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2026年1月の星空

2026年の星空は、力強く輝く木星とともに始まります。木星の表面の縞模様や周囲を巡るガリレオ衛星の動きを観察しましょう。「オリオン座」をはじめとする冬の星座たちも本格的に見ごろです。

星空写真

群馬県 妙義山にて
妙義山系とカシオペヤ座です。雪景色が厳冬期のような凛とした表情と山水画的雰囲気を醸し出し、エモーショナルな表現になりました。

2022年3月22日 19時09分
ニコン Z9+NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct(ISO3200、露出3秒×6枚を合成、f/0.95)
撮影者:高岡 誠一

1月の星空

南の空

南の空

2026年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(26日)、満月(3日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2026年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(木) (前日夕方~)未明、月とプレアデス星団が大接近
3日(土) 満月。次の満月は2月2日です
宵~翌4日明け方、月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説)
4日(日) しぶんぎ座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
未明~明け方、月とポルックスが並ぶ
宵、月とポルックスが並ぶ(明け方とは並び方が変わります)
6日(火) 宵~翌7日明け方、月とレグルスが超大接近(7日の1~2時ごろ、レグルスが月に隠されます。「今月の星さがし」で解説)
10日(土) 木星が衝(一晩中見えるので観察の好機です。「今月の星さがし」で解説)
11日(日) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
未明~明け方、月とスピカが接近
15日(木) 未明~明け方、細い月とアンタレスが大接近
19日(月) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
23日(金) 夕方~宵、月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
26日(月) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
27日(火) 宵~翌28日未明、月とプレアデス星団が接近
31日(土) 未明、月と木星が並ぶ
夕方~深夜、月と木星が並ぶ(未明とは並び方が変わります)
宵~翌2月1日明け方、月とポルックスが接近

1月の惑星

水星

太陽に近く、見えません。2月中旬ごろから、夕方の西の低空に見えるようになります。

金星

太陽に近く、見えません。3月上旬ごろから、夕方の西の低空に見えるようになります。

火星

太陽に近く、見えません。5月中旬ごろから、明け方の東の低空に見えるようになります。

木星

「ふたご座」にあります。19時ごろに東の空に見え、0時ごろに頭の真上近くまで昇り、4時ごろ西の空に見えます。明るさは約マイナス2.7等級です。

一晩中見ることができ、観察の絶好期です。肉眼では「ふたご座」のポルックス、カストルと並んで「三つ子」のようになっている光景が見ものです。双眼鏡を使うと木星の周りを回るガリレオ衛星が見え、天体望遠鏡では衛星に加えて木星本体の縞模様も楽しめます。様々な方法で観察してみましょう。

3日の宵から4日の明け方、満月(月齢14~15)と接近します。肉眼や双眼鏡で眺めましょう。また、31日の未明と31日の夕方から深夜にも、明るい月(月齢12~13)と並びます。

土星

「みずがめ座」と「うお座」の境界付近にあります。18時ごろ南西の空に見え、22時ごろに沈みます。明るさは約1.1等級です。

深夜には低くなってしまうので、空が暗くなってきたら早めに観察しましょう。環の見え方が細い状態は、昨年からまだ続いているので、天文台や科学館の観察会で珍しい様子を見せてもらうのもおすすめです。

23日の夕方から宵、やや細い月(月齢5)と接近します。こちらは望遠鏡ではなく、肉眼や双眼鏡でお楽しみください。

今月の星さがし

木星が見ごろです。一晩中夜空にあるので観察機会が多くなります。肉眼・双眼鏡・天体望遠鏡、それぞれの楽しみ方を味わいましょう。7日未明には「しし座」の1等星レグルスが月に隠される現象も起こります。

木星が見ごろ

木星は直径が地球の約11倍ある、太陽系で最大の惑星です。地球からは約6億kmも離れたところにありますが、夜空に見えるどの星よりも圧倒的に明るく輝き、にぎやかな冬の星空のなかにあっても大きな存在感を放っています。

この木星が1月に「衝(しょう)」という状態を迎えます。衝のころ、木星は地球を挟んで太陽の反対方向にあるので、一晩中見ることができます。また、地球と最も近づいているころなので、他の時期よりも大きく明るく見えます。つまり、この1月は木星観察の絶好期というわけです。

