もっとフォトライフを楽しんでいただくために、ニコン製品のカメラやレンズのご紹介から、皆さまの作品のご紹介など、SNS公式アカウントから発信しています!
ニコンイメージングジャパンが開催するイベント情報をご覧いただけます。カメラ好きが集まる撮影会から、初心者に優しい撮影体験などたくさんのイベントをご案内します。
「ニッコールクラブ」は、ニコンカメラをご愛用いただいている方の相互交流のための団体です。その活動内容やイベントなどをご紹介しています。
「TopEye」は全国の中学校・高等学校の写真活動を応援する写真マガジンです。「TopEyeフォトコンテスト」は人気コーナーで、入賞作品もご覧いただけます。
私は20代前半からアジアの都市を旅しながら撮影を行ない、約30年にわたりその変化を目にしてきた。そもそもは土着的な風景、独自の文化、民族の風習、伝統といったものに大きな魅力を感じていた。
あるとき、それらが都市から消えていることに気がついた。代わりに見知らぬ街が目の前に立ち現れ始めた。そのことに興味をもち、コロナ禍を挟み、3つの国、4都市を巡った。目撃したのは、過剰なまでの空間と時間軸、それらによる欲望の露呈だった。世界中のどこよりも抽象化された、匿名性に満ちた架空都市のように映った。かつて、匂うほどに「いま、ここ」が濃厚だった同じ場所が、どこまでも希薄になり変わっていた。
私はそれに名前をつけることにした。「Cyber Modernity≒超現代電子空間」
すると都市の名もただの記号に思えてくるのだった。あらたな都市の出現に私は魅かれる。
参考文献:マルク・オジェ『非―場所』(訳・中川真知子 水声社 2017)
(小林 紀晴)
1968年長野県生まれ
1988年東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。新聞社にフォトグラファーとして入社後、1991年に独立。アジアを多く旅し作品を制作。近年は自らの故郷である諏訪地域でも作品制作を行っている。写真集・著書に『kemonomichi』『愛のかたち』『ニッポンの奇祭』 『見知らぬ記憶』『まばゆい残像』『孵化する夜の啼き声』『深い沈黙』『写真はわからない』などがある。
受賞作に1997年『DAYS ASIA』日本写真協会新人賞、2013年『遠くから来た舟』第22回林忠彦賞、2023年『縄文の庭』日本写真芸術学会賞(芸術賞)などがある。初監督映画作品『トオイと正人』でバンコク国際ドキュメンタリー映画祭 2021新人監督賞、東京ドキュメンタリー映画祭2021ほか入賞。東京工芸大芸術学部写真学科教授。