(ビデオグラファー)
本記事では、動画撮影スキルを身に付けたいフォトグラファーの方向けに、静止画と動画撮影の両方に精通したビデオグラファーの栁下氏に動画撮影のポイントを解説していただきます。
目次:
スチール(静止画)撮影と動画撮影の最も大きな違いは、スチールが1枚で成立するのに対し、動画は複数の素材を編集して成立する点です。スチールと同じで、被写体がしっかりとした構図で撮影することも大事ですが、「動画編集のしやすい素材」を撮影することも重要です。
「編集しやすい素材」とは「使い所の前後にのりしろのある映像」です。フォトグラファーが動画を撮影する際にやりがちなのが、良い画が撮れたらすぐに録画を停止してしまうことです。これを行ってしまうと、使い所の前後に「のりしろ」がなくなってしまいます。いわゆる「のりしろ」がないと、カット代わりのタイミングを調整したり、カットの切り替えエフェクトが使えなくなったりしてしまうので、編集の選択肢が減ってしまいます。
動画は「のりしろ」を意識して、長回しをするようにしてください。長回しをしておくことで、編集時に自由に編集点を打つことができ、編集の選択肢を増やすことができます。
一瞬を切り取るスチールと違って、動画では動きのある画を撮影することが求められます。被写体が動いている瞬間を狙うのがおすすめですが、被写体の動きが少ない場合は、カメラで動きをつけるのが効果的です。

手元から頭までゆっくりカメラを動かしたり、わざとピントを外した状態からゆっくり合わせてみたり、様々な方法があります。カメラで動きをつける時も、のりしろを意識してすぐにカメラを動かすのではなく、最低でも5秒程度動き出しと動き終わりの画を映してから動かしましょう。
様々な画角で素材を撮っておくのも重要です。同じ構図や画角ばかり続くと退屈な映像になってしまいます。写真集を作るようなイメージで、メインとなる被写体だけではなく、撮影場所の様子や小道具など「インサート」の映像を撮影しておくことも重要です。「インサート」とは一連の映像の中に別の映像を差し込むことで、編集点を自然に見せたり、時間経過を演出したりできます。インサート映像があることで編集の幅が広がります。
映像と同じくらい大切な要素が「音」です。音を正しくクリアに収録することで映像のクオリティが格段に向上します。
一眼カメラらしいボケを活かした立体感のある映像を撮影する際には、音の立体感を意識して収録するようにします。メインの被写体の音は明瞭に、背景環境音はうっすら聞こえるように収録することで、被写体の存在感がさらに際立ちます。
カメラだけでも音声を収録できますが、内蔵マイクではカメラの操作音や周辺の全ての音を拾ってしまうため、狙いたい音をクリアに収録するのは難しいと思います。

音声を収録する必要がある場合は、ガンマイクの使用をおすすめします。ガンマイクがあれば、狙った音をクリアに収録できます。
また、人物のインタビュー撮影など、より鮮明に人物の音声を収録したい場合は、ラベリアマイク(ピンマイク)を使うのがおすすめです。
最後に動画のクオリティを上げるのに役立つ、おすすめの動画撮影用機材をご紹介します。
1つ目がカメラケージです。カメラケージを装着することで、さまざまな機材を取り付けられるようになります。

2つ目はレンズフィルターです。様々な種類がありますが、よく使われているのがブラックミストなどのミスト系のフィルターです。映画のような質感の映像を簡単に撮影することができます。
3つ目は動画用の三脚です。カメラの固定に特化したスチール用三脚と違い、カメラをのせたまま上下左右滑らかに動かせます。動きのある被写体を映す際に、スムーズなカメラワークができます。

動画用の一脚もおすすめです。三脚に比べて、素早い、かつ自由なカメラワークが可能になります。
4つ目はスライダーです。スライダーを使うと、カメラを水平移動させることが可能になり、前後に奥行き感のある印象的な映像を撮影できます。
最後はジンバルです。電子制御でカメラのブレを低減できるので、ブレを抑えながら移動して撮影したり、ダイナミックなカメラワークで撮影したりしやすくなります。
今回はZ8を使って動画撮影の基本をご紹介しました。この動画をきっかけに積極的に動画の撮影にチャレンジして、動画撮影スキルを磨いてはいかがでしょうか。