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Profile

高砂淳二

高砂淳二JUNJI TAKASAGO

写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。
ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て1989年に独立。世界中の国々を訪れ、海の中から生き物、虹、風景、星空まで、地球全体をフィールドに撮影活動を続けている。著書は、「LIGHT on LIFE」「night rainbow ~祝福の虹」「ASTRA」「虹の星」「Children of the Rainbow」「free」「BLUE」「life」(以上小学館)、「Dear Earth」「そら色の夢」「南の夢の海へ」(以上パイインターナショナル)、「クジラの見る夢 ~ジャックマイヨールとの海の日々~」(共著・七賢出版)ほか多数。ザルツブルグ博物館、Nikon THE GALLERY、渋谷パルコ、阪急百貨店、大丸百貨店など写真展多数開催。2008年には、外務省主催・太平洋島サミット記念写真展「Pacific Islands」を担当。海の環境NPO法人“OWS”理事。自然のこと、自然と人間の関係、人間の役割などを、トークショーや、テレビ、ラジオ、雑誌などを通して幅広く伝え続けている。自然のこと、自然と人間の関係、人間の役割などを、トークショーや、テレビ、ラジオ、雑誌などを通して幅広く伝え続けている。

Photo

SEASON1 NEW ZELAND 02 / By the Coast

人と生き物がほほむ場所

ニュージーランドの好きなところ。それは、人と生き物の近さだ。もともと人口が少ないというのも一因だとは思うが、大きな都市のすぐそばに野生の動物や鳥たちのコロニーがある。自然をリスペクトし、自然と共存していきたいという思いが、この地の人々のDNAに刻まれているのだろう。人間が暮らす町のすぐ隣に、ニュージーランドの貴重な固有種たちが堂々と暮らしている。イルカは港の浅瀬でのんびり泳ぎ、アシカやオットセイは海辺に来る人間を観察し、ペンギンはサーフィンのポイントにプカプカ浮いていたりする。ストレスなく暮らす生き物たちは、いずれも穏やかでいい表情をしている。ここでは、大地と海の恵みはすべての生き物に平等に与えられる。われわれが必要以上に求めなければ、人と生き物たちは、ともに笑顔で豊かに生きていける。ニュージーランドでそれを実感できたことが、何より嬉しかった。

ロイヤル・アルバトロスの雄姿

ロイヤル・アルバトロスの雄姿

翼を広げると3メートル以上にもなる、大きく威厳のある鳥、ロイヤル・アルバトロス。風を味方に付けて滑空している姿は、あたかもグライダーのようだ。多産ではない上に警戒心が少ないことも手伝って、彼らは今絶滅の危機に瀕している。そんな彼らの無垢で優雅な姿は、自然の優しさや繊細さの象徴のようでもある。

嬉しそうに飛び跳ねるダスキー・ドルフィン

嬉しそうに飛び跳ねるダスキー・ドルフィン

ジャンプをしたりくるくるとスピンをしたりと、活発な動きを見せるダスキー・ドルフィン。数多い世界のイルカの中でも、もっともジャンプすることが好きで、遊び好きなイルカだ。われわれのボートを見つけると本当に嬉しそうに、飛んだり跳ねたりしながら寄ってきた。

イエローアイド・ペンギンのカップル

イエローアイド・ペンギンのカップル

なんだか楽しそうに連れ立って海から上がってきた二羽の仲良しイエローアイド・ペンギン。ニュージーランドの固有種で、世界にいる18種類のペンギンの中でもっとも数が少ない。絶滅が危惧され、手厚く保護されている。南島第2の都市ダニーデン近郊にあるコロニーでは、そんな彼らを数メートルほどの至近距離で観察することができる。

ニュージーランド・アシカ

ニュージーランド・アシカ

海から重い体を引きずってビーチに上がってきたニュージーランド・アシカのオス。やはりニュージーランドの貴重な固有種だ。ビーチにいたメスにちょっかいを出したい様子だったが、テリトリー意識ムンムンのほかのオスがすでにビーチにいたので、しばらくビーチでウロウロした後、また海に戻って行ってしまった。

カモメの親子

カモメの親子

海辺ならわりとどこにでもいるカモメには、いつもだとカメラを向けることが少ない。でも親子のほのぼのとした姿を見ていたら思わずジーンときた。すべての生き物が、この惑星の尊いメンバーなのだ。

