いかなる歪みもない世界。奇をてらわない構図になることが多い標準ズームは、素直な描写力が求められる。このレンズはそれに見事に応え、臨場感とともに描写してくれた。
カメラ:D810 画質モード:RAW(14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/750秒、f/8 焦点距離:30mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:200 ピクチャーコントロール:風景
約4段分の効果がある手ブレ補正機構VRを採用。この写真はワイド端の24mmで、1/10秒という低速シャッターを切ったが、見事に手持ちで撮影することができた。
カメラ:D810 画質モード:RAW(14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/10秒、f/16 焦点距離:24mm ホワイトバランス:晴天日陰 ISO感度:200 ピクチャーコントロール:ビビッド
まるで大口径レンズのようにボケを武器にできるズームレンズは数少ない。ボケが大きく、ボケの連続性もなだらかだ。その場にいるかのような立体感のある描写に驚かされた1枚。
カメラ:D810 画質モード:RAW(14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1500秒、f/2.8 焦点距離:70mm ホワイトバランス:晴天日陰 ISO感度:200 ピクチャーコントロール:ニュートラル
懐かしい木造駅舎で遊ぶ子どもたち。大きなシャボン玉が飛び出した瞬間、僕は70mmにズームしてシャッターを切った。シャボン玉と笑顔が弾ける直前の一瞬。その写真のボケの美しさに思わず息をのんだ。2Dであるはずの写真が、まるで3Dのような臨場感とともに描写されていたのだ。そのレンズはAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR。いわゆる「大三元ズーム」の1本が、大幅にリニューアルされたものだ。大きな進化は手ブレ補正機構を新たに採用したことと、各種収差を効果的に補正するED非球面レンズを初採用したことだろう。使ってみた感想は、まさに「優等生」そのもの。D810クラスの高画素機で撮影しても、画面周辺の像の流れなどはまったく見られない。そして何より感動したのはまるで大口径レンズのようなボケの大きさとなだらかさだった。撮り手の想いに素直に応えつつ、その想像を超える世界をさりげなく見せてくれるこのレンズは、長年使い続けることができる名レンズになりそうだ。
1967年生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道にかかわるすべてのものを 被写体として独自の視点で鉄道を撮影し、「1日1鉄!」や「ゆる鉄」など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。 2004年春から毎日1枚必ず鉄道写真を撮影するブログ「1日1鉄!」を継続中。 広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。株式会社フォート ナカイ代表。 2015年講談社出版文化賞・写真賞受賞 2015年日本写真協会・新人賞受賞。