野鳥撮影 スタートガイド

Nikon Z6III Start Guide Bird Photography
Z6III 製品画像
野鳥写真1
野鳥写真2
野鳥写真3
Photo & Text by Koji Nakano
機能を使いこなして 最高の1枚を写し止める
まずは押さえておきたい

基本撮影テクニック

良い野鳥写真のポイントは、ポーズ、背景、光線状態の3つです。これらを意識して撮影に臨みましょう。

自然で魅力的な ポーズ を撮る

野鳥のポーズ写真
さえずっている

野鳥が止まっているだけの写真でも成立しますが、小鳥が口を開けてさえずる姿はより魅力的です。

翼を広げている野鳥
翼を広げている

鳥の魅力は翼を持つことです。地上でも翼を広げることがあり、画に動きを与えてくれます。

えさを運んでいる野鳥
えさを運んでいる

野鳥を撮る目的の1つは記録です。生態を切り取ることで学術的な野鳥写真になります。

COLUMN

野鳥撮影のマナー

近年の野鳥撮影ブームでマナーを守れない撮影者が増えています。野鳥の生活をそっと撮らせてもらうという謙虚な気持ちで、自制心を持って撮影しましょう。

  • 野鳥の生活をじゃましない

    巣に近づかない、大勢で追いかけない

  • 公園ではほかの利用者に配慮する

    迷惑駐車をしない

  • 人が集中しないように、
    SNSへの投稿時期を考慮する

抜けの良い 背景 を選ぶ

野鳥写真で差が出るのは背景処理です。背景が近くて煩雑だとメインの被写体である野鳥が埋もれてしまいます。背景との距離を離すと背景がぼけて野鳥が浮き出て見えます。

✕
背景が近い例
↓ ↓
背景が離れていると
きれいにぼける!
◎
背景が離れている例
  • カメラ:Z6III
  • レンズ:NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S
  • 焦点距離:800mm
  • 撮影モード:Mモード
  • f/6.3
  • 1/125秒
  • ISO 3600

光線状態を見極める

野鳥の種類や生息環境により、撮影に適する光線状態は異なります。水面は空を映すため水辺での撮影は青空の晴天順光が望ましく、林内では影の出づらい曇天時が適しています。

△
光線状態が悪い例
↓ ↓
水辺は順光で撮ると
色がきれいに出る!
◎
光線状態が良い例
  • カメラ:Z6III
  • レンズ:NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S
  • 焦点距離:840mm
  • 撮影モード:Mモード
  • f/5.6
  • 1/3000秒
  • ISO 400
野鳥の生態を知る
環境別

撮影してみたい野鳥

野鳥は環境により観察できる種類が異なり、環境が多様であるほど観察種が増えます。ここではそれぞれの環境で観察できる代表的な野鳥と、撮影してみたい野鳥を紹介します。

緑地公園

GREEN PARK
カワセミ

緑地の多い公園、特に緑と水辺がセットになった環境は、生息する野鳥の種類が多くなります。公園では人慣れしている野鳥も多く、比較的焦点距離の短いレンズでも野鳥撮影を楽しめます。

河川・湖沼

RIVER and WATERFRONT
アオサギ

河川や湖沼などの水辺では、周辺の草地を含め多くの種類が観察できます。見通しが良く野鳥を発見しやすい半面、相手からも丸見えなので身を低くして撮るのがコツです。

低山帯の森林

LOW MOUNTAIN FOREST
キビタキ

丘陵地や低山帯などの森林では、色鮮やかな夏鳥をはじめ魅力的な野鳥に出合うことができます。枝や葉に隠れた鳥を見つけることが難しいですが、鳴き声を頼りに探しましょう。

水田・農耕地

PADDY FIELD and FARMLAND
キジ

農耕地、特に水を張った水田は湿地帯としての機能もあり、多くの野鳥が生息しています。農地に立ち入らないことはもちろん、作業のじゃまにならないように観察しましょう。

季節ごとの野鳥の分類

LOW MOUNTAIN FOREST
  • 留鳥

    (りゅうちょう)

    季節による移動をしない鳥を留鳥と呼びますが、種としては1年中観察できていても個体自体は入れ替わっていることもあります。

  • 夏鳥

    (なつどり)

    夏に繁殖のため日本に渡来し、冬は東南アジアなどの暖地で越冬する野鳥を夏鳥と言います。ツバメやキビタキなどが代表的な夏鳥です。

  • 旅鳥

    (たびどり)

