「大切なのは、きれいさより心に残ること」フィルムライクに残す日常の風景 | hakuさん

「きれいな写真より、心に残る写真を撮りたい」

茨城県で訪問看護師として働きながら、フォトグラファーとしても活動をするhakuさんはそう話します。子どもの成長を残したくて手に取ったカメラは、いつしか日常のささやかな瞬間を愛おしむための道具になりました。

hakuさんがNikon Zfでとらえたのは、子どもがみせる無邪気さや洗濯物を取り込む朝の光、実家の台所に残る夏の気配——。フィルムの質感で残された写真とともに、撮影やレタッチのポイントと写真がもたらしてくれたものについて伺いました。

 

 

はじめまして。hakuです。

茨城県で訪問看護師として働きながら、休日にカメラを持って出かけたり、お友達やSNSでのご縁からウェディングフォトやカップルフォトを撮らせていただいたりしています。

写真を撮る時に特別なテーマは決めていませんが、あまり作り込まれていない、ありのままの日常にすごく惹かれるので、整った写真よりも少し崩れた写真を好んで撮っています。

今回は、Nikon Zfで撮った写真を通じて、デジタルでもフィルムの質感をまとわせるコツのご紹介や、写真がもたらしてくれた「豊かさ」について考えたいと思います。

好きな写真を真似できるようになっていく過程がすごく嬉しかった

Zf、AI Nikkor 50mm f/1.4S

写真を撮り始めたのは、3年ほど前に北アルプスの白馬岳に登ることになった時でした。なかなか行けない山だからと、前日くらいに思い切ってカメラを購入したのを覚えています。もともと旅行が好きだったので、「軽くて、写真が残せればいいか」くらいの気持ちで、軽量なAPS-Cのカメラを選びました。

のめり込むきっかけになったのは、娘が生まれたことです。育休中で時間もあったので、成長の記録を残したいと思ったのですが、思うように撮れませんでした。露出もシャッタースピードもISOも分からず、オートで撮っては白飛びや黒つぶれ⋯⋯。SNSで見るきれいな写真と自分の写真のギャップに、もどかしさを感じていました。

 

Zf、NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

そこで1年間、写真教室で写真を学ぶことにしました。先生から「好きな写真を100枚選んで、まずは真似してみて」と言われ、最初はまったく上手くいかなかったのですが、少しずつ真似できるようになっていく過程がすごく嬉しくて。特に、岩倉しおりさんの写真に大きな衝撃を受けました。「こんな風に撮れるんだ」と心を動かされて、同じ機材を買って色味を学ぶくらい夢中になりました。

日常をフィルム写真のように愛おしさと共に残す

Zf、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

デジタルカメラで撮り始めた写真でしたが、2年ほど前にフィルムカメラも始めてみました。現像した時に全然きれいに撮れていなかったとしても、私にとってすごく愛しいというか、きれいな写真よりも心に残るなと気付きました。

それからデジタルで撮るときも写真をフィルムのような質感で残すことを意識しています。撮影の時よりも編集する時に工夫をしていて、粒子を入れたり、彩度をやや低めにしたり、色温度を青寄りに設定したり、表現はまだまだ模索中です。

今回撮ったものをいくつかご紹介します。

 

 

Zf、NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

娘が食パンをお面のようにして遊んでいる瞬間を捉えました。素早く動く娘にピントを合わせるのに必死でした。設定より何より、カメラを構えていたからこそ残すことができました。

 

 

Zf、AI Nikkor 50mm f/1.4S

朝、洗濯物を取り込む前に撮った1枚です。朝日が差し込む光と影が好きで、そのシーンをオールドレンズの50mmで狙いました。何気ない生活の一場面ですが、タイミングがうまく重なってくれた瞬間でした。

 

 

Zf、AI Nikkor 50mm f/1.4S

昭和ガラスを撮った写真です。祖母の家にあるガラスで、柄にそれぞれ名前がついているほど奥深いものだと最近知りました。訪問看護の仕事で昭和のお家を訪ねることも多く、そうした時間の積み重ねの中で、レトロなものへの愛着に気づいていったのだと思います。懐かしさを覚えるのはきっと、私自身の子どものころを思い出せるからだと思います。

 

 

Zf、AI Nikkor 50mm f/1.4S

 

Zf、AI Nikkor 50mm f/1.4S

実家に帰省した時にオールドレンズで撮りました。親には「きれいにして撮ったら」って言われたんですけど、片付いていない感じが良くて。夏野菜が置かれているのも夏っぽいし、昔見ていた、いつもの風景です。

 

 

Zf、AI Nikkor 35mm f/1.4S

ほんと、何でもない写真なんですけど、私はすごく好きだなと思っています。その理由のひとつにお風呂場の窓から入るきれいな光があります。カメラ始めてから、光と影のある写真というのは好きで意識しています。