ニュージーランド・オットセイの母仔

ニュージーランド・オットセイの母仔

同じ灰色をした岩場の上で、たくさんの母オットセイが、それぞれの仔におっぱいを与えていた。顔を寄せ合い、こすり合わせたりしてコミュニケーションをとりながら、仔だけでなく、母親もときどきとても幸せそうな表情をみせる。愛情たっぷりの親子がとても微笑ましかった。

慌てるニュージーランド・アシカ

慌てるニュージーランド・アシカ

大きなオスアシカにわりと近い場所でくつろいでいた、若いメスアシカ。少し離れたビーチに別のオスが上陸してきたのを見るなり、急に上体を起こして逃げ出した。ニュージーランドのビーチで起きている、男女(オスメス)のドラマに、思わず微笑んでしまった。

イエローアイド・ペンギン

イエローアイド・ペンギン

他のペンギンのように大きな群れで暮らさないイエローアイド・ペンギンは、目つきがちょっと鋭く見える。そのため少し近づき難く感じることもあるが、じつは臆病で人見知りな性格だそうだ。

ロイヤル・アルバトロス

ロイヤル・アルバトロス

人が住む本土にロイヤル・アルバトロスの生息地がある国は、世界でもニュージーランドだけ。えっちらおっちらと歩く姿を観察していたが、大きく威厳があるだけでなく表情も豊かだ。人を恐れずありのままの姿をみせてくれる野生の生き物たち。ニュージーランドの人々の生き物を思う気持ちが、彼らを安心させているに違いない。

動物には人の言葉は通じないけれど、
僕らが愛情をもって接すると、彼らがなんとなく安心してくるのが分かる。
彼らがこちらに興味をもっているときは、僕らも相手のことが気になってくる。
そんな時、これからも共存できたらいいな、とつくづく思う。
コクチョウの湖 コクチョウの湖

コクチョウの湖

クライストチャーチ近くの湖のほとりにキャンピングカーを停めて、その夜はそこで過ごそうと準備をしていると、湖にたくさんのブラック・スワン(コクチョウ)が浮かんでいるのが見えた。シルエットがとても美しく、仕事を離れて一息つこうと思っていたが、そうもしていられなくなった。嬉しい悲鳴である。

Behind the Scene

ニュージーランドのおおらかさと優しさ。

道が悪いと、積み込んだ食器がガッチャン・ガッチャンと暴れるが、気にせずどんどん自然の中に分け入っていく。

道が悪いと、積み込んだ食器がガッチャン・ガッチャンと暴れるが、気にせずどんどん自然の中に分け入っていく。写真学校時代、トラックの運転手としてアルバイトをしていたので、大きなクルマの運転も朝飯前。

今回は大きめのキャンピングカーを借りてニュージーランド南島を巡った。いつでもどこでもレストランになりオフィスになり、ホテルにもなる自由さは、昼夜を問わない自然の撮影ではとても助かる。しかし、ネットが繋がらずにカーナビが使えない場所があったり、クルマもあちこちが不調だったり壊れたりする。それもニュージーランドのおおらかさだと諦めると、帰国後には笑い話になっていた。
ニュージーランドで動物や鳥たちの行動を見ると、いかに人間に警戒心を持っていないのかが如実にわかってくる。現地の人たちは、どのような場面でも彼らの生き方を尊重している。生き物たちが町の近くに住んでいても、ストレスなく暮らせるのは、そうした人々の優しさが伝わっているからに違いない。

キャンピングカーを借りた初日から、どうもタイヤの空気が抜け気味だった。入れても入れても空気が抜けるのでガソリンスタンドで見てもらったら、パンクしていたのだった。

キャンピングカーを借りた初日から、どうもタイヤの空気が抜け気味だった。入れても入れても空気が抜けるのでガソリンスタンドで見てもらったら、パンクしていたのだった。

初めに食材を買い込み、撮影の合間になるべく車の中でご飯を食べる。無駄な時間を出したくないのだ。サンドイッチ、ヨーグルト、シリアル、野菜……。卵&ハム入りインスタントラーメンはごちそうだ。

初めに食材を買い込み、撮影の合間になるべく車の中でご飯を食べる。無駄な時間を出したくないのだ。サンドイッチ、ヨーグルト、シリアル、野菜……。卵&ハム入りインスタントラーメンはごちそうだ。

