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<ニコンサロン>
田川 基成
北海道

会期

2026年2月3日(火)~2026年2月16日(月) 日曜休館、2月11日(水・祝)休館

10:30~18:30(最終日は15:00まで)

開催内容

18歳から24歳までを道内で過ごした私にとって、北海道は異郷であり、同時に第二の故郷でもあるような場所だ。自分が暮らしていた頃は、目の前の自然にしか興味を持たなかったが、のちに上京して距離を置いたことで、その歴史背景にも目が向くようになってきた。

明治2年(1869年)、新政府はアイヌ民族が先住していたこの島を「北海道」に改称、同じく植民地だったアメリカ合衆国をモデルに、急速な入植と近代化を推し進めた。明治初期には生活基盤が揺らいだ士族が全国から屯田兵として入植し、その後は日清・日露・第一次世界大戦と、日本の対外戦争とも呼応して内地から累計200万人を超える移民の波が押し寄せた。

以来、原生林は切り開かれ、湿地は埋め立てられて農地となり、洪水を繰り返す川は改修され直線化された。多くの町は整然と造られ、長大な距離の道路も整備されてきた。道内では食糧の増産に加え、木材や石炭、製鉄などの資源を巡る開発も積極的に行われた。終戦期には東京大空襲などの戦災者や、樺太・満州など外地からの引き揚げ者も受け入れ、戦後はさらなる開拓と経済発展の道を歩んできた。そうして「北海道」が創造されてから157年の時が経った。そこには今、どんな風景が広がっているのだろうか。

写真家となってから約10年の間、全道を巡る旅を続けてきた。ロードトリップの道行と、出会った人の肖像をフィルムに収め、既知の土地や人も訪ねた。そうして目の前に浮かび上がった光景から、北海道という領域と、近代について、改めて考えたいと思う。

(田川 基成)

プロフィール

田川 基成(たがわ もとなり)

列島の西端部にある長崎県の離島出身のルーツと、自身が移り暮らしてきた国内外の土地の経験を通して、地域の歴史と個人の記憶を行き来しながら写真を撮っている。移民や人の移動によってもたらされる風景と文化、土地と記憶、信仰などに関心をもち、北海道、九州と朝鮮半島の間の海域を主なフィールドに活動。取材やリサーチに基づいたテキストも発表している。福岡県糸島市在住。

1985年 長崎県西海市生まれ
2010年 北海道大学農学部森林科学科卒業

《主な展覧会》
2025年「土地の教会」 EUREKA (福岡)
2024年「海の記憶」 LIBRIS KOBACO (福岡)
    「re-framing 風景と地平」グループ展 塩竈フォトフェスティバル (宮城)
2022年「SAPPORO SNOWSCAPE」 Alt_Medium (東京)
    「海の記憶」PARADISE (長崎)
    「海の記憶」Gallery Y (茨城)
    「見果てぬ海」伊都郷土美術館 (福岡)
2021年「NAGASAKI SEASCAPES」 Alt_Medium (東京)
    「見果てぬ海」 コクラヤギャラリー (長崎)
    「見果てぬ海」たゆたう。(長崎)
    「見果てぬ海」 Gallery ESSE(札幌)
2020年「見果てぬ海」 ニコンプラザ THE GALLERY (東京/大阪)
    「Vernacular Churches」 Alt_Medium (東京)
2018年「ジャシム一家」 札幌市教育文化会館
2017年「ジャシム一家」 銀座・大阪ニコンサロン

《写真集・書籍》
2026年『北海道』赤々舎
2024年『密航のち洗濯』(共著) 柏書房
2020年『見果てぬ海』赤々舎

《受賞》
2024年 講談社 本多靖春ノンフィクション賞(共著)
2022年 日本写真協会新人賞
2018年 第20回 三木淳賞

助成:福岡県新進気鋭の若手芸術家活動支援事業