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クリエイターのノウハウを公開
ベトナムでZ6IIIとN-RAWを使って撮影した映像作品について、映像クリエイターの大川優介さんとカラリストの萩原正輝さんに、そのノウハウを公開していただきました。大川さんはYouTubeチャンネルをはじめとした映像制作で活躍する映像クリエイター。今回ベトナムで制作した映像作品のカラーグレーディングを手がけたのが、TREE Digital Studioのカラリストである萩原さんです。
大川さんの作品の多くは萩原さんが担当しています。萩原さんは以前、大川さんのチームに所属して一緒に映像を作っていた経験から、2人の間には「ユースケさん」「マサキ」と呼び合う強い信頼関係が築かれています。大川さんは萩原さんのスキルを高く評価し、自分のイメージを理解してくれると信頼を寄せています。一方、萩原さんも大川さんの作品の世界観を深く理解し、その表現を最大限に引き出すことのできるカラリストです。単なる仕事のパートナーではなく、ともに作品の世界観を作り上げる関係だそうです。
大川:今回の作品のテーマは「フィルムライク」で、現代的な4Kや8Kといった高画質表現とは一線を画した、「フィルムライクでノスタルジックな質感と雰囲気」を追求しました。これは、繊細なRAW素材を活かしつつ、視覚的な美しさを引き出すための挑戦でもあります。
萩原:カラーグレーディングの過程では、遠隔地(京都)にいるユースケさんとのやり取りをリモートで行いながら作品を完成させていきました。
まず大川さんから萩原さんへはRec.709の状態で仮編集(オフライン編集)後の映像が送られます。萩原さんがグレーディングしたものを大川さんに確認してもらい、フィードバックを受けて修正を重ねるというプロセスを3〜4回ほど繰り返しました。通常はカラリストの隣で監督やカメラマンが確認することが多いそうですが、遠隔であっても緊密なコミュニケーションを取りながら、効率的に作業を進められたとのこと。両者の長年の信頼関係があってこそ可能な作業スタイルでしょう。
まずN-Logで撮影された複数のカットをグループ化し、「グループプリクリップ」で基本的な調整を、「グループポストクリップ」で共通のルックを作り、プリとポストの間でクリップごとの調整をしています。グループ化することで全体のルックの統一感を出し、作業の時短につながっています。
クリップのグループ化:
複数クリップに共通のカラー調整を一括で適用できる。
同じシーンや条件のクリップを効率よく統一感のある色調に仕上げられる。
グループ プリクリップ:
グループ内の全クリップに対して、最初
に効果やカラー調整を適用。
グループ全体の基本的な設定を行うのに適している。
グループ ポストクリップ:
グループ内の個別クリップの編集が終わった後
に、最後の仕上げとして効果を適用。
全体の統一感を出すためのルックを作ったり最終調整に使用したりする。
カラースペース変換
ベース調整
個別のクリップごとの調整
全体のルックを作る
クリップをグループ化するとノードグラフの上部の・・が4つになり「グループ プリクリップ」と「グループ ポストクリップ」が選択できるようになる。
N-Logの状態でスタートしてカメラRAWの項目でRAWパラメータはいじらずにノード上で全て作業しています。
ノード02でカラースペース変換のエフェクトを使いN-LogからDaVinci Wide Gamut / DaVinci Intermediateの広いカラースペースに変換をしています。
ノード03でプロミストフィルター感を出すために「Scatter」というプラグインを使い、柔らかくグローがかかった感じにしています。
一番上の段のノードでカラーコレクションを、2段目、3段目のノードでルックを作っています。オリジナルのLUTをいくつか比較して雰囲気に合ったものを使っていますがLUTだけで色を作ることはできないので、いろいろと微調整をしています。
最後のほうでフィルムっぽさを再現するために今回は「Dehancer」という外部プラグインを使用しています。ハレーションやブルームといったフィルム要素を加えています。
また黒が締まりすぎないように少しだけ暗部を浮かせています。
グループクリップで全体のルックを作った後に個々のクリップで調整をしていきます。
このショットでは振り向いた顔が少し暗かったのでマスクを切って明るく調整をしています。モデルさんの肌は綺麗だったので主に明るさと色味を調整しただけです。
また右側の太陽の方向の色味を暖かくしています。
N-RAWは色が破綻しないしブロックノイズがなくてやりづらさは感じませんでした。
このショットでは右の壁を暗くすることでモデルさんを際立たせています。
またこの電車が出てくるカットがいくつかあるので色は合わせるようにしました。
大川:今回は撮影時の階調モードとして「N-Log」を使用して撮影しました。ハイライトのダイナミックレンジが広く、昼間のシーンを多く撮影する私のスタイルに適していたためです。そのままの設定で、夜間も撮影したのでノイズが目立つこともありましたが、適切なノイズリダクションで十分対応できました。
萩原:撮影時の光や環境が良い状態であれば、カラーグレーディングもスムーズに進みます。逆に、条件が悪い場合でも12bitのN-RAW素材は調整の自由度が高く、ユースケさんの撮影スタイルには非常に合っているとグレーディングをしながら感じました。
大川:今回の撮影では、主に単焦点レンズ、NIKKOR Z 50mm f/1.2 SとNIKKOR Z 24mm f/1.8 Sをよく使用しました。ズームレンズも使用しましたが、最終的には単焦点レンズの描写力やボケ感、光の集め方、そして被写体の立体感が優れていたため、単焦点レンズで撮影したカットが多く採用されることになりました。また、オートフォーカスもうまくいき、撮影がスムーズに進みました。
撮影時点での光や素材の質をきちんと捉えることが最も重要ですね。それがしっかりしていれば、カラーグレーディングでさらに引き立てることができます。
大川:これまで様々なメーカーのカメラを使ってきましたが、ニコンは、動画機、特にソーシャルメディア向けの動画においては、他社に比べて遅れをとっていた印象がありました。しかし、N-RAWの誕生によって、カメラでRAW動画の内部記録ができるようなり、そこが大きな魅力になっています。これからの動画機として大きな可能性を秘めていると感じています。今後も積極的にニコンZシリーズを盛り上げていきたいと思っています。
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