高画質と手持ち撮影による対応力が
ハワイならではの空気感を画面に宿す

水平線の彼方から月が昇る。背後から照らす残照に積乱雲が輝いている。地球と宇宙が接する1 日の終わりの空。正面から強い月光が差し込んでいるが、ナノクリスタルコートがゴーストの発生を抑えてくれた。

カメラ:D810 画質モード:RAW+JPEG 撮影モード:マニュアル、6秒、f/2.8 焦点距離:24mm ホワイトバランス:電球 ISO感度:1600 ピクチャーコントロール:ビビッド


ヤシの木越しに青空を仰ぎ見る。透明感のある光が降り注ぐ場面ではレンズの抜けの良さが際立つ。前ボケの描写も柔らかで美しい。

カメラ:D810 画質モード:RAW+JPEG 撮影モード:絞り優先オート、1/1250秒、f/2.8 焦点距離:50mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:200 ピクチャーコントロール:ビビッド


なにをするでもなくただ浜辺に座る男性。美しい海と砂浜の色。ゆっくりと過ぎていくハワイの時間を手持ち撮影で切り取った。

カメラ:D810 画質モード:RAW+JPEG 撮影モード:シャッター優先オート、1/4秒、f/22 焦点距離:48mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:32 ピクチャーコントロール:ビビッド


ゆったりとした波が、サーファーたちのいる浅瀬に向かって沖から弧を描いてやってくる。逆光でも画面はとてもクリアで、波のディテールや輝くしぶきがしっかりと表現されている。

カメラ:D810 画質モード:RAW+JPEG 撮影モード:絞り優先オート、1/1600秒、f/9 焦点距離:70mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:200 ピクチャーコントロール:ビビッド

高画質の標準ズームレンズとして信頼するAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED の後継モデルとなるAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRをいち早く使えることになり、かねてより計画していたハワイ取材に急遽持ち込むことにしました。前モデルからの改良点で、まず注目したのが手ブレ補正機構「VR」が搭載されたことです。標準域をカバーするズーム域と開放F値2.8の大口径レンズにVRが加わったのですから、当然、手持ち撮影の領域が広がることが期待できます。そこで、スナップ的な撮影にもすぐに対応できるよう、常時カメラに装着してハワイ取材の間持ち歩いていたのですが、その効果は期待を上回るものでした。透明感のある海と白い砂。砂浜に座る人物は寄せては返す波にただ足を洗わせている……そんなハワイらしいゆったりとした時が流れる空気感を表現するには、波をスローシャッターで表現したいと思い、1/4秒までシャッタースピードを落として手持ちで撮影しました。結果はイメージ通りに波が描かれ、人物はしっかりと写し止めることができました。前モデルでも特に画質に不満はなかったのですが、ED非球面レンズの採用で画面四隅の解像感がさらに増し、描写に磨きがかかりました。また細かいところでは付属のフードもなかなかの優れもので、望遠側で後ろに引き込むズーム構造との相乗効果で、高い遮光効果を発揮してくれます。レンズ鏡筒の堅牢性も向上し、雨の中の撮影でも動作に不安を感じることはまったくありませんでした。実のところ、これまで標準域のズームレンズはそれほど多用する方ではなかったのですが、これからはこの新しいAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRが登場するシーンが増えることになりそうです。




高砂 淳二(たかさご じゅんじ)

自然写真家。1962年、宮城県生まれ。海の中から生き物、虹、風景、星空まで、 地球全体をフィールドに撮影活動を続けている。著書に最新刊の『yes』をはじめ『ASTRA』 『night rainbow』(以上小学館)『PENGUIN ISLAND』(パイ インターナショナル)ほか多数。 写真展多数開催。
海の環境NPO法人「OWS」理事。http://junjitakasago.com/


隔月刊『風景写真』2015年11-12月号掲載記事より

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