
カメラ越しに世界を見ると、気にもとめなかったありふれた光景が特別なものに見えたりしませんか? 大切な人との時間をより愛おしく思えたり、ふと見上げた空模様をきれいに感じられたり。カメラや写真には、私たちの生活を豊かにしてくれる力があります。
この記事では、カメラや写真が私たちにもたらしてくれる豊かさを伝えるため、ゲストに「わたしのありふれた愛おしい日常」をテーマに、Zfで写真を撮影してもらいました。今回のゲストは、ファッションモデルとして活躍する阿久津ゆりえさんです。記事の前半では、彼女にとっての「ありふれた愛おしい日常」を写真とともに紹介します。後半では、カメラや写真に対する自身の思いを伺いました。
阿久津ゆりえ
1988年生まれ、群馬県出身。ファッションモデルとして、CMをはじめ広告や雑誌、MVなどで活躍。群馬県の観光特使も務める。明るく自然体な人柄で、男女問わず幅広い年代から共感を得ている。
わたしのありふれた愛おしい日常

仲良しな友達家族と過ごす時間
「仲良しの友達家族の写真です。これまでは人にカメラを向けると、どうしても身構えた雰囲気になってしまって、人を撮ることに苦手意識があったんです。でもこの日は、お家というリラックスした空間もあってか、いつもの友達家族をそのまま撮ることができました。すごく素敵な家族なので、“そのままのみんな”が撮れてすごく嬉しかった1枚です」

お昼寝中の猫ちゃんに触らせてもらった日
「飲食店で飼われている猫ちゃんです。ランチに立ち寄った日、店員さんに『今日は軒先で日向ぼっこしているよ』と教えてもらって外に出ると、ちょうどお昼寝中でした。何度か行ったことがあるお店なので猫ちゃんの存在は知っていましたが、触らせてくれたのはこの日が初めて。動物好きな私にとっては、癒されるこの丸いフォルム、触らせてもらえたという嬉しさ、この瞬間を収めたい気持ちなど、私の欲求がすべて詰まっている写真かもしれません(笑)」

小さい頃から過ごしてきた祖父母の家
「小さい頃からずっと過ごしてきた、大好きな祖父母の家で撮りました。祖父母の家は、私にとってかけがえのない、心が落ち着く空間です。祖母は家にお花を飾るのが好きなのですが、この日はパッと目を惹く薔薇と赤い花瓶が。あら素敵と近寄ってみると、花瓶だと思っていたのは、化粧水の空きボトルで(笑)。心が一気にふにゃっとなりました。Zfで写真に収めてみると自分の目とは違う写り方をして立派な作品に。普段使っているフィルムカメラだとこのボケ感にはならないので、違いを感じられて面白かったです」

仕事へ向かう早朝に見た空
「仕事で朝早くに家を出た日に見た空です。太陽が昇る直前の空が、すごくきれいな日でした。この写真には、オールドレンズを使っています。オートフォーカスを使えないオールドレンズは、私には難しくて使ってはこなかったのですが、チャレンジしてみようと思いました。急いでいたこともあってブレてしまいましたが、その感じも気に入っています」

撮影の仕事の合間にお散歩
「撮影やロケの合間の休憩時間は、近くをお散歩して過ごすことが多いです。この日は都内の海近くで撮影があり、その休憩中に撮りました。海と遊歩道のレンガと影の色合いのバランスがきれいで、気に入っています。私は影が好きで、こんな風に自分の影やモノの影を撮ったりしています」
INTERVIEW:「心が動く瞬間に気づける人でありたい」カメラ越しに捉える日常の美しさや面白さ

――「わたしのありふれた愛おしい日常」をテーマに撮影いただきましたが、撮影を振り返っていかがでしたか?
肌身離さずZfを持ち歩いて、「あ、これが好き」って瞬間を撮るのがとにかく楽しかったです。また、改めて私の日常ってめちゃくちゃ普通だと気づかされました(笑)。それでも同じ瞬間はないから、そういう毎日を大切に過ごそうという気持ちになりました。
――Zfを使ってみていかがでしたか?
Zfは撮りたいと思った瞬間をきれいに撮れるので、撮影が上手くなった気分になりました。特に生っぽくない表情のある写真が撮れることが気に入っています。今回の写真は、ほぼレタッチなしで明るさだけ調整しています。
――生っぽくない写真というのは?
撮ってそのまま出しましたという写真ではないものですね。今回の撮影の際には、ピクチャーコントロールの「Faded Blue Film」とフィルムグレインを使っていましたが、特に「Faded Blue Film」の青みがかった色がすごく好みで。私はもともと青みが出やすいフィルムをよく使っていたので、それに近い色味や質感が出せるのでついつい何枚もシャッターを切っていました。
――今回、これまで苦手としていたポートレートにも挑戦されたそうですね?
そうなんです。人を撮ると身構えたガチガチな写真になってしまうことが多くて……。自然な写真を撮りたいんですけど、撮るよって言われると人って構えちゃうじゃないですか。でも、友達夫婦とお子さんを撮らせてもらったときには、お子さんが動き回るなかでもきれいな写真が撮れて「これは人を撮っていいカメラだ!たくさん撮りたい!」という気持ちになりました。
自宅で編み物をする母や外食先での祖母や父など、家族の写真も撮りました。自分と距離感が近い人だと撮りやすく、撮影する自分の心は、写真に出るんだなという気づきもありました。