木星の見どころはいろいろありますが、まず天体望遠鏡で観察するときのおすすめは、数本の縞模様と、木星の周囲を公転するガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)です。木星の衛星は100個近く見つかっていますが、そのなかでもガリレオ衛星は大きく明るいので、一般的な望遠鏡で簡単に見ることができます。4つのうち一番内側のイオは2日弱、一番外側のカリストは17日ほどで木星を一周し、数時間から数日で並び方が変わります。時々観察してみてください。望遠鏡をお持ちでなければ、公開天文台や科学館に出かけてみましょう。

ガリレオ衛星の動き。真ん中の木星の周りを4つのガリレオ衛星が回っている(「イ」=イオ、「エ」=エウロパ、「ガ」=ガニメデ、「ト」=カリスト)。明るさは5~6等級。木星と重なったり木星の裏に回っていたりすると4つ見えないこともある。
アニメーション中で右から左に動いていく点は背景の恒星で木星とは無関係

双眼鏡では、月との接近現象を観察しましょう。今月は3日から4日にかけてと、31日の2回チャンスがあります。とくに3~4日のほうは満月との共演で面白さが増します。木星といえども満月の明るさには負けてしまうのか、満月があっても木星は目立つのか、ぜひご自身の眼で確かめてみてください。また、ガリレオ衛星(とくにガニメデやカリスト)が木星から離れているタイミングでは、双眼鏡でも衛星が見えます。

1月4日 未明4時の西の空の様子(場所の設定は東京)。接近の様子は一晩中見られるが、時間によって方位や高さは変化する。大きい円は拡大イメージ(視野6度)、小さい円はさらに拡大のイメージ(正立像)で、月の拡大像の中にある赤い円の大きさが、木星の拡大像の円と同じ

肉眼でも、月との接近はよく見えます。また、肉眼は周りの星々を含めた広い範囲を見られるので、他の星との色や明るさを比べてみましょう。とくに「ふたご座」の1等星ポルックス・2等星カストルと並ぶ光景や、その並び方が日にちの経過につれてゆっくりと変わっていく様子(木星が星座の中を動くため)などは、肉眼で見るのが一番わかりやすいでしょう。

さて、ここまでは木星についてご紹介してきましたが、夕方から宵の早い時間帯には南西から西の空に土星も見えています。土星の観察についても木星と同じようなことが言えるので、様々な方法でお楽しみください。とくに望遠鏡では「細い環」の見え方に注目です。

1月23日 夜18時30分の西南西の空の様子(場所の設定は東京)。時間が経つにつれて低くなっていき、東京では21時過ぎに沈む。大きい円は拡大イメージ(視野6度)、小さい円はさらに拡大のイメージ(正立像)で、月の拡大像の中にある赤い円の大きさが、土星の拡大像の円と同じ

4日未明から明け方、しぶんぎ座流星群

「しぶんぎ座流星群」は毎年1月4日ごろに活動が見られる、年初め定番の天文現象です。8月の「ペルセウス座流星群」、12月の「ふたご座流星群」とあわせて年間三大流星群とされていますが、他の2つに比べると知名度は低めです。「しぶんぎ座」という星座が現存しないこと、年初めで他の色々な話題に埋もれてしまうことなどが理由かもしれません。

しぶんぎ座流星群はピークの前後数時間に出現が集中するため、日中にピークを迎えてしまうとほとんど見えないのですが、今年は4日6時ごろが活動の極大と予想されていて、未明から明け方に流れ星の数が増えそうです。

1月4日5時ごろの空の様子(場所の設定は東京)。流れ星は放射点(「北斗七星」の付近)を中心とした空全体に飛ぶように見える

ただし、この夜(3~4日)は前述のとおり木星と並んでいる満月が夜空を照らしています。その強い月明かりのため、目にできる流れ星の数はかなり減ってしまいます。月から離れた方向を中心にして空を広く見渡すと、少し見やすくなります。放射点(流れ星が飛ぶ中心となる点)は北東にありますが、流れ星は北東だけでなく空全体に飛ぶので、月や街明かりのない方向を見上げましょう。

言うまでもなく、この時期の未明から明け方は非常に寒いです。防寒着、手袋やマフラー、携帯カイロなどを準備して、無理をせずに楽しみましょう。流れ星を見つけて、良い一年のスタートを切れますように。

7日未明 レグルスの食

月が太陽を隠す現象を「日食」と呼ぶように、私たちから見て月が背景の星や惑星を隠す現象を食(正確には掩蔽(えんぺい))と呼びます。暗い星まで含めれば毎日のように食現象が起こっていますが、まれに明るい星が隠されることもあります。そのような機会が7日の未明にやってきます。隠されるのは「しし座」の1等星レグルスです。