実家の台所やお風呂場の写真は、何でもない被写体ですが、コントラストをやや低めにして、シャドウに青緑系の色を乗せることで、自分の中にある「懐かしさ」の感覚に近づけています。

 

 

Zf、AI Nikkor 50mm f/1.4S

一方で、赤みを帯びた夕方の光が作った光景をほぼ見たままに残しています。「なんでこれがいいの」と聞かれると言葉にしづらいのですが、日常の中でふっとその瞬間だけ主役になる光景を切り取るのが、私は好きなのだと思います。

 

 

Zf、AI Nikkor 35mm f/1.4S

近所のお祭りの時の空が、きれいでいいなと思ったのでシャッターを切りました。懐かしい気持ちにさせてくれる出店っていいですよね。

 

 

Zf、NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

 

Zf、NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

大洗の水族館(アクアワールド茨城県大洗水族館)で友人を撮った写真です。ヨルシカの楽曲「花人局」が好きで、そのPVをイメージしながら撮りました。水槽の大きさを活かしたシルエットの写真がお気に入りです。暗所でもしっかり撮れるのは、フルサイズならではですね。

Zfの佇まいとオールドレンズの余白

Zfを手にして思ったのは、まずその佇まいの良さです。デザインがとても好みで、持ち歩きたくなるカメラだと第一印象で思いました。それでいて瞳AFの精度や解像感といった性能面でも不安がまったくなく、可愛らしい見た目なのに実力派でもあることに驚きました。

そして個人的にすごく気に入ったのがシャッター音です。カシャッという音が心地よくて、今まで使った中で一番好きかもしれないと思いながら、つい余計にシャッターを切ってしまいました。


レンズは、ZマウントレンズとNIKONのオールドレンズを使用しました。
Zマウントレンズは安定感があり、水族館での撮影でも不安なく、奥行きのある写真を楽しく撮ることができました。

オールドレンズは、独特の柔らかさが印象的でした。ピントが完全に合わない瞬間もあるのですが、それもフィルムの愛おしさに通じる「味」だと感じています。オールドレンズには、現行レンズが抑えるようなフレアやゴーストが入ることがありますが、それがいわゆる「エモい」写真につながる魅力でもあります。もしオールドレンズに興味があるという方がいたら、写真がまとう「懐かしさ」をぜひ一度味わってみてほしいと伝えたいです。


レタッチはというと、スマートフォンだけで完結させています。モバイル版のLightroomのほか、SnapseedやRNI Filmsといったアプリを使い分けています。データとアプリの相性もあって、今回は細かく調整できるLightroomを中心に編集しました。フィルムライクな表現はまだまだ模索中です。

写真が教えてくれた、日常の豊かさ

Zf、NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

写真を始めた頃と今とでは、写真に対する感覚がずいぶん変わりました。以前はSNS映えするようなキラキラした写真が「正解」だと思っていましたが、今はむしろ整っていない写真の方が好きです。月日を重ねてから見返した時に、「この日は暑かったな」というような温度感や空気感を思い出せる写真の方が、自分にとって大切なのだと気づきました。

写真を始めてから、日常の中でときめく瞬間がすごく増えました。木漏れ日を見つけてテンションが上がったり、疲れて帰った日でも写真を見返すと元気が出たり。同じ人生を歩むなら、そういう瞬間に気づける方が得だなと思っています。

 

Zf、NIKKOR Z 35mm f/1.8 S(左)/Zf、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S(右)

仕事の帰り道や保育園のお迎えの時、車の窓越しに見えた風景など、日常のふとした瞬間にシャッターを切っています。撮ることも好きですが、見返すことも同じくらい好きです。仕事で疲れていても、Instagramに載せている写真をたどっていくと、娘が0歳の頃からの成長が分かって、なんだか元気をもらえるんです。

 

Zf、AI Nikkor 50mm f/1.4S

これからも訪問看護師としての仕事を大切にしながら、写真の活動を続けていきたいと思っています。実は密かな夢もあって、訪問看護でうかがう先で、なかなか家族写真を撮る機会のないご家庭の記念写真を撮ってあげられたら、と思うこともあります。まだ経験を重ねている途中なので少し先の話にはなりますが、ゆくゆくはそんな形でも写真と向き合っていけたらと思っています。

Z f

Z f

製品ページ ニコンダイレクト
20190523173951

NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

製品ページ ニコンダイレクト
20190523173952

NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

製品ページ ニコンダイレクト
AI Nikkor 35mm f/1.4S

AI Nikkor 35mm f/1.4S

20190523173946

AI Nikkor 50mm f/1.4S

製品ページ

※Z シリーズカメラでNIKKOR Fレンズをご使用するにはマウントアダプターFTZを装着する必要があります。

haku

haku

1996年生まれ。茨城県で訪問看護師として働きながら日常の風景を撮影している。フィルム写真のような質感と温かな作風で人気。