Creator's TALK

クリエイターが語るN-RAWの魅力

写真も動画も最初からRAWからスタートしたほうが
ストレスなく自分の色にたどりつけます

プロフィール画像 : JEMMAさん
ビデオグラファー
JEMMAさん

動画を始めたときはスマホしか使っていなかったのですが、その後、動画のお仕事をするようになってからは、スマホ指定がない限りミラーレスカメラで撮影しています。スマホだけでもこんな風に動画制作ができるよということをYouTube等で発信しはじめたのですが、一方でミラーレスカメラで撮れる画の美しさや繊細さ、編集の自由度にも気づき、日常のVlogなどでも、しっかり作り込みたいときは、ミラーレスカメラを使うようになりました。

自分の所有カメラとしては、ミラーレスカメラで動画に強いということでニコンのZ6IIを買いました。その後、小さいZ30を買って、その次の年にはZf、そして今年はZ6IIIと、なんだか毎年のようにニコンのカメラを買ってますね(笑)。でも、ニコンを選んだおかげでコンパクトなサイズのカメラでN-RAWを体験することができてラッキーだったと思っています。今まで使っていたZ6IIと同じくらいのサイズのZ6IIIでRAW動画が撮れるというところは大きかったですね。

N-RAWのどんなところに魅力を感じたのでしょうか?

初めてRAWを体験したのは、Z8をお借りして自主制作で作品を撮ったときでした。

JEMMAさんがZ8の8K RAWで制作した作品『KIRO』

暗い時間帯の撮影はノイズが乗りやすいということもあって、今まで避けていたところがあったんですが、そのときはRAWで撮るということもあってあえて暗いシーンのある映像に挑戦してみました。

DaVinci Resolveでファイルを開いたときは結構暗かったのですが、RAWから調整をしていくと、シャドウのなかにも情報がきちんとあって、そこからきれいに階調が出てきた ときには驚きました。しかも、そのシーンはノイズリダクションもかけていません。RAWだからこそきちんとデータが残っていて、それを引き出せるという魅力と安心感は、N-RAWを使えば使うほど実感しています。

シャドウのなかから階調が出てきたときにびっくりしました

夕景のシーンは、背景の空と影になった人物のコントラストが大きく、空が白飛びしたように映っていたのですが、これもN-RAWのおかげでハイライト部分の情報が残っていたので、空のグラデーションも破綻なくグレーディングができました。当時はグレーディングを始めたばかりでそれほどのテクニックはなかったのですが、自然な色を引き出すことができたと感じています。

正確な色を求められる仕事ではRAWがマストに

次にRAWで撮ったのはお仕事の案件で受けたWEBムービーで、私のYouTubeでも公開しているものです。マジックアワーの時間帯を狙って撮るというシビアな撮影だったんですけど、こちらも編集でかなり色を引き出すことができて、綺麗に表現できました。RAWは繊細なシーンやグラデーションの表現は作りやすい と思います。当日マジックアワーになるかどうかわからないですし、しかも実際にはもっと暗くて、明るさも持ち上げているのですが、ノイズが目立っていません。

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クライアントさんからは、商品の色を正確に、しかも空のグラデーションもきれいに再現してほしいと言われたのですが、それに対してカラーグレーディングで対応することができたのは、RAWだったからこそと思います。細かな色の要望にも対応できるという意味で、お仕事ではRAW撮影がマスト になりそうです。

Z6IIIのファーストインプレッションのムービーはスチルの連写のカットも使いながら動画作品に仕上げています。

この作品はフレキシブルカラーピクチャーコントロールも使うという条件だったので、N-RAWの部分をフィーチャーしたものではないのですが、スチルの連写を入れたり、いろいろな素材を組み合わせて作品にしています。フレキシブルカラーピクチャーコントロールで作った色味に、RAW動画のほうの色を合わせるというグレーディングをしているのですが、やはり色の再現がしやすく自由度は高いという印象を受けました。

Z6IIIファーストインプレッション動画

これを撮影したときは知らなかったのですが、N-RAWで撮影していても階調モードを「SDR」にすれば、自分で作ったフレキシブルカラーピクチャーコントロールを利用してモニターできるんです。RAWで撮影しながら最終的な完成形をイメージできるので良いなと思いました。

自分の色の見つけ方

JEMMAさんならではの色の魅力がありますが、自分の色はどうやって見つけていったのでしょうか。

やっぱり自分の中でしっくりくる好きな色はあると思います。シャドウをどの方向に寄せるとか、ハイライトの調整パターンはある程度決まっていたりなど、どの作品を見てもなんとなく統一感はあると思います。自分の好きなパターンをいくつか用意しておいて、映像の雰囲気に合わせて自分のパターンを当てていく感じですね。グレーディングは独学ですが、調整すると結果が見えるから、やりながら自分の色が決まっていった ような気がします。

自分が動画を作りはじめたときに、映画監督の枝優花さんの映像が大好きだったので、こういう雰囲気の作品を作ってみたいと思っていました。自分の好きな写真家さんだったり、Pinterestで好きな作品を集めて、集まった写真を見ることで自分の好きな色が見えてきますし、まずはそれを真似して作っていくといいと思います。

私も最初は、なかなか理想通りにはいかなかったのですが、自分なりに試行錯誤して、ハイライトのここを変えるとこういう印象になるんだということを覚えていきました。参考にしている写真の再現はRAW写真のレタッチだとわりとうまくいっても、その感覚で映像のグレーディングをやってみると、うまくいかなかったりしてたんです。今となってみると、動画でもRAWだったらもっと細かく再現しやすかったんだなということに気がつきましたね。

自分の色を追求したい人は、写真も動画も最初からRAWで撮影したほうがストレスがないと思います。 回り道せずに自分の好きな色に到達できる気がします。

JEMMA
大阪府出身。海外でのワーキングホリデー中にVlogを発信したことをきっかけに動画制作に没頭。現在はビデオグラファーとして映像制作や講師活動、また自身のYouTubeチャンネルにて動画制作のTipsなどを発信中。著書「スマホ1台で動画制作はじめます!」は発売半年で累計1万部を突破し、5刷重版も決定。