1月7日 レグルス食の様子(広角星図の場所の設定は東京)。拡大図の月は北が上なので、空で見た傾き方とは異なることに注意。九州南部では残念ながら食にはならない

レグルスが月に隠される時刻と月から出現する時刻は、観察する場所によって異なりますが、おおむね1時過ぎに隠されて2時過ぎに現れます。また、月の縁のどの位置に入って出てくるかも場所によって異なります。とくに出現のときは、月の暗い縁から突然レグルスが出てくるので、事前に時刻と位置をよく確かめておきましょう。

レグルスは1等星で明るいとはいえ、月のほうが圧倒的に明るいので、肉眼で観察するのは難しい現象です。双眼鏡や天体望遠鏡で観察することをお勧めします。

今年はレグルス食の「当たり年」で今回を含めて3回(世界全体では14回)も起こりますが、今回のものが一番見やすい現象です。前後の時間帯に月とレグルスが大接近している光景と合わせて、ぜひご覧ください。

今月の星座

ぎょしゃ座

1月中旬の夜21時ごろ、頭の真上あたりに、黄色っぽく輝く1等星カペラが見えます。その周りの星を含めて五角形を描くと「ぎょしゃ座」を見つけることができます。「ぎょしゃ(馭者)」とは「馬車を操る人」を表し、ギリシャ神話に登場するエリクトニウス王がモデルとされています。

「ぎょしゃ座」(星雲の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

カペラ以外の星も2等星や明るめの3等星なので、比較的見つけやすい五角形です。ただし、エルナトは「ぎょしゃ座」ではなく、隣の「おうし座」に属しています。

カペラ

カペラは「小さな雌ヤギ」という意味の言葉に由来し、星座絵ではカペラの位置にエリクトニウスが抱いている小ヤギが描かれています。このカペラは天球上で北寄りにあるため、本州より北の地域ではほぼ一年を通じて見ることができます。宵の時間帯に見やすいのは今の時期ですが、たとえば夏なら夜明けごろに北東の低空に見えます。

3つの散開星団

「ぎょしゃ座」のあたりには天の川が流れていて、空の暗いところでは五角形に薄いベールが掛かったように見えます。この方向に双眼鏡を向けるとたくさんの星が見え、さらに美しい眺めが楽しめます。その天の川の星々の中に、見やすい散開星団(星の集団)が3つあります。双眼鏡で観察すると、2つまたは3つ全部を同一視野内で見ることができます。

それぞれを天体望遠鏡でズームアップして観察すると、星の数が増えてそれぞれの個性も見えてきます。M36(Mはカタログの符号です)は星の数は少ないながらも明るい星が多く、M37はやや密集していて一番明るく、M38は暗めの星が広がっています。よく観察してみましょう

散光星雲 IC 405

天の川が流れている「ぎょしゃ座」は、散光星雲(ガスが光っている天体)もたくさんあります。淡いので眼視は難しいのですが、撮影すると美しい色や面白い形がわかります。

IC 405(ICもカタログの符号です)という散光星雲は数字の7やカタカナの「フ」のような形状で、日本では「まがたま(勾玉)星雲」という愛称でも知られます。上述した3つの星団に近く、同じ構図内で撮影されることもあります。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は1月中旬の深夜1時ごろの星空です。2月中旬の深夜23時ごろ、3月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます)。

2026年1月中旬 深夜1時ごろの星空

木星や冬の星座は空の西半分(星図の右半分)に移り、これらと入れ替わるように東の空に春の星座が昇ります。東天の低いところに「うしかい座」の1等星アルクトゥールスと「おとめ座」の1等星スピカが見え、この2つと「しし座」の2等星デネボラを結ぶと「春の大三角」が描けます。南西の空に見える「冬の大三角」と、大きさや星の色、明るさを見比べてみましょう。また、北東の空には「北斗七星」が高くなってきました。

にぎやかな西の空を眺めて今しばらく続く冬を思い、東の空を眺めて来る春を待ち望む、そんな気持ちになりそうですね。しっかりと防寒をして、冬の深夜の星空めぐりをお楽しみください。

星空観察と撮影のポイント

星座や惑星、流星群などの天文現象の観察や撮影は、コツを抑えるとただ眺めるよりも広く深く楽しむことができます。
ここでは、天体の探し方からおすすめの撮影機材やテクニックまで、星空を楽しむうえで知っておきたいポイントをご紹介します。
カメラや双眼鏡を持って、美しい夜空に会いにいきましょう!

星空観察と撮影のポイント