動画初心者のジュンくんが、ミラーレスでの動画撮影について学んでいく連載企画「ミラーレスではじめる動画撮影」第6回。第5回に引き続き、ミナちゃんとのフォトウォークでVlogを作るために撮影のポイントを公園でTAKBONさんに教えてもらっているジュンくん。今回はカメラを動かして撮影する方法について学びます。

ジュンくん
ミラーレスカメラ Z 6IIを持ち歩き、日々思い出を記録。SNSでも積極的にシェア!

TAKBONさん
アーティストのMVなどを手がける動画クリエイター。SNSではでショートフィルム、都市光景やストリートフォトなどの写真も投稿している。
さらに詳しく! TAKBONさん流 動画撮影のポイント
3つのカメラを動かす撮影方法でストーリー性を作ろう
動画の基本的な撮り方「被写体が動いていてカメラは固定」「被写体は止まっていてカメラを動かす」「被写体が動いていてカメラも動かす」の中でも、カメラを動かす撮影は画面に動きが出て迫力が増し、ワンカットの中でストーリー性を持たせることもできます。
カメラを動かす撮影の基本的な動きは「パン」「ティルト」「ドリー」の3つ。それぞれの特徴を押さえて効果的に取り入れましょう。
※「動画の基本的な撮り方」の復習はこちらから
1.パン(横に振る)
自分を軸にして回転し、水平にカメラを動かす撮り方。
効果・撮影場面
- 被写体と、被写体がいる空間の状況を伝える
- 広い風景の広大さを表現する
- 速く動かすとスピード感を表現できる
- ゆっくり動かすとのどかな雰囲気や空間の広がりを表現できる
2.ティルト(縦に振る)
脇を締めて上半身全体を腰から動かし、カメラを垂直に振る撮り方。下から上に動かすと「ティルトアップ」といい、ローアングルのような印象に。上から下に動かすと「ティルトダウン」といい、ハイアングルのような印象になります。
効果・撮影場面
- 被写体の高さ、スケールを表現する
- 被写体全体を細やかに見せる
3.ドリー(移動撮影)
被写体とともに並行移動、または被写体に近づいたり遠のいたりして撮影する方法。忍者のようにすり足で縦ブレを押さえて移動しながら撮るのがポイントです。ブレが生じやすいので、本格的にドリーを取り入れたい時はジンバル(カメラの傾きを補正し、揺れや傾きを軽減できる回転台がついたグリップ)を使うのがおすすめです。
効果・撮影場面
- 被写体の移動とともに背景が移り変わり、臨場感を表現する
- 被写体との関わりを生み、迫力を増す
- 空間への没入感を表現する
Z 6ll NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
POINT
編集で動画をつなぐ時に映像が急に止まったり動いたりして不自然にならないよう、カメラを動かす撮影では「動き出しはゆっくりから少しずつ速く、終わりは少しずつ遅く」していくように心がけましょう。
カメラを動かす映像は「アクセント」。使いすぎは注意!ワンカットずつ撮影している時は、ついついカメラを動かす撮り方を多用したくなってしまいます。しかし、編集してつなげた時にすべてのカットでカメラが動いていると、全体を通してメリハリがなく、見ていて疲れる映像になってしまいます。また、情報が多すぎてポイントがわかりにくくなり、それぞれのカットの効果も薄れてしまう可能性があります。
Z 6ll NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
Vlog全体でもストーリ性を意識して、スタートと終わりのシーンは押さえておこう!フォトウォークや旅行で動画を撮影する時は、Vlogに仕上げる際の編集を考え、できるだけたくさん動画を撮影しましょう。また、スタートシーンと終わりのシーンを決めておくと、Vlog全体にストーリー性を持たせやすくなります。
スタートシーンの例
- 家の扉を開けて出かけるシーン
- 一緒に出かける人との待ち合わせのシーン
- 電車で到着したシーン
終わりのシーンの例
- もっとも印象的だった風景を一枚絵でインパクトのある構図で押さえる
- 一緒に出かけた人と手を振って別れるシーン
- 一緒に出かけた人と集合写真を撮影しているシーン
Z 6ll NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
第1回「動画はそんなに難しくない?! 動画をはじめるのに適したカメラとは」で紹介したTAKBONさんのVlogでは、スタートシーン・終わりのシーンが印象的な風景で構成されています。
Adviser's Note
カメラに動きを加えることで演出・表現の幅を無数に広げられるのは、写真にはない動画ならではの魅力だと思います。でも、意味のない動きが多かったり、ただ派手にするだけの動きだったりすると、観る人を疲れさせてしまうかもしれません。そのため、カメラの動かし方に意図を持って撮るように意識しましょう。
意図を持ってカメラを動かすことは、最初はなかなか難しいかもしれません。そこでまずは、映画やドラマなどの好きなシーンがあれば、そのシーンを繰り返し観て、カメラの動きを真似てみるのはいかがでしょうか? 「なぜこういう動きにしたのか」「なぜ固定で撮ったのか」「なぜこの画角なのか」そんなことを考えながら観てみるのも新しい楽しみ方の一つですよ。
カメラの動かし方がうまくなると表現の幅がまた一歩広がるので、ぜひ取り入れてみてください。
第7回は……
ミナちゃんとのフォトウォークを楽しんできたジュンくん。さっそく撮影してきた動画でVlogを作ろうとしています。そこで、どんな編集をしたらいいのか、イケてるVlogにするための動画編集のポイントをTAKBONさんに教わります!
illust:冨田マリー(@tomitamary_)
Supported by 東京通信社
Adviser

TAKBON
神奈川県在住の映像クリエイター。シネマティックな表現を得意とし、CMやミュージックビデオの制作なども手がけるなど、幅広く活躍。SNSでは動画のほか、都市光景やストリートフォトなどの写真も投稿している。