――今回よく使ったレンズは何ですか?
28mmをメインに使っていました。景色も人も撮りやすいオールラウンダーなので、出張や旅行のときには、ずっとこの子を持って出かけていました。ほかにも40mmはこう写るのか、オールドレンズで撮るとこんな雰囲気になるのかと、Zfとの組み合わせをいろいろ試せての発見もありました。
――阿久津さんがカメラにはまったきっかけは何だったのでしょうか?
20代後半の頃、友達がフィルムカメラを勧めてくれたんです。もともとアナログなものが好きだったので、それからいろいろなフィルムカメラを集めるようになりました。写真も好きですが、カメラ自体のデザインも好きで、集めていくにつれてのめり込んでいきました。当時は毎日のように「今日はこの子にしよう!」と選んで持ち歩いていました。友達に「一緒に撮ろう!」とフィルムカメラの本体をプレゼントしたこともあります。いろいろなカメラを使うことでカメラによる写りも違うことにも気づけました。
――特にどういうデザインに惹かれますか?
やっぱりレトロ感のあるデザインが好きですね。それでいうと、Zfもフィルムカメラのようなデザインが可愛くて、好みドンピシャでした。Zfを首から下げて街を歩いていると、カメラ好きな方々からのカメラへの視線をすごく感じました(笑)。旅行先にZfを持って行ったときには、空港での手荷物のX線検査で「これフィルムカメラですよね?大丈夫ですか?」と確認されて。その検査官の方もカメラが好きだそうで、デジタルと聞いて驚かれていましたよ。
――カメラや写真について、阿久津さんが影響を受けているものはありますか?
私、写真家で画家でもあるソール・ライターがすごく好きなんです。きっかけは、8年ほど前に行った写真展でした。彼の写真は、カフェから撮ったような、日常的なニューヨークの街並みを切り取った写真が多くて。決められていない偶然性のある写真が好きで、よく見るようになりました。私も彼のような写真が撮れるようになりたいと思っています。
――普段撮影をするときに、阿久津さんが心がけていることはなんですか?
自分の心が動いたもの、ハッとした瞬間を逃さずに撮りたいと思っています。そんな「これいいな」「面白いな」の瞬間に“気づける人”でありたいです。カメラを持ち歩くと、自然と周りに対して心のセンサーが働く感覚ってありませんか? それに「次はここに行ってみようかな」とも思えるし、カメラを持つことでプラスの効果がたくさんあったと感じています。
――阿久津さんにとって「写真を撮ること」はどんな意味を持っているのでしょうか?
私は口下手で、言葉で伝えることがすごく苦手なんです。言葉で上手く表現できないぶん、その瞬間の感情や思いを、写真を通して表現しているような感覚があります。
また、写真はその瞬間を残しておくものでもありますよね。誰かが写った写真を見返すことで、そのときのことを思い出せる。だから自分の大切なものを残しておきたいという気持ちも大きいです。だからこそこれからは、人の写真もたくさん撮っていきたいです。
*
阿久津ゆりえさんのInstagramでは、この記事に載せられなかったアザーカットを紹介しています。ご家族とのひととき、秋から冬に移り変わる光景など、阿久津さんの日常が垣間見える写真もぜひご覧ください。

AI Nikkor 35mm f/1.4S
※Z シリーズカメラでNIKKOR Fレンズをご使用するにはマウントアダプターFTZを装着する必要があります。
阿久津ゆりえ
1988年生まれ、群馬県出身。ファッションモデルとして、CMをはじめ広告や雑誌、MVなどで活躍。群馬県の観光特使も務める。明るく自然体な人柄で、男女問わず幅広い年代から共感を得ている。