    夏は北極圏などで繁殖して非繁殖期を南半球などで過ごすため、春と秋に日本に立ち寄るシギ類やチドリ類などを旅鳥と言います。

  • 冬鳥

    (ふゆどり)

    夏は北方で繁殖し、日本で越冬する渡り鳥を冬鳥と言います。国内で高緯度地域や高標高地域から小移動する渡り鳥は漂鳥(ひょうちょう)と呼びます。

野鳥撮影に最適な

Z6III注目の7機能

上位機種に迫る撮影能力を持って生まれたZ6III。ファームウェアアップデートにより被写体検出に
「鳥」モードが追加となり、さらなる野鳥撮影能力を獲得しました。

1
野鳥撮影に特化した 被写体検出AF

被写体検出AFの写真
  • カメラ:Z6III
  • レンズ:NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S
  • 焦点距離:840mm
  • 撮影モード:Mモード
  • f/8
  • 1/2000秒
  • ISO 400
野鳥の動きに合わせて フォーカスエリアが 顔や瞳を追い続ける!
野鳥の動きに合わせてフォーカスエリアが 顔や瞳を追い続ける!

Z6IIIは野鳥撮影に特化した「鳥」モードの被写体検出AFを搭載しています。右に左に激しく動き回る野鳥でも、高精度で検出して顔や瞳にピントを合わせ続けてくれます。

被写体検出設定画面
被写体検出の鳥モードを簡単に呼び出せます

2
野鳥を追いやすい 高性能ファインダー

ファインダー光学系 EVF構造
ファインダー光学系にもニコンが強みを持つ光学技術を活用

EVFは576万ドットと高解像度で、かつ4000cd/㎡の明るさを実現しており屋外でも見やすいファインダーです。また、連写時の像の引っかかりやブラックアウトも少なく、安定したフレーミングで撮影ができます。

ファインダー像のイメージ
Z5IIファインダー像
Z5II
Z6IIIファインダー像
Z6III

ブラックアウトが少ないと常に野鳥をファインダーで捉え続けられます。

3
優れた 操作性
柔軟な カスタマイズ

野鳥が止まっているときと動いているときでは撮影時の設定が異なるなど、場面によって最適な設定も変わります。Z6IIIは優れた操作性とカスタマイズ性で、野鳥の動きに合わせて柔軟に対応できます。

ダイヤル操作
ボタンやダイヤルの操作は右手で完結できます
操作性の写真
静と動の両方を切り取る野鳥撮影では、カメラの操作性が撮影の成否を左右します

4
プリキャプチャーもできる 高速連写

高速連写の写真
  • カメラ:Z6III
  • レンズ:NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S
  • 焦点距離:840mm
  • 撮影モード:Mモード
  • f/5.6
  • 1/4000秒
  • ISO 400

最大約120コマ/秒※の連写ができるため、羽ばたきの一連を記録できます。時間をさかのぼって記録するプリキャプチャー機能も搭載しています。

※ハイスピードフレームキャプチャー+時の記録画質はJPEGのみ。[C120]時の撮像範囲は「DX」に制限されます。

1秒前から
記録できる!
1秒前
BEST SHOT
ベストショット
レリーズ開始
レリーズ開始 レリーズ終了

5
高速処理できる 部分積層型センサー

部分積層型センサーの写真
高速で動く野鳥の翼を ゆがまずに撮影できる!
高速で動く野鳥の翼をゆがまずに撮影できる!

部分積層型センサーによる高速読み出し性能により、飛翔撮影時に起こりがちなローリングシャッターゆがみが出づらくなっています。

部分積層型センサーの構造
Z6IIIの部分積層型センサー

センサーの上下に高速処理の回路を配置

6
暗所に強い 高感度画質 AF性能

高感度撮影1 高感度撮影2
ノイズが少なく高画質で撮れて 暗いシーンでもピントが合いやすい!
ノイズが少なく高画質で撮れて 暗いシーンでもピントが 合いやすい!

2450万画素のフルサイズセンサー採用で上位機種より高感度性能が高く、−10EVまで検出可能なAFは薄暗い時間帯の撮影に有利です。

ISO感度設定画面
常用ISO感度は100から64000の範囲で設定可能

7
カメラ内 フォーカスリミッター

フォーカスリミッターの写真
ピント合わせを行う範囲を狭めて 素早く野鳥を捉えられる!

