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クリエイターが語るN-RAWの魅力
井上さんといえば、卓郎というお名前を「TaQ RAW」と表記するくらいに特にRAWへのこだわりが強いことで以前から知られています。いつからRAWにこだわるようになったのでしょうか?
デジタル一眼で動画が撮れるようになった当時、メーカーが保証しない方法でRAW記録できる方法がありました。そこでRAWのすごさに気がついてしまったんです。カラーグレーディングという言葉自体、自分も含めて多くの人が知らない時代でした。そんな時代にRAWを使うことで色をコントロールする楽しみを知ってしまった のが最初です。わかりやすく言うと「動画で写真のような表現ができる」ということです。当時は、そんなことはまったく考えられなかったですから。
そのうち、Logで撮れるようになってきたのですが、所詮8bitですから、グレーディングをしてみると空なんかバンディングが起きるわけです。どうしてだろうと。当時はRAWとLogの区別もついていなかったので理由がわかりませんでした。
次にRAWで撮影できるシネマカメラが出てきたのですが、でも写真が撮れないからミラーレスカメラも一緒に持ち歩いていました。山岳映像をやっている自分としてはそこは負担になっていました。やっとミラーレスカメラでもRAW動画を撮る機能が搭載されてきたので、それでいいかと思っていたら、2021年にニコンからRAW動画が撮れるZ9が登場しました。これは自分のためのシステムではないか と思いましたね。今はZ9、Z8、Z6IIIを用途に合わせて使い分けています。
ニコンZ シリーズが自分のためのシステムだと思った理由とは?
実はそれまでレンズにあまりこだわっていなかったんです。むしろ古くてあまりいいレンズじゃないほうが好きなぐらいで。ところが8K RAWとか6K RAWで撮影するようになってからは、きちんと解像度が出るレンズが好きになった んです。そうすると、ニコンのレンズにはビビッとくるものがありました。それもあってニコンにシフトしていくことになったんです。特に驚いたのがNIKKOR Z 50mm f/1.2 Sです。一目見てなにかが違う、なんだこの立体感は!と思いました。今はNIKKOR Z 24-120mm f/4 Sをメインで使っていますが、単焦点などZシリーズのレンズを一通り揃えました。低価格でコンパクトなレンズでもとても写りがいいですね。
いろいろなRAWを使ってこられたと思いますが、N-RAW は何が良いのでしょうか?
ニコンのRAWの場合、解像度がいろいろと選べるところがメリットです。他のシネマカメラのRAWの場合、解像度を選べないものが多く高い解像度一択だったりするのですが、ニコンの場合は、RAWであっても解像度を選べ ます。もちろんフレームレートもいろいろ選択できますし、使い勝手が良いんです。
N-RAWは、ProRes RAWよりも記録ビットレートが抑えられている のがメリットです。しかもN-RAWの場合は「標準」と「高画質」を選択できて、「標準」だとレートをさらに下げられます。つまり、メディア容量と記録時間を確保できます。画質に関しては「標準」でもまったく問題ない と思いました。500%、つまり5倍に拡大して確認しても、情報量の差は分からないですから。おそらくうまく圧縮しているのだと思います。グレーディング耐性についても違いを感じません。
もうひとつのメリットは同時にプロキシファイルが生成される ことです。このファイルはPC上でダブルクリックして再生することができますし、プロキシファイルを利用することで、非力なパソコンでも編集ができます 。プロキシフォルダを作ってファイルと同じ階層に入れておけば、DaVinci Resolveであれば自動でリンクしてくれます。
そしてデジタルシネマカメラのメーカー、REDとの協業が早くも始まったことです。今回あらたに提供されたLUTを当ててみると、Rec.709に戻すテクニカルLUTであったとしても、これまでのLUTとは全然色が違います。DaVinci Resolveで自動変換したときも異なりますが、これはメーカーによってカラーサイエンスの考え方が違うからだと思います。REDのLUTはREDの思想が反映されたルックになっています。要はシネマカメラ的な解釈が入っている ということでしょう。ぜひファームアップでビューアシスト機能で当たるRec.709のLUTをRED提供のものも選択できるようにしてほしいですね。これからさらにREDと協業するシナジー効果が現れるのが楽しみです。たとえば12bitではなく16bit RAWにも期待したいですし、逆にさらに圧縮したRAWがあると使いやすくていいかもしれません。
ニコンZ シリーズやN-RAWをどういう人にどのように使ってもらいたいですか?
自己表現をしたい人はRAWで撮ったほうがいいと思います。映像作品においては、カット編集とカラーグレーディングは人と差別化するのに違いが出る部分で、自己表現を広げるのにカラーグレーディングは見て一番分かりやすい 。かつてのビデオカメラの時代であれば、テレビの色、正しい色が標準になっていて、カラーグレーディングをするという発想そのものがなかったのですが、今は色によって表現できる時代になっています。N-RAWで撮影することで、その楽しさを知ってもらえたら嬉しいです。
風景写真を撮っている人は多いのですが、風景ムービーを制作する人はそれほど多くないですよね。風景写真の世界では、RAWで撮るのは当たり前で、しかも14bitとか16bitといった階調です。これまでの動画は8bitや10bitしかなかったわけですから、不満があったと思います。それがN-RAWによって手軽に12bit RAWが撮れるようになったわけですから、ぜひ動画に挑戦してみてほしいと思います。ただ、現像するツールが違います。カラーグレーディングをする際に使うのは、写真の世界ではなじみのないDaVinci Resolveです。でも考え方は同じですから、ぜひ動画での色調整、自己表現を実践してほしいと思います。RAW動画の世界はほんとうに楽しいですから。
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