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クリエイターのノウハウを公開
MVを中心に自ら撮影、編集、グレーディングを行うスタイルで映像制作をしている軍司拓実さん。ここでは、NIKKOR Z 50mm f/1.4 | スペシャルムービーを例に、N-RAW撮影素材のカラーグレーディングについて解説していただきました。
今回は事前にNX Studioを使って静止画のRAWからフレキシブルカラーピクチャーコントロールのプリセットを作成して書き出し、そのプリセットをZ6IIIに取り込んで撮影を行いました。
フレキシブルカラーは2つほどカメラに入れておき、撮影現場でシーンによって使い分けています。N-RAWの階調モードを「N-Log」にするとフレキシブルカラーは使えないので「SDR」に設定し、作った色でモニタリングしながら撮影 しています。撮影時にフレキシブルカラーを使ってプレビューをすると、参考としての色が見えるので、完成形をイメージしやすくなります 。現場で雰囲気をつかんでおくと、後の編集もスムーズに進められます。
写真フィルムのコダックのあるカラーネガフィルムの色に近づけることが多いですね。フィルムの色味は独特で、デジタルとはやっぱり違うんですよ。そこで、リファレンスやカラーチャートを活用して、デジタルで撮ったときとフィルムで撮ったときの色の出方を考慮しながら調整 しています。
編集とカラーグレーディングはDaVinci Resolveで行なっています。
フレキシブルカラーはNX StudioからLUTとしては書き出すことはできないので、N-RAWで撮影したものを、DaVinci Resolve上でもう一度現像し直し、近い色に再現しています。N-RAWのファイル自体には作った色は記録されず普通のSDR(Standard Dynamic Range)の色で記録されるので、編集時にそれをベースにさらに追い込んでいきます。
撮影時は「SDR」の階調モードで撮影していますが、カメラRAWパネルで「ガンマ」をN-Logに変更してから作業します。
素材全体に設定をコピー&ペーストして、素材ごとに微調整するという作業工程なので、あらゆるシーンの素材にも適用できるように思い切ってコントラストを下げ、後からハイライト/シャドウのバランスを調整しやすいように整えています。
まずは上段4つのノードで基本調整、カラーコレクションを行います。
ノード01:色温度・ティント
ノード02:映像全体のコントラスト
ノード03:プライマリー・HDRホイールで詳細なコントラスト
ノード04:全体の彩度
下段4つのノードで色味を自分好みに調整、カラーグレーディングをしていきます。
一番変化の出るノードです。グリーンの色の出方が気になるので特に入念に調整 しています。「カラーワーパー」は感覚的に色相と彩度を変化させることができる のでよく使います。グリーンやマゼンタのデジタルっぽい色になりやすい部分をフィルム調の色合いに調整します。
赤、緑、青、それぞれのバランスを見ながら調整します。たとえば、赤が多すぎると生々しさが出るので少し減らす ことが多いです。ただ、赤を抑えすぎると肌の健康的な色味や可愛らしさが失われるので、そのバランスを微調整します。
緑については、上げるとフィルムライクな柔らかさ が出ますし、下げると全体の締まりが良くなる一方で、マゼンタ側に傾くので、そのあたりも注意します。青はニュアンス調整 として少し使う感じです。
「クオリファイアー」で肌の色を抜き出し、ミッドディテールを下げる調整をして肌のテクスチャーを少し柔らかくすることで、透明感を出すようにしています。肌の色自体は大きく変えませんが、全体のバランスを調整します。
おおむね色が定まってきたところで、全体のバランスはできるだけキープしたまま気になったカットを微調整しています。カットごとに内容は異なりますが、色味や明るさがキツく見える部分を柔らかくしたり、味気ない部分を補ったりという感覚で最終調整していることが多いです。
基本的にはメインカットの調整をしてベースの構成を作ってからコピーをして使用しています。そこからカットごとに微調整します。色温度や露出のニュアンスが大きく変わらなければ、メインカットの設定を適用しただけでも大丈夫ですが、少し違った場合は調整しながら仕上げていきます。
撮影時の環境が異なる場合、シャドウやハイライトを調整する必要がありますが、色温度の微調整を行うだけで、かなり近い感じに仕上がることが多いです。基本的な軸さえ作ってしまえば、それをベースに調整を加えていくだけバランスをとることができます。
自分の好みを明確に把握することですね。調整を何度も重ねながら、自分が目指す仕上がりに近づけて いきます。RGBの三原色のバランスを見ながら、最終的には全体のトーンやニュアンスを整えていくことが大切だと思っています。
MacBook Pro (M3 Max)を使って編集やカラーグレーディングをしています。RAWのデータはサイズが大きくハードディスクでは編集が難しいので案件ごとにSSDに入れて編集をしています。以前、ドキュメンタリーのインタビュー撮影で1時間ほどRAWで撮影をしていたのですが、思った以上にデータが大きくて、SSDがすぐにいっぱいになってしまいました。結局、残りの日程はRAWを使わずN-Log(MOV)で撮影しましたが、混ぜたときに違和感がなく、N-Log(MOV)の性能も高いと感じました。
色合いは各メーカーそれぞれに特徴があって、ニコンは写実的な色合いという印象ですね。さらにRAWデータだと立体感が加わるような感じ がします。これは、写真でもよく言われる“写実性”が強いというところに通じるものだと思います。レンズの設計や考え方も関係していると思います。ニコンのレンズは写実性を重視している印象があります。
Zシリーズで撮ると、ふだん一緒に映像制作をしているチームのメンバーから「なんかめっちゃ綺麗だね」って言ってもらえることがありました。その綺麗さとは、色を転ばしてるんだけど、ある意味、作りすぎてない感じというか、ちゃんと現実的な安心感が残っていて地に足がついてるところがあるのかなと個人的には思っています。
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