ピント合わせを行う範囲を絞り込むことで、前景や背景にAFを引っ張られることなく素早く野鳥にピントを合わせられます。

フォーカスリミッター設定画面
メニューで最小距離と最大距離を設定してAFの範囲を指定
野鳥を大きく撮れる

超望遠レンズ基本

おすすめの NIKKOR Zレンズ

NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR
  • カメラ:Z6III
  • 焦点距離:600mm
  • 撮影モード:Mモード
  • f/8
  • 1/3000秒
  • ISO 400

NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR

非S-Lineレンズながら画質が安定しており、野鳥撮影の入門者に最適です。中型から大型の野鳥撮影や、風景を取り入れた撮影でも活躍します。

NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR
NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S
  • カメラ:Z8
  • 焦点距離:600mm
  • 撮影モード:Mモード
  • f/6.3
  • 1/4000秒
  • ISO 800

NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S

クラス最軽量の質量1390g(三脚座を除く)を達成したコンパクトな600mm。単焦点ならではの高画質で、機動力を生かした撮影に最適です。

NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S
NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S
  • カメラ:Z6III
  • 焦点距離:800mm
  • 撮影モード:Mモード
  • f/6.3
  • 1/1000秒
  • ISO 320

NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S

野鳥撮影の標準レンズである800mm。PFレンズ採用で大幅な小型軽量化を達成し、質量は2385gと800mmとしては驚異的な扱いやすさを誇ります。

NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S
CONVENIET ITEM

中野耕志監修

野鳥撮影便利アイテム

NIKKORレンズソフトケース L写真
NIKKORレンズソフトケース L

NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VRやNIKKOR Z 600mm f/6.3 VR Sを収納できるソフトケースです。未使用時は小さくたためてかさばりません。

バードストラップ カワセミ ワイド写真
ワイド
バードストラップ カワセミ スリム写真
スリム
バードストラップ カワセミ

カワセミの刺しゅうがお洒落なストラップ。カメラ用のワイドと双眼鏡用のスリムが用意されています。

※Z6III以外のカメラで撮影した写真も含まれます。

COLUMN
Z6IIIの高性能を活かせる

そのほかの被写体

9種の被写体検出AFをはじめとする動体捕捉力と被写体追従性に優れたEVF、そして高感度性能を併せ持つZ6IIIは、鉄道や飛行機などあらゆる動体撮影にも大活躍してくれます。

鉄道 railway

最適なタイミングで撮れる
余裕のある高速連写性能
被写体検出設定画面
編成写真
  • カメラ:Z6III
  • レンズ:NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S
  • 焦点距離:200mm
  • 撮影モード:Mモード
  • f/5.6
  • 1/640秒
  • ISO 3200
編成写真

編成写真では被写体検出(乗り物モード)、3D-トラッキング、20コマ/秒の高速連写が威力を発揮。ピント、タイミング、バランスに優れた1枚を確実に撮影できます。

鉄道風景写真
  • カメラ:Z6III
  • レンズ:NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
  • 焦点距離:37mm
  • 撮影モード:Mモード
  • f/6.3
  • 1/640秒
  • ISO 1600
鉄道風景写真

Z6IIIは鉄道風景を高精細に描いてくれます。画面に対して列車が小さくてもわずかなタイミングの違いで構図に影響が出るので、優れた連写性能はとても魅力です。

写真・文/助川康史

飛行機 airplane

飛行機専用の被写体検出を搭載
日中はもちろん夜間撮影も得意
飛行機専用の
被写体検出を搭載
日中はもちろん
夜間撮影も得意
離着陸機写真
  • カメラ:Z6III
  • レンズ:NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S
  • 焦点距離:840mm
  • 撮影モード:Mモード
  • f/8
  • 1/1000秒
  • ISO 100
離着陸機

Z6IIIの飛行機検出精度は非常に高く、ほとんどの場合カメラ任せでAF撮影できます。画面内の機体の大きさに応じて「機体全体」「機首」「コクピット」のいずれかを検出します。

夜間の高感度撮影写真
  • カメラ:Z6III
  • レンズ:NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
  • 焦点距離:50mm
  • 撮影モード:Mモード
  • f/1.2
  • 1/350秒
  • ISO 25600
夜間の高感度撮影

Z6IIIは常用ISO感度が最大で64000と高感度性能も高く、夜間撮影でこそ本領を発揮します。明るい単焦点レンズと組み合わせた高感度撮影では新たな写真表現が楽しめます。

写真・文/中野耕志