野生動物の多い町ダニーデンで、撮影ポイントを教えてくれたり、いろんな情報をくれたりと、とてもお世話になったダニーデン在住の写真家たち。左が日本人の中村太一さん、右がPaul Le Comteさん。お二人とも、驚くほど優しい。

野生動物の多い町ダニーデンで、撮影ポイントを教えてくれたり、いろんな情報をくれたりと、とてもお世話になったダニーデン在住の写真家たち。左が日本人の中村太一さん、右がPaul Le Comteさん。お二人とも、驚くほど優しい。

カイコウラの海で泳いでいたオットセイ。僕に興味をもったのか、のんびりとこちらに近寄ってきて、またゆったりと泳ぎ去っていった。

カイコウラの海で僕が気になって泳いで来たオットセイ。ダニーデンの入り江沿いの道路に迷い込んでしまったアシカが、その後大喜びで海に戻って行った様子。人と野生動物の距離がとても近いニュージーランドでの出来事。

野生動物撮影に最強のD500+80-400mm。

撮影対象が野生動物ということになると、相手に威圧感を与えないようにするために望遠レンズで撮影することが多くなる。特にニュージーランドのように、野生動物を大切にしようと保護区をもうけたりいろんな決まりを制定したりしている地域では、こちらもそれを尊重してさらに慎重に撮影したくなるものだ。
そんな時は、D500+80-400mmズーム(AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR)の組み合わせが絶大な威力を発揮してくれる。アウトドアで、大きなカメラバッグを担いだほかに大きなレンズ用のカバンを一つ持っていると、どうしても行動範囲が狭まったり億劫になったりしがちだ。でもこの組み合わせだと、80-400mmが焦点距離120-600mm相当の望遠ズームとして使える上に、持ち物はカメラバッグ一つに収まるので本当に助かるのだ。
D500は、フォーカスの速さ、連写速度、画質など、どれをとっても素晴らしく、特に動くものを追いかけるAF性能はピカイチ。今回のニュージーランドロケでは、バッグの中のD850に加えてD500を忍ばせておいたので、あちらこちらと動き回りながら野生動物も風景も最高の状態でおさえることができた。D850とD500があれば、まさに鬼に金棒だ。

D850
撮影協力
・ニュージーランド政府観光局
・ニュージーランド航空
・EARTH & SKY(小澤英之氏)

All Photos

  • ニュージーランド・オットセイの母仔(3枚組写真)

    愛情たっぷりに授乳するニュージーランド・オットセイ。カイコウラにて

  • コクチョウの湖(2枚組写真)

    もともとはオーストラリアに生息する固有種だというブラック・スワン(コクチョウ)。クライストチャーチにて

ロイヤル・アルバトロスの雄姿

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/800秒、f/6.3
焦点距離:310mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

嬉しそうに飛び跳ねるダスキー・ドルフィン

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/8000秒、f/5.6
焦点距離:290mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 800 ピクチャーコントロール:スタンダード

イエローアイド・ペンギンのカップル

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/5000秒、f/9
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 1600 ピクチャーコントロール:スタンダード

ニュージーランド・アシカ

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/4000秒、f/5.6
焦点距離:200mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

カモメの親子

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/2500秒、f/11
焦点距離:370mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 400 ピクチャーコントロール:スタンダード

ニュージーランド・オットセイの母仔会

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/160秒、f/5.6
焦点距離:250mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

ニュージーランド・オットセイの母仔会

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/125秒、f/5.6
焦点距離:360mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

ニュージーランド・オットセイの母仔会

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/160秒、f/5.6
焦点距離:290mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

慌てるニュージーランド・アシカ

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1000秒、f/9
焦点距離:300mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 1600 ピクチャーコントロール:スタンダード

イエローアイド・ペンギン

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/800秒、f/7.1
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

ロイヤル・アルバトロス

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/400秒、f/8
焦点距離:260mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

コクチョウの湖

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/2500秒、f/16
焦点距離:270mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 800 ピクチャーコントロール:スタンダード

コクチョウの湖

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/8000秒、f/10
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 800 ピクチャーコントロール:スタンダード

推奨環境

Android
・Android OS 4.4 以降
iPhone
・iOS 9 以降