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三浦 誠(株式会社ルドルフ)
クリエイティブディレクター。株式会社ルドルフ代表。地元宮城のプロダクションから2014年に独立し、「キービジュアル」で視線を奪い、「映像」でコンセプトを刻み込む企業の根幹を表現する、設立12年目のブランディングプロダクション。ブランドイメージを重視する企業広告を中心に広告映像を制作。
adidasの製品プロモーションにおいて、Instagramの縦型リールをZRで制作した事例を紹介します。制作したのは、ブランディングムービーを得意とする株式会社ルドルフ。ブランドに相応しいRED並みのクオリティをフットワークの軽いZRで透明感のあるルックで実現しました。今回はその制作過程をお伺いしました。
聞き手:VIDEO SALON
adidas Summer Collection 2026
REDのKOMODOを使ってきました。KOMODOが出たときにこれだ!と思って、すぐに入手して。そこからREDを使うことが多いです。でも僕は基本的にクリエイティブディレクターなので自分でカメラを回すことは少なくて、自分でも回さなければならない案件では、KOMODOの性能を生かしながら、ディレクションと撮影を両立するのはハードルが高いんです。このクラスのシネマカメラは基本的にシネマトグラファーが扱うものであり、かつチームで運用するものなので、ディレクションのことを考えていると、コンパクトとはいえ、取り回しに気を使う場面がありました。良いカメラはないかなといろいろと探しているときに登場したのが、ZRでした。
基本的にはグレーディングはカラリストに依頼するのですが、予算がない案件は自分でやらなければならないので、その時には馴染みがありますね。カメラメーカーごとに色味、シャープさ、コントラスト感の違いはありますが、REDのカラーが一番しっくりきているので、ZRのR3D NEも扱いやすいです。
以前12bit RAWで記録できるコンパクトなシネマカメラを所有していたのですが、どうしても物足りない部分がありました。実力があるシネマトグラファーやカラリストであればそれこそ10bitでも良い画が作れると思うんです。それに対して予算が足りなくて、少人数で時間がなく、グレーディングも自分でやらなければならないときに、16bitは明らかに楽なんですよ。その部分は気になっていて、ZRを導入する前に、KOMODOやV-RAPTORと比べてみたのですが、そんなに遜色がないということが分かりました。もちろん細かいことを言えば差がないわけはないのですが、ZRはフルサイズなのにこれだけ軽くて、しかもモニターが大きくてワンオペができるというメリットが上回りました。今はフルサイズの画角のほうが見慣れているので、その点でもZRは自分にとって扱いやすかったですね。
少し前ならブランディングムービーは横ありきで縦もほしいという話が多かったのですが、InstagramなどSNSでの視聴回数があまりにも多いので、今は縦が主流になっています。オープンゲートで撮影し縦と横をカバーして編集を楽にするという発想もあるのですが、やはり予算の壁と取り回しを考えて、最初からZRを縦にセッティングして撮影しました。
ただ、運用面はまるで違います。バッテリーチェンジのときや、何かあって再起動したときも、ZRは起動が速くすぐに撮影へ戻れるので、今回のように時間がない現場では助かりました。1日で写真もムービーも撮影を終える必要がありましたし、キャストのスケジュールもあり、香盤表を見ても時間の余裕がまったくありませんでした。必要なカットを撮っていくことを考えると、ギリギリの進行だったんです。それこそ現場が殺伐としそうな状況だったのですが、ZRは電源を入れたら瞬時に撮影できます。機材の面でのストレスがまったくありませんでした。
今回のムービーは、カフェの中で夏を感じられる雰囲気を目指しました。照明の力もありますが、タレントのキャラクターを生かす演出もしています。その魅力を発揮してもらうのに、機材での待ち時間というのは極力ないほうがいいんです。
ZRは2台用意して6KのR3D NEで撮影しました。撮影の段階ではできるだけ高い解像度で収録したいという気持ちがあります。
ZRは縦にしてリグを組んでいます。1台は三脚もしくはミニジブに載せ、もう1台はジンバルに載せて運用しました。2台用意するのは、2カメで同時に撮影するということではなくてセッティングをチェンジする時間をなくしたいということです。ZRであれば複数台用意してもコストがかかりません。
「夏を始める、1枚を。」というコピーがすごくいいなと思っていて、短い文章のなかに、夏という単語はあるし、1枚ということで服を連想させる、これ以上短くて優秀なコピーはなくて。なにか夏が始まる感じというか、季節の変わり目の匂いが変わる感じや、雨が降ったときのアスファルトの匂いが夏っぽくなってくるような、サウダージを感じるというか、心の揺らぎを感じるような。すごく嬉しいというよりは、ちょっとワクワクするけれど、季節が変わることの寂しさも含めて、そういった映像の情感を演出できたらなと思いました。自分が感じている心境を「みんなもあるよね」ということを感じてもらえるように意識しました。
今回の撮影では外が曇っていたり、時間がなかったので、照明部には結構頑張ってもらって、その光と色を作り出してもらいました。いつもお願いしていて僕の好きなトーンが分かってくれているチームだからこそできたと思います。
グレーディングも海外のスタッフに依頼したのですが、撮影の意図を把握してくれて、10日ほどで狙い通りの映像に仕上げてくれました。
まずカメラとしては、今回ZRで本当によかったなと思いました。ZRでなかったら事故になっていたような気がしてゾッとします。コンパクトというだけでなく、立ち上がりが速いことで撮影がスムーズに行きました。唯一要望があるとしたら、R3D NEのファイルにもっと軽いものも含めていくつか選択できるようになるといいなと思います。
映像の仕上がりについても、僕が伝えたかった夏の始まりの雰囲気とか、そのときの心の揺らぎみたいなものが、映像を柔らかくすることで、うまく出せたかなと思います。担当の方にもとても喜んでもらえました。
自分がカメラを回さなければならないようなコンパクトな現場では、ZRはシンプルなケージにしてズームレンズ(NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S II)1本でAFで撮影したのですが、ひとりでディレクションもしながらであればこのスタイルが良いと思います。冒頭でも話したようにシネマカメラは撮影に集中できるシネマトグラファーが扱えれば使いやすいものなのですが、ディレクターが演出をしながら扱っていると、ミスやトラブルに繋がってしまいます。
ZRは、本格的な撮影現場からスピード感が求められるディレクター撮影の現場まで、幅広いシーンでRAW撮影に対応できる、取り回しの良いカメラだと思います。
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